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「騙されたい読者の期待を超えていけ」作家・三津田信三×潮谷験が語った執筆術とは?【さあ、どんでん返しだ。キャンペーン】

「騙されたい読者の期待を超えていけ。」作家・三津田信三×潮谷験が語った執筆術とは?【さあ、どんでん返しだ。キャンペーン】【ミステリ作家対談第二弾】三津田信三先生×潮谷験先生

みなさん、ミステリはお好きですか?
実は今、講談社文芸第三出版部から発売されるミステリ小説8作品の発売を記念したキャンペーンが開催されています。その名も、「さあ、どんでん返しだ。」キャンペーン。
TSUTAYAでは対象商品購入者に向けた豪華プレゼント企画に加えて、今回TSUTAYA News編集部が「全作家へのオンライン取材&映像化」を実施します。

「騙されたい読者の期待を超えていけ。」作家・三津田信三×潮谷験が語った執筆術とは?【さあ、どんでん返しだ。キャンペーン】

第二回目のオンライン取材では、7月に待望の新刊『忌名の如き贄るもの』を発売した三津田信三先生と8月に待望の2冊目の新刊『時空犯』を発売した潮谷験先生をゲストにお招きいたしました!ぜひこちら映像でお楽しみください!!
そして、本記事では三津田先生の作品づくりやトリックの考え方について迫った取材内容を記事にしましたので、映像と一緒にお楽しみくださいませ。

※「さあ、どんでん返しだ。」キャンペーンの概要はこちら
https://tsutaya.tsite.jp/news/book/41575535/

※三津田信三先生と潮谷験先生の取材映像はこちら

さて、第1章でも三津田先生が”プロット※”を一切作らず作品を執筆されていることを明かしてくれましたが、より深く作品づくりについてお伺いしました。お相手は『時空犯』の作者である潮谷験先生。果たして”プロットの有無”が作品づくりにどのような影響を与えているのでしょうか?また、潮谷先生さえも欺いた三津田先生のトリックの考え方についてもぜひご覧ください。
※プロット:小説、劇、長詩などの筋立て、構成のこと。

「もちろん、あの展開も最初から想定していたものではありません(笑)」(三津田先生)

「騙されたい読者の期待を超えていけ。」作家・三津田信三×潮谷験が語った執筆術とは?【さあ、どんでん返しだ。キャンペーン】

栗俣(インタビュアー):前回の取材させていただいた時にも驚きを隠せませんでしたが、あの三津田先生の作品の数々がプロットなしで執筆されてきたものだとは想像してもいませんでした。

三津田先生:はい、パソコンに向かって書きながら、いつも「本当に最後まで書けるのか?」と不安を覚えています。今回の新作も含めて、どうにか納得のいく結末へ物語を着地させられていますが、万一そういう風に筆が進まなくなれば、もう引退を考えなければいけませんね(笑)

栗俣:ファンとしてはこの先何十年も先生の作品を読み続けたいので、ぜひよろしくお願いします!!それにしても、”プロット”がない中でとは思えない最後の一言。緻密に設計され尽くした作品設定が最後の最後で回収されて、恐ろしすぎて読んだ瞬間、ゾクゾクっと鳥肌が立ちましたよ。

三津田先生:もちろん、あの展開も最初から想定していたものではありません(笑)。執筆のどの段階だったか定かではありませんが、物語を書き進めていくうちに閃いたアイデアでした。

栗俣:あの部分も構想にはなかったものだったのですか!?私はあの一言のために、物語の設定が用意されたものだと思っていました。

三津田先生:そうですよね。僕も書き上げた原稿を読んで、まったく同じように感じましたから(笑)。今回も最後まで小説を書き上げられたことが、僕自身も不思議で仕方がないといいますか。

栗俣:潮谷先生は、プロットはご用意されて執筆されていますか?

潮谷先生:デビューしてからは編集の方から「プロットは書いたほうがいい」とアドバイスをいただいていますが、新作の『時空犯』についてはあまりきっちりとしたプロットを用意していませんでした。「タイムリープ」と「ミステリ」という大きなテーマは設定していましたが、執筆しながら微修正を繰り返していきました。微修正…とは言いましたが、実は”犯人”が途中で変わっています。あ、このままこの人が犯人だと話が成り立たない!!と。

栗俣:え!!『時空犯』のあの犯人はもともと犯人じゃなかったのですか!?それは驚きです。

潮谷先生:はい、そうなのです。プロットがあるほうが物語を書き進めていく上で躓くことが少ないため、あったほうが執筆は"楽"だと思います。

三津田先生:ミステリは非常に論理性を重んじる文学なので、まずプロットが存在するのは自明の理とも言えます。作家も安心して執筆に専念できますからね。それは重々わかっているのですが、どうしてもプロット作りができないまま、20年も作家をやってきてしまいました。

「"明日の自分が生み出す作品"を楽しむことができる作品づくりの方が退屈しませんね」(潮谷先生)

「騙されたい読者の期待を超えていけ。」作家・三津田信三×潮谷験が語った執筆術とは?【さあ、どんでん返しだ。キャンペーン】

栗俣:プロットなしで作品づくりをしているお二人にお伺いしたいのですが、「プロットのあり・なし」が作品にどのような影響を与えますか?

