"ラブコメ"×"ミステリー"=『五等分の花嫁』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│累計1,400万部突破の大ヒットラブコメ『五等分の花嫁』は最高のラブコメであると同時に濃密に伏線が張られたミステリー傑作だ!!

『五等分の花嫁』が週刊少年マガジンで連載されていたころ、毎週の連載が楽しみで楽しみで仕方なかった。
こんなにも展開が気になっていち早く読みたいという衝動を抑えられなくなるのは久しくなかったように思う。

私はなぜこんなにも『五等分の花嫁』の続きが読みたくて仕方なくなったのか。それは通常のラブコメとは違い、この作品がミステリー作品として謎を解いていく面白さに秀でていたからだと思う。
その謎とは、主人公である風太郎の結婚相手は5つ子の誰なのか。そしてそこに通じる伏線の数々。もちろんミスリードもあり一筋縄ではいかない。
毎週少しづつ提示されるヒントがその答えへの鍵になるというミステリー好きを唸らせる面白さと、ラブコメとしてのドキドキや5つ子の可愛さ。その面白さはもはや異常だ

『五等分の花嫁』は最初から普通のラブコメとは違った。
結婚式のシーンから始まり、5つ子の誰との結婚をするのか?というこの作品の最大の謎、そして読む者が興味を示すポイントをわかりやすく提示していた。

そして1話ですでに貼られる仕掛け。
ネタバレになるので明言は避けるが、1話の花嫁のとあるセリフで後の展開のミスリードを誘っており、これに私は見事に引っ掛かった。
ちなみにそのセリフは、最終巻まで読むと結婚相手を明確に1話から決めていたことを暗示させるものになっていたりもするのだからたまらない。

「考えすぎだ」と言われそうだが、ミステリー小説好きとしてこのセリフの言い回しは見逃せない考察ポイントだった。
1話だけでなく、この『五等分の花嫁』という作品はそういった油断のならないミスリードやヒント、伏線がいたるところに散りばめられている。
それゆえに最後まで読み誰と結婚するのかがわかってから読むことで改めて発見できる伏線なども多く、何度、繰り返し読んでも面白いと感じるのだろう。
主人公が誰を選ぶのかという確定されていない未来を楽しむラブコメがほとんどの中で「主人公が誰を選んだのか確定された未来を、高校生時代の状況から読み解く」という全く新しいラブコメの楽しみ方を提示した『五等分の花嫁』。

累計発行部数1,400万部を超えてもまだまだ勢いがとまることのないこの作品、いわゆる普通のラブコメが苦手で読んでいないという漫画好きがいればこの作品は間違いなく読むべきだろう。
特に伏線や考察が好きな読者には絶対の自信をもってオススメ出来る作品だ。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

 

五等分の花嫁

全14巻発売中

著者:春場ねぎ
出版社:講談社

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

一覧に戻る