大根 仁がおすすめする大人の胸キュン映画8本

一口に胸キュンと言えども恋愛だけじゃない!
切なさも、イタさも、輝きも、映像に落とし込んできた人気監督にズキュンと響いた、心の琴線に触れる8本。


大根 仁がおすすめする大人の胸キュン映画8本

『ONCE ダブリンの街角で』

世界的にヒットし、のちにミュージカル化もされた音楽映画。アイルランドの首都、ダブリンで出会ったストリートミュージシャンとチェコ移民である花売りの女性の恋。

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『マッチポイント』

ウディ・アレン監督が初めてロンドンを舞台に撮ったサスペンス。上流階級の女性と結婚した元プロテニスプレイヤーが、不倫の恋に溺れ、野心と欲望の間で葛藤する。

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『トキワ荘の青春』

昭和30年代、東京にあるアパート、トキワ荘に暮らす寺田ヒロオ、藤子不二雄、赤塚不二夫ら、後に名を上げる若き漫画家たちの青春をフィクションを交えて描く。

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『ドライヴ』

スタントドライバーをしながら、強盗犯の“逃がし屋”もする男が、愛する女性を守るために一人で闇組織に戦いを挑む姿をスタイリッシュに描いたバイオレンス作。

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『幸福の黄色いハンカチ』

NYポスト紙に掲載されたコラムを基に、網走刑務所を出所した男が妻のもとへ向かう道のりを描いたロードムービー。TVドラマ版やハリウッドリメイクも作られた。

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『フライト』

旅客機の機長が、奇跡的に緊急着陸を成功させ大惨事を回避し英雄に。だが着陸後の検査で血中からアルコールが検出され、彼は飲酒の事実を認めるか否かで悩む。

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『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』

小学6年生の男女が夏休みの花火大会の日に繰り広げる友情と恋のドラマ。TVドラマ『If もしも』の1作として作られ、のちに再編集版が映画として劇場公開された。

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『幸福』

米国の小説『クレアが死んでいる』を翻案したミステリー。銃による殺人事件を調べる刑事たちが、犯行の背景にあった厳しい現実を知り、“幸福”について考え直す。

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『ONCE〜』は二人の関係が美し過ぎる! 『マッチポイント』の結末を否定する男は信用しない

『ONCE ダブリンの街角で』© 2007 Samson Films Ltd and Summit Entertainment N.V.

『ONCE ダブリンの街角で』(C) 2007 Samson Films Ltd and Summit Entertainment N.V.

いい歳した中年のボーイ・ミーツ・ガール、いや、“おっさん・ミーツ・おばさん”映画『ONCE ダブリンの街角で』。よくできた恋愛映画でありながら、すばらしい音楽映画でもある。何よりも楽曲がいい! 冒頭、街角で歌う薄汚れたおっさんの弾き語りの曲に対して「コイツ、才能あるじゃん!」と思わせることが、映画を最後まで引っ張る力になっている。何より主人公二人の関係が美し過ぎる! キスもセックスもないままだけど、それよりももっともっと深いところでつながっていく。恋愛映画としても音楽映画としても珠玉の一本。そしてこの作品がものすごい低予算で作られていることが、さらに映画をキラキラ輝かせている。

『マッチポイント』© JADA PRODUCTIONS 2005

『マッチポイント』(C) JADA PRODUCTIONS 2005

“世界一セクシーな女優”スカーレット・ヨハンソンの、最もセクシーな映画『マッチポイント』。こんな女と出会ってしまったら人生棒に振ってしまっても仕方がない! 主人公の行動はどれもこれも最低最悪だが、だってヨハンソンだもの。そりゃそうなるわ。ウディ・アレンの作品で優劣をつけるのは難しいし、野暮なことだが、どれか一本選べと言われたらこの作品を選ぶ。この映画を恋人同士で観たら、ラストの結末に対して相当な話し合いが持たれることは必至だが、オレはこの結末を否定する男は信用しない。

『バクマン。』撮影時のお守りだった『トキワ荘の青春』
“3つの顔”が新しい『ドライヴ』

『ドライヴ』© 2011 Drive Film Holdings, LLC. All rights reserved.

『ドライヴ』(C) 2011 Drive Film Holdings, LLC. All rights reserved.

あの漫画界伝説の梁山泊、トキワ荘に集まった漫画家たちのまだ何者でもない若き日々を描いた『トキワ荘の青春』。静かに淡々とただただ描き続ける日々、それでも漫画に対する想いは熱く、ある者は成功し、ある者は挫折し、あきらめ、苦しみ、でも楽しく……。名もない、金もない、若者たちのルサンチマンを描くとき、映画は衝動や暴力をテーマにしがちだが、何も起こらない日常にだって猛る想いはあふれている。名手、市川準監督の最高傑作。こんな映画が作られることはおそらくもう、ない。美しい。とにかく美しい映画。2015年公開の拙作映画『バクマン。』も若い漫画家たちの物語だが、オレは撮影現場にお守りとして『トキワ荘の青春』のDVDを毎日持っていった。

『ドライヴ』は物静かなアウトローとワケあり女、車と暴力。もうこれだけで充分胸キュンだが、80年代ビンテージ感漂う音楽がさらに我々中年世代の心をざわつかせる。映画において、アウトローの設定なんて出尽くしたと思っていたが、ライアン・ゴズリング演じる主人公(その名もドライバー!)の設定は自動車修理工・カースタントマン・強盗の逃がし屋と、3つの顔が新しい! ワケあり女、アイリーン(キャリー・マリガン)とのシーンはどれもが胸キュンポイントだが、ラスト前のエレベーター内におけるキスからのとんでもない暴力シーンは最高!! あと、ドライバーがアクションシーンでほとんど銃やナイフを使わないのもカッコいい。