三津田先生:そもそもプロットを書いたことがないので、作品の”完成度”への影響はわかりません。ただ個人的には、プロットがあるとその通りに書けばいいという安心感と引き換えに、次に何が起こるのか?という”ワクワク・ドキドキ”の感情を覚えなくなると思うのです。僕にとっての自作って、僕自身が初めの読者である――そんな感覚があります。よって作者の僕が”ワクワク・ドキドキ”できないと、きっと読者も同じではないか……と。

潮谷先生:三津田先生と同じく、この先どうなるのか?と作家自身が物語を体験しながら筆を走らせ、"明日の自分が生み出す作品"を楽しむことができる作品づくりの方が退屈しません。プロットが細かければ細かいほど、単調な作業のようになってしまう気がします。

三津田先生:以前もお話ししましたが、一から十までプロットを用意してあとは書くだけという作家は、本当にすごいと感心します。事前にすべて頭の中だけで、一度は書き上げるようなものですからね。一種の天才ですよ。僕は刀城言耶と同じように、試行錯誤をしながらでないと執筆できません。

「前例があるトリックや仕掛けを、いかにオリジナリティを感じさせる作品へと仕上げるか。それが作家としての腕の見せ所だと思います」(三津田先生)

「騙されたい読者の期待を超えていけ。」作家・三津田信三×潮谷験が語った執筆術とは?【さあ、どんでん返しだ。キャンペーン】

潮谷先生:三津田先生の新作の犯人当て、見事にミスリードして騙されてしまいました。

三津田先生:それはうれしいです。ちなみに誰が犯人だと思いましたか?

潮谷先生:「◯◯◯◯」です。かなり具体的かつ詳細に人物像が描かれている登場人物だったので、もしや犯人なのでは?!と思ってしまいました。また、ある人物を犯人から除外するような一文があり、まんまと候補から外してしまいました…。後々の展開で「この手があったか!!」と膝を打ちましたよ。

三津田先生:あの部分は完全に確信犯です(笑)。作家として何作も書き続けていくことで、自然と身につくテクニックのようなものですね。それ以前にミステリ読書体験でも得られると思います。

潮谷先生:思い返せば過去に読んだミステリ作品にも採用されていた前例のあるトリックでもあったため、しまったなと悔しい思いでした。

三津田先生:前例があるトリックや仕掛けを、いかにオリジナリティを感じさせる作品へと仕上げるか。それが作家としての腕の見せ所だと思います。ミステリ好きの読者は「この分野のパターン」をよく知っています。だから勘が鋭い。「このパターンなら、犯人はこの人だ」とすぐに察してしまいます。つまり逆に考えれば、罠にはめやすいとも言えます。一番やってはいけないのは、過去の作品のアイデアをそのまま使うことです。かなり昔ですが、アガサ・クリスティの『アクロイド殺し』の仕掛けを、何の工夫もせずに使用している作品を読んだことがあります。すぐに犯人がわかっただけでなく、作者が何も考えていない、最初からあのアイデアに”おんぶに抱っこ”していることが丸わかりで、がっかりした覚えがあります。

潮谷先生:そうなのですね。でも、『アクロイド殺し』のトリックは私も一度は挑戦してみたいと思っています。

三津田先生:現代のミステリ作家が扱うとなると、相当な力量が問われる挑戦になるでしょう。少なくとも別の魅力的なアイデアと組み合わせて、わざわざ今”あれ”をやる意味を打ち出す必要があると思います。それでも挑戦したくなるのが、ミステリ作家の性でしょうか。

プロットを細かく用意しないからこそ、作家自身が初めての読者として楽しんでいるという三津田先生と潮谷先生。
また、非常に有名なトリックをいかにオリジナリティ溢れる作品へと昇華していくかを常に念頭に置く三津田先生のお話からは、小説家でなくとも多くの方にとって学びがあるのではないでしょうか。

この対談の本編映像はYouTubeで視聴可能ですので、ぜひ観てみてくださいね。

次回の出演者は同じく『時空犯』の潮谷験先生と『推理大戦』の似鳥鶏先生です。王道のタイムリープとミステリの掛け算が生んだまったく新しい作品について語り合ってもらいました。ぜひ、次回もお楽しみに。

驚きと恐怖の"如きものシリーズ”最新作『忌名の如き贄るもの』はこちらからお買い求めいただけます。 

忌名の如き贄るもの

忌名の如き贄るもの

出版年月:2021年7月
著者:三津田信三
出版社:講談社

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。絶版書の復刊プロデュースを数多く仕掛け、ヒット本を発掘することで知られ、読者や出版業界関係者に「仕掛け番長」の愛称で呼ばれる本が大好きな日本男児。

仕掛け番長の記事一覧 Twitter(@maron_rikiya)

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