新年度が始まっても何も変わらないあなたへ、気持ちが新たになる映画3選

  

新年度も2カ月が過ぎ、新しい環境や新しい出会いに日々、刺激を受けている人は多いだろう。一方、まったく変化がないという人もいるはずだ。

そんなマンネリから抜け出す一つの手は、映画を通して新しい世界に触れてみること。代官山 蔦屋書店シネマコンシェルジュの冨丘紗里氏は「周りが変わらないなら、自分の内側を変えてみませんか?」と提案する。今回はそのきっかけを作ってくれそうな3本の映画を紹介してもらった。

コンシェルジュがおすすめ、いつもの日常が変わって見える名作

自分の名前の由来、知っていますか?

人は誰もが名前を持っている。そしてその名前には必ず由来がある。インド出身の両親のもとニューヨークで生まれ育った青年ゴーゴリは、ロシアの作家ニコライ・ゴーゴリから取られた自分の名を嫌って改名する。だがある時、名前に込められた親の思いを知り、自らのルーツを見つめ直す——。ピュリッツアー賞受賞作家ジュンパ・ラヒリによるベストセラー小説を、世界的に活躍するインドの監督ミーラー・ナーイルが映画化した人間ドラマ。インドで見合い結婚し、アメリカに移住して異邦人として生きてきた夫婦と、アメリカ文化の中で育ち、恋愛や結婚などに関して親とはまったく違う価値観を持つ子どもの絆を30年にわたって描く。

「映画は父親が学生時代に列車の転覆事故に遭うシーンから始まります。父親が車中で知り合った老人から『海外に出て経験を積め』とアドバイスされた直後に事故が起き、彼は握りしめていたゴーゴリの本が目印になって奇跡的に救出されます。この出来事は父親の人生をどう変えたのか? そして父親はどんな思いで息子をゴーゴリと名付けたのか? 映画の後半、社会人になった息子が父の気持ちに気づく場面が感動的です。

私たちは自分自身のことは自分が一番よく知っていると思いがち。でも実はそうではなくて、たとえば親にとって自分という人間は、生まれる前から存在しているわけです。自分の知らない自分の人生を発見することの面白さ、素晴らしさを描いた作品です」

世界の広さに圧倒されるドキュメンタリー

『世界の果ての通学路』(2012年フランス)

監督:パスカル・プリッソン 出演:ケニア、アルゼンチン、モロッコ、インドの少年少女たち

世界には、学校に行くことこそが明るい未来を切り開くと信じ、道なき道を何時間もかけて通う子どもたちがいる——。通学そのものが命がけの冒険といっても過言ではない、辺境で暮らす4組の子どもに密着したドキュメンタリー。片道15キロ、野生動物の襲撃に注意しながら妹を連れてサバンナを2時間小走りするケニアの少年。22キロ離れた家と全寮制の学校を、アトラス山脈を超えて片道4時間、毎週往復するモロッコの少女。片道18キロ、妹と馬に二人乗りして無人のパタゴニア平原を駆け抜けるアルゼンチンの少年。片道4kmの悪路を、二人の弟にオンボロ車椅子を引っ張ってもらいながら進むインドの少年。瞳を輝かせながら将来の夢を語る彼らの魅力に加えて、険しくも美しい大自然に根ざしたそれぞれの生活風景も必見。

「劇場公開時に映画に出演しているケニアの兄妹がプロモーションで来日し、代官山 蔦屋書店では地元の小学生と一緒にワークショップを行いました。1人1台カメラを持ち、日本の小学生が普段歩いている通学路上でそれぞれ気になったものを写真撮影したのですが、子どもたちはそれぞれの視点の違いに刺激を受けたようで、とても実りのあるイベントができました。また日本の小学生たちは、ケニアの二人との交流を通して、当たり前だと思っていた学校に行くということがいかに貴重な体験であるかに気づかされたようです。

もちろん大人が観ても刺激的な映画です。教育の大切さを実感するのはもちろんですが、登場する子どもたちに感化され、もっと広い世界を知りたい、もっと知識を得たいと思わせられます」

人の命は思いもよらないところでつながっている

老いた母を介護する51歳のカレンは、14歳の時に出産してすぐ養子に出した娘のことを忘れられないでいた。一方、実母を知らずに育った37歳のエリート弁護士・エリザベスは一人で生きていくつもりだったが、思わぬ妊娠をきっかけに母の存在を意識し始める。そして子どもができないルーシーは、養子縁組支援団体から紹介されたある妊婦との面接を経て、母親になる準備を進めるが……。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で今年のアカデミー賞を席巻したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥが製作総指揮、『彼女を見ればわかること』のロドリゴ・ガルシアが監督・脚本を手がけたヒューマンドラマ。

「『その名にちなんで』と同様に、観終わって自分自身を見つめ直したくなる映画です。原題はMother and Child。互いに顔を知らないカレンとエリザベスの母子のドラマが基軸になっていてそれだけでも十分面白いのですが、そこへ第三の女性の物語が加わることで予想外の感動的な広がりが生まれます。一人で生きていると思っていても、自分の知らないところで誰かとつながっているという希望を感じさせる脚本が見事。決してハッピーエンドではないのに爽やかな余韻が残ります。

監督・脚本が男性であることが大きいのかもしれませんが、『これが女性の現実だ、これが母と娘の関係だ』というような厳しい視線ではなく、女性を理解したいという視線で描かれているところもいいですね。パッケージのビジュアルはいかにも女性向け映画という感じですが、男性にもぜひ観ていただきたい作品です」


自分のルーツや世界の見方、そして人との関わり方についてしみじみと考えさせられる映画3本。鑑賞後は、一見代わり映えのしない毎日にも新たな気持ちで向き合えるようになりそうだ。

【代官山 蔦屋書店】
シネマコンシェルジュ 冨丘紗里 氏

2011年10月から同店のコンシェルジュに。大学では映画について研究。年間150~350本の映画を観ている。国を問わず海外ものが得意分野で、単館系からヒット作まで幅広く網羅している。

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