ラストの武田鉄矢と桃井かおりのキスは、
邦画史上屈指の胸キュンシーンだと思う

『幸福の黄色いハンカチ』© 1977,2010 松竹株式会社

『幸福の黄色いハンカチ』(C) 1977,2010 松竹株式会社

山田洋次監督、高倉健主演、第1回日本アカデミー賞最優秀作品賞の『幸福の黄色いハンカチ』だが、邦画クラシックと侮ることなかれ。ストーリーの軸は偶然出会った若い男女(武田鉄矢、桃井かおり)の恋愛&ロードムービー。当時無名だった武田鉄矢のテンション300%の「やれることはなんでもやる!」的な全身芝居がすばらしい! すべての若い役者、いや、すべてのまだ何も始まっていない若者たちに観てもらいたい。桃井かおりも当時はアングラ女優で、山田洋次に抜擢された若い二人のすべてを受け入れる高倉健がとにかくいい! 無口で、影を背負っていて、不器用で、でも優しくて……の高倉健イメージが一番引き出されているのが本作。ロードムービーの体裁をとりながら徐々に健さん演じる男の過去がインサートされてゆく構成と編集もうまい。撮影も瑞々しく、この頃の山田洋次がいかにノっていたことか。そして、有名なハンカチシーン。もちろん名シーンだが、改めて観るとこのシーンの前後が実にいい! ラストの武田鉄矢と桃井かおりのキスは、邦画史上屈指の胸キュンシーンだと思う。でもやっぱり高倉健なんだよなあ、この映画は。健さん単独主演の胸キュン映画としては『駅 STATION』も超お薦めです。

映画監督として、ロバート・ゼメキスの手腕に胸キュンしてしまった

『フライト』© 2012 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED. TM, ® & Copyright

『フライト』(C) 2012 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED. TM, (R) & Copyright

『フライト』© 2012 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED. TM, ® & Copyright

『フライト』(C) 2012 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED. TM, (R) & Copyright

ここ数年観た映画のなかで、脚本の巧妙さ、演出のスゴ味という点においては断トツの『フライト』。女にだらしなく、アルコール&薬物依存症の中年パイロット、ウィップ(デンゼル・ワシントン)。男を救うのは、期せずして起きた飛行機事故と、同じく薬物依存症の女性ニコール(ケリー・ライリー)だった。お互い最悪の状況での出会いのシーンは病院の非常階段。坂道や階段は、お互いの関係性を映像的に説明するときによく使われるが、これほどまでに見事な階段演出は観たことがない。男女の出会いのシーンとしてではなく、映画監督として、ロバート・ゼメキスの手腕に胸キュンしてしまった。何から何まで先が読めない映画なのだが、こんな大傑作が米アカデミー作品賞(R)にもノミネートされず、日本でもあまり客が入らなかったこともわからない。「何か面白い映画ある?」と聞かれたら、オレはまっ先に「『フライト』、観たことある?」と答えます。

すべてにキュンキュンキュン!!!
ジュブナイルものとしても邦画史上まれにみる傑作

『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』© 1996 ROCKWELL EYES INC.

『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』(C) 1996 ROCKWELL EYES INC.

何から何まで胸キュンだけで作られている映画『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』。海沿いの街に暮らす少年少女たちにキュン! 風景にキュン! 奥菜恵のすべての動きと表情とセリフにキュン! 映像にキュン! 音楽にキュン! そしてラストの夜中のプール、「次に会えるの二学期だね、楽しみだね」のセリフを残して泳いでゆく奥菜恵にキュンキュンキュン!!! もともとはTVドラマとして放送されたのだが、そのあまりもの映画的クオリティに、再編集して劇場公開された本作。脚本&監督の岩井俊二の最高傑作であり、ジュブナイルものとしても邦画史上まれにみる傑作。すべての薄汚れちまった大人たちに観てほしい。胸キュンということにおいては、500%保証します! オレが。

『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』© 1996 ROCKWELL EYES INC.

『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』(C) 1996 ROCKWELL EYES INC.

水谷豊主演の刑事モノといえば、
中学2年生のときに劇場で観た『幸福』をおいてほかにない

“銀のこし”という特殊な撮影技術を駆使して作られた映像は、中学生のオレでもその美しさにしびれた。名匠、市川崑監督作品ながら、'81年の公開以来、一度TV放映されただけで以降、まったく再上映もソフト化もされなかった幻の作品。2009年、28年の時を経てようやくDVD化された。女房に逃げられ、子ども二人を育てながら無差別殺人事件を追う刑事を演じた水谷豊がすばらしい。ベタな設定とキャラクターながらどこか都会的で、和製ハードボイルドなムードが漂うのはスタイリッシュな市川崑監督らしく、どのシーンの水谷豊も胸キュンである。水谷豊主演の刑事モノといえば、誰もが『相棒』を思い浮かべるはずだが、オレにとっては中学2年生のときに劇場で観たこの『幸福』をおいてほかにない。


大根 仁

大根 仁

1968年東京都生まれ。演出&脚本を手がけたTVドラマ『モテキ』の劇場版で'11年に映画監督デビュー。ヒットメーカーとして、『まほろ駅前番外地』('13)、『リバースエッジ 大川端探偵社』('14)などの深夜ドラマをはじめ、映画、舞台、ミュージックビデオと幅広いジャンルで活躍。

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アーティスト情報

大根仁

生年月日1968年12月28日(49歳)
星座やぎ座
出生地東京都

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