『ストレイト・アウタ・コンプトン』(15)と併せて観たい! ラッパーにまつわる映画4選

(C)2015 UNIVERSAL STUDIOS

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ドクター・ドレ―やアイス・キューブ、イージー・Eらが結成した伝説的ヒップホップ・グループ「N.W.A.」の結成と、80年代アメリカにおける黒人差別を描いた映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』が現在公開中だ。そこで今回は、同作と併せて観たい、ラッパーにまつわる映画を4本紹介する。

『ボーイズ'ン・ザ・フッド』(91)

ジョン・シングルトン監督の『ボーイズ'ン・ザ・フッド』は、アメリカ最悪の治安で知られるロサンゼルスのサウス・セントラル地区を舞台に、3人の若者の青春を描く作品。主人公の1人であるダウボーイを、若き日のアイス・キューブが演じている本作の見どころは、社会性あふれるストーリー。

黒人シングルマザーの葛藤、日常的な殺人と強盗、機能していないロサンゼルス警察、人種間の軋轢…これらが常に緊張の糸を引いているサウス・セントラル地区で暮らすトレ(キューバ・グッティング・Jr)、ダウボーイ(アイス・キューブ)、リッキー(モリス・チェストナット)が送る「青春の日々」は、日本では考えられないほど危険だ。しかし、本作はサウス・セントラルのリアリティをしっかりと掬い取ったからこそ、各方面から絶賛された。

特筆すべきは、名優ローレンス・フィッシュバーン演じるトレの父フューリアスが、人種間の軋轢の背後にある社会構造を説明するシーン。なぜ黒人と黒人が殺し合うのか?なぜ黒人ばかりが悪者にされるのか?その社会的なカラクリを明かすフューリアスの明快な解説には、人種問題を考えさせられる確かな力がある。

『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』(01)

「意識低い系映画」の巨匠として映画ファンに親しまれているケビン・スミス監督の中でも、本作ほどしょうもなく、笑える作品はない。主人公は、ボンクラコンビのジェイ(ジェイソン・ヒューズ)とサイレント・ボブ(ケビン・スミス)。 ある日2人は、自分たちをネタにした映画がハリウッドで製作されていることを、友人のホールデン(ベン・アフレック)に知らされる。自分たちに無許可で映画を製作しているハリウッドに腹を立てた2人は、ヒッチハイクをしながらカリフォルニアを目指し、映画の製作を阻止しようとするのだが…。

2人の旅路では、何ら含蓄のあるセリフやシーンは描かれない。その代わり、ジェイの低クオリティなラップ、下ネタ、数々の映画へのオマージュが思い切り笑わせてくれる。物語の後半、ハリウッドにたどり着いた2人を迎える、豪華すぎるゲスト出演者にも爆笑必至。業界人や映画オタク向けの、ハリウッドにおける小ネタが逐一放り込まれるのもグッド。

『8 Mile』(02)

ラップはその誕生以降、長きにわたって黒人の専売特許だったが、ある白人ラッパーの登場によってその構図は崩された。そのラッパーこそ、現在では史上最も偉大なラッパーの一人に数えられるエミネムだ。カーティス・ハンソン監督の『8 Mile』は、エミネムがデトロイトで送った若き青春の日々を描いた作品である。

主人公のラビット(エミネム)は、母と妹とトレイラーで暮らしている。彼は貧しく惨めな人生に嫌気がさしており、ラップで一発逆転を狙っているが、MCバトル(ラップの大会)では良い結果を出せないでいた。そんなある日、彼はモデルを夢見るアレックス(ブリタニー・マーフィ)に出会い、恋に落ちる。そしてラビットは本領を発揮するようになり、MCバトルを圧倒的な強さで勝ち上がっていくのだが…。

本作の見どころは、ラビットによるキレキレのMCバトル。エミネムのラップはCD音源で広く親しまれてきたが、やはりラップの真骨頂は、フリースタイルのMCバトルでこそ発揮される。ラップは低俗な文化として蔑まれてきた歴史があるが、MCたちの即興性に溢れるリリック(=言葉)のチョイスはもはや芸術の域。「覚醒」したラビットの口からあふれ出すリリックの洪水は、聞く者を圧倒する。

『TOKYO TRIBE』(14)

鬼才・園子温監督が生んだ、世界初のラップ・ミュージカル映画が『TOKYO TRIBE』。舞台は近未来のトーキョー。人々はトライブと呼ばれる族を形成し、それぞれのテリトリーを守っていた。主人公の海(YOUNG DAIS)は、ムサシノSARUの一員として、リーダーのテラ(佐藤隆太)たちと平和に暮らしていたが、海に恨みを持つブクロWU-RONZのメラ(鈴木亮平)によってテラが殺されてしまう。他のトライブにとってもカリスマ的な存在だったテラの死によって、トーキョー中のトライブを巻き込む全面戦争が始まってしまい…。

ミュージカル映画は多くあれど、ラップを用いたミュージカル映画は今まで無かった。この盲点を突いた園子温は、トライブたちの抗争に、アクション映画ばりの激しい肉弾戦を組み込み、バトル・ラップ・ミュージカルという新たなジャンルを開拓した。日本語ラップは往々にして違和感を覚えさせてしまいがちだが、本作に登場するキャラクター、そして世界観そのものがぶっ飛んでいるため、不思議と違和感を感じさせない。

そして特筆すべきは、海を付け狙うメラになり切った鈴木亮平の怪演。肉体を鍛え上げて、当時出演していた朝ドラとのイメージが真逆のメラを演じ切ったことで、鈴木の演技力と映画に対する姿勢は絶賛された。その鈴木演じるメラが、海に対して抱く「恨み」とは一体何なのか?その真相が明かされる爆笑のクライマックスに、ぜひ期待してほしい。

(文・岸豊)

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アーティスト情報

エミネム

生年月日1972年10月17日(46歳)
星座てんびん座
出生地米・・ミシガン・デトロイト

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ジョン・シングルトン

生年月日1968年1月6日(51歳)
星座やぎ座
出生地

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