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「誰か助けて」とネット検索をしたことのある全ての人へ。『学校に行けなかった中学生が漫画家になるまで 起立性調節障害とわたし』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】


『学校に行けなかった中学生が漫画家になるまで - 起立性調節障害とわたし - 』

『学校に行けなかった中学生が漫画家になるまで 起立性調節障害とわたし』は著者の月本千景先生ご自身の「起立性調節障害」の経験から漫画家になるまでを描いたエッセイコミックだ。

本来ならば「起立性調節障害がどんなものか体験談からわかる!」などそんな感じで紹介するのがいいのかもしれない。しかし私はこの作品はもっと多くの、生きる中で何か漠然とした不安を持ったことのある全ての人に読んで欲しいと思った。

この作品に描かれている事は1から100まで月本先生の体験談だ。
正直読むのがつらくなってしまう部分も嘘が無いからこそこの本には綴られている。しかしだからこそ真っ直ぐに読者の心に届く。
そんな1ページ1ページに描かれた想いに私は救われる気がした。
そしてそんな人はきっと私だけではないだろう。

誰かに助けて欲しい。そんな瞬間にきっとこの作品は少しでもあなたの支えになってくれる1冊だと私は思う。

なぜこの漫画を描いたのか、という独白からこの漫画は始まる。
もうイヤな思いしたくないよ。そんな想いもあったなかで、今まで吐き出せなかった言葉を1つの作品として綴ったきっかけ。

そこから小学六年生に突然訪れた病気の兆候、そしてタイトルにもなっている本題の中学生時代へと進んでいく。
小学生時代の話はもちろん病気の兆候の部分もそうだが、友達にとってしまった行動を今も後悔しているという話なども描かれている。
病気のことは私には経験がなく全くわからないし、軽々しくわかると言えないものだと思う。しかし、小学生時代の後悔や教師の行動に対しての想いなど、記憶にある自分自身の経験と重なり感情移入がすっと出来、いつしか自分を作品の中の月本先生と重ねて読んでいた。

読んでいる中で色々な辛い体験があり、本当に心が痛くなったりする事も少なくない。
しかし、そんな経験の中から出て来る月本先生の「言葉」は、だからこそ本物だと思え辛い思いをしている人に勇気を与えてくれるのだ。

今の時代、色々な不安を抱えながら誰もが生きていると思う。
誰かに助けて欲しい。そんな瞬間にきっとこの作品は少しでもあなたの支えになってくれる1冊だと私は思う。

ちなみに月本先生の著書に『つきのもと』という短編集がある。
3つの物語が収められた月本先生の初コミックスで、一部店舗とネット販売でのみ購入が出きる。この作品集に収録の「近距離交換ノート」という物語をSNSで見かけたという方は多いかもしれない。
作品の1ページ目、語り部となる女子高生が偶然図書室で見つけたノート。そこには「僕と交換ノートしてくれませんか」というとても短い文章だけが書かれていた。
誰が書いたものなのか、なぜこのノートが図書室に置いてあったのか。
たった1ページ読んだだけなのに「なんで?」というミステリーを与えられ、偶然見つけたその冒頭だけで私は続きが読みたいと強く思わされる本作。
この作品に込められた思いも『学校に行けなかった中学生が漫画家になるまで』を読んでさらに気が付くものがありより深く作品の事が理解できた気がした。

もしも興味をもったらこの『つきのもと』もぜひ一度読んでいただきたい。

(文:仕掛け番長)

仕掛け番長のおすすめ本

学校に行けなかった中学生が漫画家になるまで 起立性調節障害とわたし

学校に行けなかった中学生が漫画家になるまで 起立性調節障害とわたし

出版年月:2021年12月
著者:月本千景
出版:中央公論新社

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。絶版書の復刊プロデュースを数多く仕掛け、ヒット本を発掘することで知られ、読者や出版業界関係者に「仕掛け番長」の愛称で呼ばれる本が大好きな日本男児。

仕掛け番長の記事一覧 Twitter(@maron_rikiya)

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