ヴァンパイアのクチコミ・レビュー

クチコミ・レビューTSUTAYA DISCAS

拾い物! ポランスキーもきっと見たんだよね!

投稿者:ひとこと言いたい 2016年07月27日

おもしろい! とは言わないが、いや、なかなか興味深い作品だった。
光と影の使い方。え? 1932年公開?! 
なんやらよぉーわからんけど、禍々しい妖しい雰囲気の幕開き。
なんやらよぉーわからんけど、誘われるように吸血鬼の犠牲者の下へ訪れる主人公。
なんやらよぉーわからんけど、幽体離脱。
きっと、今の時代にこれを公開したらSNSやYahoo知恵袋のようなネットで
「あの場面の意味は?」とか「アノ人はどうなった?」とか無意味な質問があふれるに違いない。
場面の雰囲気をたのしめーーー! 意味づけはそれからや。

かのロマン・ポランスキー監督の「吸血鬼」に登場した人物も
この映画の医者がモデルだよね。

なお、再生直後の淀川はんの解説は、本編を見終わってから見たほうがエエな。

僕の素晴らしい映画 その97

投稿者:よふかし 2012年02月28日

 マックス・オフュルスの『快楽』の、自殺するシモーヌ・シモンの主観視点は今観ても素晴らしいと思いますが、主観視点で何とも言えない瞬間を描き出した作品といえば、このカール・ドライヤーの『吸血鬼』が挙げられてもよいでしょう。
 ドライヤーは今のところ、discasにはこの一作しかありません。この前に作ったサイレントの傑作『裁かるゝジャンヌ』のあんまりな美しさに比べると、フィルムの状態にもよるのでしょうが、やや落ちることは否めません。
けれども、冒頭の巨大なカマを持つ農夫のまがまがしさや、開かないドアを媒介にした内と外の空間演出、影だけの舞踏会の映画的イマジネーションなど、幻想映画としては1930年代初めにして、すでに最高峰といっていいでしょう。実のところ、ハネケの『白いリボン』などよりはるかに厳しく美しい世界がここにはあります。
 そして非常に知られたショットです。主人公は幻覚に囚われ、運ばれる棺の中に身を置かれて空を見上げる、つまりリヴィング・デッドとしての主観視点がこの時すでに表現されていることに驚かない人がいるでしょうか。棺の中から見上げるというこの視点のショットは、とても映画的です。物語的な意味合いはともかく、そのカメラの動きの異様さと美しさに目を瞠る人は少なくないでしょう。
 しばしば夜のシーンが白夜のようで、夜らしくないと指摘されるのですが、そんな指摘に意味はありません。舞台を想起してもらえば分かりやすいと思いますが、この場面は夜である、と映画が宣言すればそれでよいのです。補うのは観る側の想像力です。そんな想像力を必要とされない作品に慣れていると、この映画は分かりにくいかもしれません。けれども、筋は分かりにくくても、このモノクロ映画のソリッドな美しさは誰にも伝わるものと信じたいです。
 今回は紀伊国屋書店版で鑑賞。85点。
(その98は『狩人の夜』です)

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