口裂け女の自信のなさは可愛い!? 新時代の学校の七不思議!『学校の推せる怪談』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│怪異の本質は全くいじらず、そのままの姿を愛されるように導いていく。。。敏腕怪異プロデューサー五寸釘子の活躍を描いた怪談漫画

「学校の怪談」と聞いて私と同世代で少しも心がざわつかない人はいないのではないだろうか? 私の通っていた学校でも「トイレの花子さん」「13階段」などのいわゆる学校の七不思議の噂は多かった。特に『地獄先生ぬ〜べ〜』など怖い物語がとても流行っていたので、そんな噂はいつも何かしらあったように思う。
さてそんな「学校の怪談」今の時代ではどんな扱いを受けているのだろうか?

YouTubeなどで出回る「衝撃」や「驚き」を極限まで高めた今のエンタメとしての恐怖映像などがある。そんな新勢力に押され、学校の怪談は昔の様に怖い話のど真ん中の存在というわけではなくなってしまっているのかもしれない。

今回紹介したい『学校の推せる怪談』は、そんな時代の学校の七不思議の怪異達と、噂が忘れ去られてしまったら存在することが出来なくなってしまう怪異達を「推し怪異」としてプロデュースし、怖さではなく可愛さで人間達を悶えさせる次世代の七不思議として存在させようとする推しオカルト研所属2年組「五寸釘子」の物語なのだ。

1話目では「怪異イヌ人間はわん子となり恐怖の対象はすぐに人に懐いて帰ろうとするとちょっとだけ追っかけてくるという思わずキュンとしてしまう様な存在」にプロデュースされ人気者になる姿が描かれる。
その後も「トイレの花子さん」「口裂け女」と誰もが知る恐怖の怪異達はかわいくて推せる存在へと変貌していくのだが……この作品の面白いポイントはプロデュースの仕方にある。怪異の本質は全くいじらず、行動なども規制する事などせずそのままの姿を愛されるように導いていく。
例えば「私綺麗? これでも?」で有名な口裂け女。
しかし彼女の自信のなさ、自分のコンプレックスは他人にとってのストライクゾーンになり、それを恥じらえば恥じらうほど強大な武器になるという口裂け女の本質はかわいいとプロデュースする話はものすごい説得力を持ち、思わずこの作品を読んだ読者はみな口裂け女を可愛い存在と認識するようになるのでは? と思ってしまうほどだ。

│トイレの花子さんが元気にダブルピース!? 花子さんの可愛さを前面に出した2巻表紙で気になる読者増!!

さてそんな『学校の推せる怪談』だが、シンプルだけどトイレの花子さんの魅力を上手く伝えるデザインで2巻発売時に気になり読みだしたという声が非常によく聞こえてきた。
また日常もの、1話完結の形を取っておきながら1巻のラストで非常に気になる上手い引きを作り、1巻を読んだ読者が2巻をどうしても読みたくなる構成も巧だと思えた。
作中の五寸釘子のプロデュースのような技がコミックス全体からも伝わってくる。

全く新しい怪談漫画である本作。
ぜひ気になった方は一度手に取ってみていただきたい。

(文:仕掛け番長)

仕掛け番長のおすすめ本

学校の推せる怪談

2巻まで発売中

著者:井上とさず
出版社:少年画報社

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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