次にくるマンガ大賞ノミネート作からオススメの4作を紹介!!【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

今年も「次にくるマンガ大賞」の時期がやってきました。
ノミネート作がコミックス部門、Webマンガ部門と発表され7月11日(月)の11時まで投票受付中となり漫画業界が例年のごとくザワついています。

ユーザーの投票で「次にくる」作品がランキングされるこの企画ですが上位に入る作品への読者の注目が高く、発表後売上が爆伸びする傾向が毎年続いています。
それだけに書店などどこに行っても大きく展開されるなどもあり夏の風物詩的なお祭り感も強い印象があります。

と、今回はそんな「次にくるマンガ大賞2022」のノミネート作が発表されたという所で完全に独断と偏見でのノミネート作からのおすすめ作品をいくつかご紹介していきたいと思います!!

│『愛してるゲームを終わらせたい』

幼なじみの二人ゆきやとみくが小6の頃から突然始めた「愛してるゲーム」
これは交互に「愛してる」と言って照れたら負けというゲーム。
子供の遊びとして行っていたこのゲームはそれから4年後二人が高校生になっても決着がつかないまま続いていた…。

最初に描かれるゆきや目線とその後に描かれるみく目線。ゆきやとみく、お互いが知らないそれぞれの相手に自分の事を想って欲しいがゆえの行動と、それに対しての相手の受け取り方。その素直になれない二人のやり取りがもうたまらなく二人の関係を愛おしく思わせるんです。
根が陰キャのゆきや。しかしみくに想って欲しくて、髪にワックスをつけ必死にクネクネして何とかカッコよく見せようと努力している。そしてそれに気づいておりその行動を可愛いと心の中で思っているみく。
実は学校でモテる彼女も彼女で早起きして髪のトリートメントなど2時間も準備に時間をかけたり筋トレも肌の手入れもゆきやに想って欲しいがゆえに必死に行っていたりする。

そんな高校生男女の可愛さ溢れる恋愛模様。読んでいて思わず悶えてしまいます。。。
ちなみに著者堂本裕貴先生は可愛い女の子を描かせたら間違いない漫画家さんなのですが今作のヒロインみくの可愛さはほんとに異次元級なのでラブコメ好きは本気で必見の作品です。

│『悪役令嬢の中の人〜断罪された転生者のため嘘つきヒロインに復讐いたします〜』

幼い頃に高熱を出して倒れた悪役令嬢レミリア。それをきっかけにその乙女ゲームの世界の知識を持った少女エミが彼女、レミリアとしてその世界に転生する。そしてその持てる知識から周りの人間たちを救い断罪イベントを回避していきます。
しかしこの作品の主人公はエミではなく転生した悪役令嬢レミリア。
レミリアはエミが彼女として転生した後も意識があり、エミと記憶を共有し、そしてエミの優しさに触れ姉妹のような存在として彼女を好きになっていきます。

時は流れ、エミは持ち前の優しい性格から周りから愛されながら幸せな生活をおくっていたのですが、そこに本来のゲームの主人公が現れることで事態は急変。
最初は誰からも愛されなかった彼女だが実は彼女も転生者でありそのゲーム知識を使い回りの人間たちの感情をコントロールするマジックアイテムを使用し学園を掌握。
エミを見事に本来のゲームの元筋である断罪イベントに導くのです。
心がギリギリの状態まで追い詰められていたエミはこの断罪イベントで全てに絶望してしまい心を手放してしまい、その瞬間、その体には本来の体の持ち主レミリアの意識が戻り…。

これは愛するエミを裏切った全ての存在に復讐を誓い、エミを陥れた本来の主人公を死ぬ以上の地獄に落とすことを決意した悪役令嬢レミリアがエミを通して知った知識、持ち前の頭脳からそれをなそうとする衝撃の物語なんです!!

