『クーパー家の晩餐会』ジェシー・ネルソン監督インタビュー「自分たちの家族のことも投影しているし、普遍的な描き方ができた」

ジェシー・ネルソン監督

ジェシー・ネルソン監督

『I am Sam アイ・アム・サム』ジェシー・ネルソン監督、『P.S. アイラブユー』のスティーヴン・ロジャースによる脚本、『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』のフードスタイリストによる絶品料理、ダイアン・キートンをはじめとする豪華俳優たちの競演──そんな魅力的なキャスト&スタッフによって作られた『クーパー家の晩餐会』は、4世代にわたる11人と1匹が集まり家族団らんとなるはずのクリスマスイブに家族の秘密が次々と明らかになる、ユーモアに満ちた感動作! ジェシー・ネルソン監督に話を聞いた。

──この『クーパー家の晩餐会』はオリジナル脚本です。監督がこの脚本を読むきっかけ、また監督したいと思った決め手は何だったのでしょうか。

脚本家のスティーヴン・ロジャースとはもともと友人で、彼がこの脚本を書いているときに私も少し手伝っていたら監督したくなったの。それで第1稿が出来上がったところから2人で1年ほどかけてストーリーやキャラクターを掘り下げて、そしてダイアン・キートンに話しをしたら「やりたい!」と言ってくれた。そこから映画を撮るまでには4年ほどかかってしまったけれどね(笑)。

(C)2015 CBS FILMS INC. ALL RIGHTS RESERVED.

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──物語の中心になっているのはクーパー家の母シャーロット(ダイアン・キートン)と父サム(ジョン・グッドマン)の離婚の危機ですが、夫婦をとりまくいくつものエピソードが展開し、そのひとつひとつが映画になりそうな話ばかりです。1つの映画にまとめるにあたって監督が気をつけたことはどんなことですか。

一番の挑戦はそれぞれのストーリーに十分な時間を与えることができるかどうかだったの。キャラクターがどんなことに直面していて、どんな心情であるのか、それを伝えることが大切ではあるけれど、1つのストーリーばかりを追ってしまわないようにバランスを取ることが重要だった。感動するシーンから笑えるシーンに切り替わると、せっかくの感動が薄れてしまうでしょう。そうしないために──たとえば、エレノア(オリヴィア・ワイルド)とシャーロットのシーンは繋げた方がいいとか、撮影した素材をもとに編集は一から作り直すようなものだったわ。

──ダイアン・キートンが中心ながらも全員が主役でもある、それがまとまっているのは編集のこだわりなんですね。彼らの物語のなかには監督や脚本のロジャースさんの体験談も入っていたりするのでしょうか。

自分たちの家族のことも投影しているし、すべてのキャラクターに少しずつ自分たちのことも入っている。だからこそ普遍的な描き方ができたと思うの。家族の力学──うまく家族に入り込むことができない妹のエマ(マリサ・トメイ)や、周りをハラハラさせる生き方をしている娘のエレノア、離婚してからも子供を一緒に育てようと努力している夫婦、1人でシニアライフを送る孤独な男性……すべて普遍でしょう。

(C)2015 CBS FILMS INC. ALL RIGHTS RESERVED.

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──ほんとうに。それぞれの登場人物に共感しました。母シャーロットは離婚することを隠したままクリスマスパーティを成功させようと必死です。ですが実は母だけでなくみんなそれぞれ秘密を持っていた、というのがこの映画のスパイスになっていますね。

それが家族という皮肉でもあるのよね。家族は何でも打ち明けられる存在、自分に近い存在が家族であるべきなのに、相手を心配させたくなくて秘密を抱えてしまう。「愛という名のもとの犯罪」そんな言い方もできるかもしれない。だからこそ気をつけなくてはならないのは、自分を隠したままでは本当の意味で繋がることはできないということね。家族を感心させたい、安心させたいと思って嘘をついても本当の意味では近づけない。それを知ってほしい。「私の人生はいつだって順調よ!」って、良いところを見せたくても、人生ってそんなに簡単なものじゃないもの(笑)。

──そうですね。次々と秘密が明らかになっていく展開がとても面白かったです。ちなみに監督の家ではどんなクリスマスを過ごすのでしょうか。

美味しい食事と、歌と、笑い声と、それから“おふざけ”ね(笑)。クリスマスは家族であることの歓び、すべてが備わったイベントよ。

(C)2015 CBS FILMS INC. ALL RIGHTS RESERVED.

