1話完結に隠れて仕組まれる衝撃の伏線漫画!『見える子ちゃん』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│人気の読み切り可愛い系漫画に隠れた秀逸なストーリー漫画『見える子ちゃん』

装丁やタイトルから考える内容をいい意味で裏切る作品と出会えた瞬間は最高の一言だ。口コミで広がる作品には大なり小なりそんな要素があるように感じる。1巻発売時からじわじわと人気を獲得したそんな要素の強い作品を今回は紹介したい。

『見える子ちゃん』は、ある日、普通の人間には見えない「おばけ的な恐ろしい何か」が見えるようになってしまった女子高生が、その存在に怯えながらも立ち向かわずに精一杯、見えないふりをし続けるという漫画なのだが、この作品の見どころはその設定を使っての短編が連続して意味を成す長編になっている事なのだ。
しかも短編的な伏線と長編的な伏線が2軸で組まれ、それが機能して作品に深みを増していく。

1巻目発売時に『見える子ちゃん』というタイトルとそのあらすじを読んだのだが、正直毎回1話完結で怖がっている女の子が必死に怖い何かを見ないふりをして頑張っているのを温かい目で見守る事が主の楽しみ方である漫画だと勝手に認識してしまった。

そして作品を読んだ後は、短いスパンでの伏線はあるもののその認識に間違いはなかったという想いが自分の中に生まれたのだが、2巻、3巻と進み読んでいくうちにその考えが全く間違っていた事に気が付く。

まさに衝撃だ。

1話1話の完成度が高いために見落としていた、長期での連載で意味を持つ伏線の数々。
その完成度といったら、4巻のある物語で1巻から読み返し、その伏線を確認した後5巻の発売が待ち遠しくてまた1巻から読み返し、さらなる伏線を探してこれからの物語を想像せずにはいられないほどだ。

「見える子ちゃん」その単純で分かりやすいタイトルの裏にある複雑で探求心を煽る物語。
これこそまさに一気読み間違いなしのオススメ作品だ。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

 

見える子ちゃん

4巻まで発売中

著者:泉朝樹
出版社:KADOKAWA

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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