十年のクチコミ・レビュー

クチコミ・レビューFilmarks

3.6

観た人
276

観たい人
707

投稿者:抹茶マラカス 2019年07月03日


 製作当時の10年後、2025年を舞台にした5つの短編。
 いきなり1本目の「エキストラ」が中国政府の意向でマッチポンプのテロを起こして香港や外国人への管理を強化する法案を通そうとする話で現実にリンク。弱者は使い捨てられる。
 2本目の「冬のセミ」はかなり抽象的。再開発か何かで住居を潰され、その廃墟であらゆるものを標本として保存していく試みを描く。最後には人間までも。そうやって保存していかないと記憶は失われていくのだ。ノアの箱船的な話だが、標本は見る人間がいて初めて価値が生まれるのも事実。比喩としてもっと何か言いたいのかもしれないがそこまでは分かんなかった。
 3本目の「方言」はかなりストレートで分かりやすい言語を通した支配の話。古来から支配は共通言語を押し付けることで進んでいく。日本もそうしたし、ナポレオンもフランス語を統一した。教育や公共、放送を通して進む言語統制は上の世代を置き去りにし、ナチュラルボーンとの世代間格差は広がっていく。短編としても秀逸だが、もうワンアイデア入れて長編でも見てみたい。
 4本目は「焼身自殺者」。英国領事館前での焼身自殺をめぐる議論をフェイクドキュメンタリー的に描く。ここでも1本目で描かれたような共産党による自作自演説が唱えられつつも、自殺者の正体はかなり意外な人物に。話がドラマパートとドキュメンタリーパートとでちょっと混線してたかも。ただ、今回の暴動に関して最も近しく予言しているようでもあるし、そもそもの一国二制度の現状の原因やイギリスの責任にまで言及しているのが印象的。
 ラスト、5本目は「地元産の卵」。「地元産」という言葉狩りや養鶏場経営自体が違反とされて潰される世の中を描きながら、観客に対して思考停止しないことを求めている。ここでも尖兵となるのは子供たち。教育は最上の支配方法であることを痛感する。全体として、ほぼ確実に中国当局連れ去られた書店主の事件が元ネタだろう。

ラスト。「時為已晩」(時すでに遅し)が「時為未晩」(まだ間に合う)となる締めくくり。2025年に起こると予想された出来事は2019年に早くも起き始めている。フィクションが現実となるのかもしれない。しっかりと注視しながらも、とにかく知って、関心を表明するのが一番重要ではないだろうか。

投稿者:映画泥棒 2019年06月27日

香港の未来が気になるので。
3本目の香港独自の言語ができて、それを話せない人は職を失う話が一番わかりやすかった
あとは、香港の背景をあまり知らないので楽しめなかった

投稿者:OANIL 2019年06月25日

いやぁ…いま中華人民共和国にまさに既存政治システムの虚を突かれて支配を受ける寸前の最中、さすがにメッセージ性強すぎだろ…

やはりイデオロギーをストック化してマスコミするのは良くないと思うが、如何せんタイミングがなぁ…

レビューをもっと見る・投稿する

クチコミ・レビューTSUTAYA DISCAS

「もう手遅れだ」「まだ間に合う」

投稿者:みーちゃん 2018年12月07日

「エキストラ」「冬のセミ」「方言」「焼身自殺者」「地元産の卵」各ストーリーの詳しい説明は、他のレビュアーさんにお願いするとして。とてつもなく恐ろしいものを見てしまった。そう思うのはわたしだけかな?この映画を監督した監督さん、インタビューに応じた知識人の方々、出演された俳優さん、今後迫害されないかどうか、心配です。かつてチョウユンファやレスリーチャンらが活躍した、広東語がポンポン飛び交う香港映画を楽しく見ていたわたしは、能天気だったなあ。日本人も「他山の石」とせよ、ということですね。

レビューをもっと見る・投稿する

クチコミ・レビューTSUTAYA

レビューを書いてみませんか?

レビューをもっと見る・投稿する