妬みやひがみ。クリエイターの心の在処を描いた漫画家物語『みどりの星と屑』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│気が付くと人を悪くいってしまう。そんな自分を変えたい人に読んで欲しい、これはそんな作品だ

取り残された感じる瞬間がある。
周りの人間がどんどん成功していく、そんな中自分だけには何もないと感じる。
焦る焦る焦る、焦れば焦るほど空回りして「お前はダメだ」というレッテルだけが増えていく。行動すればするほどその差が開いていく気がして、その先に待っているのは嫉妬や妬みの感情だけだ。

才能とは何だろうか? と思う。
成功してる奴はそんなものは無いという。しかし努力ではどうにもならないものが確かにある。
頑張っただけ報われるなんてことはこの世の中には存在しない。

『みどりの星と屑』を読んでいて何度か涙をぬぐった。
そのシーンは決して誰でも感動するシーンというわけではない。だけど勝手に涙が流れてしまうのだ。
1巻目は正直読んでいて辛い展開が続く。報われなかった人が報われなかっただけ。同じような経験したであろう自分ですらも嫌悪する気持ちが描かれている。

そして2巻ではそんな感情に対しての続きが描かれる。1巻の続きが2巻で描かれるなんて当たり前だと思うだろう。
でもなぜか私は嫉妬や妬みで停滞する人間が多い中で、その続きを物語で読めるというのはとても特別な事に感じた。

「頑張っただけ報われることは無い世の中」だと私は思う。
しかし頑張り続けたらどこかで少しだけ報われる瞬間が必ず来る世の中だと私は同時に思っている。

文句ばっか言ってないで、諦めてばっかいないで、妬んでばっかいないで。
この作品を読んで欲しい。

真剣に何かに向かって取り組んだことが一度でもあるならば、そこにはきっと共感とその先につながる何かがあると思うから。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

 

みどりの星と屑

2巻まで発売中

著者:瀬崎ナギサ
出版社:双葉社

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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