ダークヒーロー的な要素と作画の白梅ナズナ先生の圧倒的な画力が素晴らしい化学反応を生み緊迫感のある濃厚な作品に仕上がっている本作。
今までにない悪役令嬢ものとしてオススメです。

│『薫る花は凛と咲く』

名門お嬢様学校「私立桔梗学園女子高等学校」、バカが集まる底辺校「都立千鳥高等学校」
桔梗は千鳥を露骨に嫌っていて千鳥も桔梗に必要以上に関わらない。
ただ学校が隣なだけ。そんな千鳥に通う紬凛太郎と桔梗に通う和栗薫子、二人の恋の物語がこの『薫る花は凛と咲く』なんです。

隣り合う仲の悪い高校に通うもの同士の恋、いわゆるロミオとジュリエットものの本作ですが、少女漫画的な表現と少年漫画的なラブコメの恋の痛さとキャラクターの愛しさの両立がとても上手くされていて、読んでいて心がもう大変になってしまう度が凄い作品なんです!
二人の出会いのシーンとして描かれる凛太郎の実家のケーキ屋でのシーンは、まずケーキをほおばる和栗さんの可愛さにドキドキし、その姿を凛太郎に見られ思わず恥ずかしくて店を飛び出してしまう姿にさらに可愛いかよ! と叫びたくなり、その後自分が彼女を怖がらせてしまったのかもと悩む凛太郎にドギマギさせられ、翌日再来店し昨日お店を飛び出していった経緯を話し、ようやくお互い自己紹介しそこで思わず飛び出した和栗さんの「やっと知れた」の一言でもう甘酸っぱさが爆発する…。もうやばいです。

二人の淡い恋に目が離せなく本作はまだ2巻までにも関わらず男女問わずジワジワと口コミで人気が広がってきており2022年注目の作品のひとつとなっています。

『隣のお姉さんが好き』

お隣に住む、家族ぐるみの付き合いをする高校二年生の心愛さんに恋をする男子中学生たーくんの恋心を描いたラブコメディなんだろう…1話目だけを読んだ感想はそんな感じのものだったのですが…。

美人でお父さんがアメリカ人、3つ上の高校二年生、心愛さんと主人公であるたーくんの日常を描いた本作。毎週水曜日に一緒に映画を見る約束をしている二人。
心愛に告白をするたーくんを見事なスルースキルでやりこなす彼女。
今どきのラブコメの王道なのかなと思って読んでいくと、物語は思いもよらない方向へ話を進めていく。ヒロインである心愛とはどんな人間なのか。それを知っていくのがこの『隣のお姉さんが好き』という物語なのです。

この作品は基本的に全てたーくんの目線で語られます。
なので、心愛の心情を読者も正確に知る事は出来ず、それを知るためには彼女の行動ひとつひとつから読み取るしかありません。
一人でドーナッツ屋さんで泣いていた理由も、いつも壁を作るような態度でいる理由も、私は人に好かれるような人間じゃないと自分を語る理由も。
中学生男子であるたーくんから見る年上の女性としてのフィルターのかかった心愛の姿。
年上の人に恋をして自分よりも経験を積んでいるであろうその相手の事をもっと知りたいのに、自分の幼さゆえにそれを知る事が出来ないもどかしさのようなものの追体験と重なり、1つ1つの心愛の行動がミステリアスに映りこれが想像以上に読者の好奇心をくすぐってくるのです!!!
まだ1巻目ですがもはや心愛に心を掴まれること間違いなしな作品です。


いかがでしたでしょうか?
もし気になった作品があればぜひ一度読んでみてください。
そしてぜひぜひあなたのお気に入りの「次にくるマンガ」に投票していただけたらと思います。
この賞からまた今年も次の大ヒット作が生まれるのが本当に楽しみです!!

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

愛してるゲームを終わらせたい

1巻発売・レンタル中

著者:堂本裕貴
出版社:小学館

悪役令嬢の中の人~断罪された転生者のため嘘つきヒロインに復讐いたします~

1巻発売・レンタル中

著者:白梅ナズナ、まきぶろ
出版社:一迅社

薫る花は凛と咲く

3巻 7月8日発売、2巻までレンタル中

著者:三香見サカ
出版社:講談社

隣のお姉さんが好き

1巻発売・レンタル中

著者:藤近小梅
出版社:秋田書店

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

一覧に戻る