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──食事と言えば、この映画のもう一つの主役と言ってもいいクリスマスディナー、本当に美味しそうでした。料理を担当したのは『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』のフードスタイリストのメリッサ・マックソーリーだそうですね。

『シェフ~』の映画のお料理がとても素晴らしくて「絶対にメリッサと仕事がしたい!」と思ってお願いをしたの。この映画に出てくる料理はレストランに出てくるような一般の人が作れないようなものではなく、美しくて美味しいけれどお家でも作れる、そういうものばかり。実際にとてもおいしかったわ。俳優たちもとても気に入ってくれて。ただ、食事のシーンは1日12時間、4日間かけて撮影しているから、最後の方の撮影になるとみんなお腹いっぱいになっていたわ(笑)。

──みなさん、体重が増えたのでは?

私もそれを心配していたの(笑)。役者たちに「少し太ったんじゃない?」とはさすがに聞かなかったけれど、衣装のパンツをちょっとズラしたり、衣装が体にちゃんと合っているかすごくチェックしていたから。だって、それだけ食べていたんですもの! キャストのなかで一番喜んでいたのはクーパー家の愛犬ラグスかもね。クリスマスディナーの撮影の最後に、ターキーを含めて「お料理を食べていいわよ」ってなったときのラグスの喜びようといったら! しっぽを狂ったように振って食べていたわ。だけど、ビスケットは糖分の取り過ぎにならないよう犬用に作っているの。

(C)2015 CBS FILMS INC. ALL RIGHTS RESERVED.

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──クリスマスディナーのシーンはダイアン・キートン、アラン・アーキン、ジョン・グッドマンをはじめ本当に豪華な顔ぶれですね。

あのキャストが全員現場に揃うなんて! 本当にものすごい体験をさせてもらったわ。一生に一度でいいから仕事をしてみたいと夢みていた人とも仕事ができて、嬉しかった。みんな素敵だったけれど、キャストのなかで一番クールで一番イケてたのはクーパー家をとりまとめる存在の祖父バッキー役のアラン・アーキンね。今回はみんな同じホテルに泊まりながら撮影。だから自分の撮影じゃないときでもアランはフラッと現場にやって来て、ウクレレ片手に演奏したりとにかく素敵だった。他の役者もアランのことが大好きで、そういう和やかな雰囲気を眺めているのも私にとってはこのうえない至福の時間だった。

──その楽しい撮影のなかで、ふり返ってみると「このシーンは大変だったなぁ」と思うシーンはありますか。

たとえば屋外シーンで言うと、エレノアとジョー(ジェイク・レイシー)が駅から出てきて歩くシーン。気温−10℃以下という過酷な寒さのなかでいい演技を押さえるのは大変だったわ。あと、クライマックスの病院のダンスシーンね。何度もテイクを重ねるなかで、毎回同じエネルギー量を保ちながら演じる、踊る、というのは大変だったはずよ。どのシーンもそれぞれ大変さがあったけれど、大変だからこそスタッフ&キャストの絆が深まることもあるの。

(C)2015 CBS FILMS INC. ALL RIGHTS RESERVED.

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──女性目線としては、エマが姉のプレゼントを買いに行ってブローチを口に入れるシーンが印象的でした。

あれはスティーヴンのアイデアよ。私も彼からそのアイデアを聞いたとき「すごくいい!」って思った。エマとシャーロットには強烈な姉妹の葛藤があって、そのせいで思わずエマは自滅的な行動を取ってしまう。あのシーンは、この姉妹の間に大きな確執があって、それがエマを内側から蝕んでいることを表しているの。マリサ・トメイの演技もコメディ調であるのに悲しさが漂っていて、素晴らしかった。兄弟の確執って子供の頃と大人になってからとではまた違ってくる。それを上手く表現しているシーンでもあるわね。

『クーパー家の晩餐会』は家族について考えたくなる、家族の存在を愛おしく思える、観た人すべての琴線をふるわせる力のある映画だ。

(取材・文/新谷里映)


映画『クーパー家の晩餐会』(原題:Love the Coopers)
2月19日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開

監督:ジェシー・ネルソン
キャスト:ダイアン・キートン、ジョン・グッドマン、アマンダ・セイフライド、オリヴィア・ワイルド、アラン・アーキン、エド・ヘルムズ、マリサ・トメイ、ジューン・スキッブ

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