プロフェッショナル 仕事の流儀 漫画家 井上雄彦の仕事 闘いの螺旋(らせん)、いまだ終わらずのクチコミ・レビュー

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劇画作家さんの苦悩

投稿者:レビュアー名未入力 2013年05月11日

漫画好きな方なら誰でも知っている「スラムダンク」あれは衝撃的な内容でしたよね。
今までにない話の展開と絵の綺麗さ、丁寧さです。それに表情の豊かさ。

漫画家の井上先生は、登場人物になりきって描いてらっしゃるそうです。
今は「バカボンド」と言う宮本武蔵をあつかった漫画を描かれてらっしゃるようですが、
感情移入をし過ぎて1年間、休業されたそうです。

 私も20才前後の頃、某漫画家さんのアシスタントをしていました。売れっ子の先生でしたから
週に何本か連載をもってらっしゃいました。やはりドラマの最初の段階「ネーム」に悩んでらっしゃいました。

井上先生も同じように「ネーム」で悩まれ、ネームさえ出来てしまえば楽勝だそうです。
でも、井上先生のように書き込む絵は大変だろうなと漫画家志望の従弟に聞いたら、好きだから苦になっていないだろうとの事。
私はそれが苦で漫画家になることを諦め、イラストに転向しましたが、それさえも最近は面倒と思ってる怠け者です。

漫画家と言うと馬鹿でも描けると思ってる方がたまにいらっしゃいますが、嘘は描けないので時代考証や資料集めが大変です。
時には漫画の舞台となる現地に赴き写真を撮ってくる…そんなことも私はしました。

この映画は、そんな部分にはスポットを当てず、ひたすら井上先生の仕事内容に絞っています。私的には、漫画がどのように仕上がるかにもっと注目して欲しかった。
漫画は先生一人で仕上げている訳ではありません。私の先生は主だった主人公だけは先生が描かれ、他はチーフアシスタントが描いていました。
そしてバック(背景)は中堅どころのアシスタント。新しいアシスタントは柄入れやスクリーントーン貼り、べた塗とか、ホワイトに仕上げの消しゴムです。

そうすることによって、週に数本の連載をこなせる実に無駄のない作業です。先生の売れ方次第でアシスタントの数も違ってきます。私の先生は4人抱えていました。しかもちゃんと社会保険加入だったので大助かり。好きでやっている仕事だから賃金なんて誰も気にしないで仕事を楽しんでいました。

でも、当の先生はこれほどまでに苦しまれてらっしゃったのかと今更のように気づき、今頃「お疲れ様でした」と頭が下がる思いです。

正座

投稿者:ビンス 2010年04月14日

もう二十年以上も井上さんの漫画を読み続けている。
読み返し続けている。
「スラムダンク」
「リアル」
「バガボンド」
光と影の違いこそありながら「人間」をまっすぐ描く井上さん。
その表現と画力は圧倒的で、毎回読みながら気圧される。
10代では「スラムダンク」のお世話になり。
20代以降は「バガボンド」と「リアル」のお世話になってる。
読んでいて心が乱れる。
読んでいて心が掻き毟られる。
読んでいて心が澄み切る。
読んでいて心が豊かになる。
井上さんの書く漫画は教科書または指南書のようなものだ。
読んでいると心が正座してる。
シャキっとした気持ちになる。
特にそれは「バガボンド」を読んでいるとき。
「人生とは・・・生きることとは・・・死ぬこととは・・・」
バガボンドの世界の人々の話す言葉を受け止めて、読み終わった後何日も考える事もしばしば。
ドスンと響く言葉。
グサリと響く感情。
静寂の水面にポタリと一粒の水滴が落ちるような感覚。
波紋の広がりのような伝導。
様々な伝わり方をする人の心と言葉。

今回このDVDを観て改めて思うのは漫画を描く事の凄さ。
これほどの漫画を生み出し続ける事の凄さ。
苦悩や葛藤、歓喜。
ネーム(漫画の展開やコマ割り)、下書き、筆入れ。
くり返し続ける日常。
「凄さ」・・・ヒシヒシと感じずにはいられません。
タイトルにあるように漫画を描き続けるという闘いの螺旋は、いまだ終わりが見えない。
真摯にまっすぐに漫画と向き合う姿勢。
嘘のない漫画に向き合う自分が嘘をついてはいけない。
ズルしてはいけないという姿勢。
文字通り身を削って「漫画」は生み出されている。
ラストに発する「プロフェッショナルとは?」の答え。
これからが益々楽しみです。
末永くボクらを楽しませ、心を豊かにしてもらいたいと願います。
心だけじゃなくてこれからはちゃんと正座して読まないと(笑)

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