監禁女子高生から目が離せなくなる。これはミステリーか? それとも。『見知らぬ女子高生に監禁された漫画家の話』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│黒髪ロングに黒マスク。左手はピース。後ろに隠れている右手には刃物のようなもの…

「見知らぬ女子高生に監禁された。」漫画家のきただりょうま先生のそんなツイートが2021年6月に投稿され、瞬く間に話題になった。
それから毎日ツイートが投稿され、3日目には言われるがままその見知らぬ女子高生を描く事にしたと彼女のイラストがアップされる。
黒髪ロングに黒マスク。左手はピースを作っているもののよく見ると後ろに隠れている右手には刃物のようなものが見える。

『見知らぬ女子高生に監禁された漫画家の話』はそんな投稿の裏側を描いた作品となっており、毎日の監禁の状況と二人の関係の変化を読者として見守っていくのが本作の中心となるストーリーなのだ。

│不思議と惹かれ目が離せなくなる「見知らぬ女子高生」

物語が進むにつれ少しずつ見えてくる女子高生の性格や本質になんだか可愛さを感じて読者としても愛着が湧いてくる。
それが怖さと重なり感じるつり橋効果的なものなのか、純粋なものなのかはわからないが、とにかく監禁されている、鎖につながれ自由がきかなくなっているという状況にもかかわらず、全く彼女に対してもちろん最初は戸惑いもあったが、生活が進んでいく中で嫌な感情を主人公が持っているような感じは受けない。
そしてそれは読者も同じで、まさに監禁されたという状況から相手に対する好意を持つという状況を追体験しているような感覚に陥るのだ。
それが今まであったどの作品とも違った不思議と惹かれる感情を生み読む者の心を掴んでいく。

サスペンス? ホラー? ミステリー? もしくはラブコメ?
見知らぬ女子高生の彼女自身の謎や監禁から始まった二人の関係の行く末はどうなっていくのか楽しみに続きを待っていたいと思う。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

見知らぬ女子高生に監禁された漫画家の話

1巻発売中

著者:きただりょうま
出版社:KADOKAWA

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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