ドラマスペシャル「東野圭吾 手紙」のクチコミ・レビュー

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見上げてごらん夜の星を

投稿者:なんの因果 2019年09月20日

東野圭吾の同名小説を深川栄洋(ふかがわよしひろ)監督が、
テレビ東京のスペシャルドラマとして製作。亀梨和也主演で「犯罪加害者の弟」の苦しみを描く。
平野社長(小日向文世)の言葉を通して、差別される苦しみだけでなく、差別してしまう方の悩みや理屈を考え、問題提起した。

2006年に話題になった山田孝之版は、TBS出身の生野慈朗が監督したという事もあり、
映画作品であったけれどもテレビの延長のような軽さが多少感じられた。
(良い悪いではなく)、山田の仕事が「お笑い」であることの違和感、ネタが超オモロかっただけに
「私、笑っちゃったけどいいのかな?」とか、皆が笑ってる間で小さく身を畳んだ玉山鉄二(兄)が滂沱と涙を流しながら合掌する姿は強烈な「絵」であった。、

さて、本作はいくつかの設定の違いはあるが、山田版よりは原作に近くなっていると思う。
「手紙」というアイテムの主張が、亀梨和也の心の変化と手紙が果たす役割をクッキリ、表現していた。
被害者の息子である緒方(田中哲司)の演技もまた良い。
亀梨和也は役者経験も多いし、「ごくせん」で役者デビューした時から「成績が抜群で家庭環境は暗い」役は問題ない。むしろ歌い始めでイントロが流れ、マイクを握りしめてから
(まさかアミーゴ歌うなよ・・)と若干心配はしたのだった。
兄のいる刑務所で亀梨和也歌唱の「見上げてごらん夜の星を」が流れる。
亀梨君が切々と歌い上げてから、坂本九の歌声が被さる。
坂本九への、永六輔といずみたくへのリスペクトになっているのだろう。
そして原作で温存した「イマジン」への。
九ちゃんの声を聴いて泣かない者はいまい。私もオイオイ泣いた。

気づかなかった方角からのボール。

投稿者:真 2019年08月27日

これは打ちのめされた。

役者も良いのだけど、東野圭吾の思考にやられた。

犯罪があればそこには必ず被害者と加害者ができる。
被害者が辛いのは当然だが、加害者の家族も悲惨だ。
少し前なら被害者の辛さにばかりスポットライトが当てられ、
そこへの同情なり共感なりに訴えかけるものがほとんどだった。

ここ最近になり、加害者の家族という立場にもスポットライトが当てられるように
なってきた。
この手紙は加害者側の家族の理不尽な境遇をこれでもか、これでもかと
描いている。

罪を犯した者の家族は、なんとなく幸せになってはいけないというムードがある。
確かに加害者の立場を思うとそうなってしまう。

けれど、実際手を下していない者に、どこまで償いのようなものを求めるのか。

兄の起こしてしまった罪のために自分を犠牲にし、自分を押し殺して生きている弟。
頭を垂れ、自分を全て後回しにして生きてきた。
私も彼の生き方に共感し、なぜここまで辛い思いをしてそれでも尚許されないのか、
どうすべきなのか、
今以上に何を差し出せばいいのか発狂しそうになる。

ところが、行き止まりになり答えを求めに被害者の家族を訪ねて
彼らの生きてきた道を知った時、自分が今まで築き上げてきたもの、
思いを重ねてきたものが、ガラガラ音を立てて崩れる。

東野圭吾さんって、すごい!

わたしには全くなかった発想に目から鱗というのか、
衝撃を受けた。

亀梨くん主演のテレビドラマに、信じられないけど涙が止まらなくなってしまった。

なにアイドルのテレビドラマで泣いてんねん、
と横を通り過ぎるだんなの目もはばからず涙がぽろぽろ落ちた。

犯してしまった罪の前で、当事者はもとよりいろんな人が傷つき、苦しむ。
どう対峙するのか、その答えはみつからないけれど、
東野圭吾さんの提示したものに、はっと立ちすくんでしまった。

見ていてとても辛いドラマだ。
でも、一見の価値はある。

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