新作映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』を観るべき3つの理由―アカデミー賞5部門ノミネートで“台風の目”に

(C) PARAMAUNT PICTURES. ALL RIGHT RESERVED.

(C) PARAMAUNT PICTURES. ALL RIGHT RESERVED.

『マネー・ショート 華麗なる大逆転』ってどんな映画?

世界中を震撼させたリーマンショック、その引き金となった不動産バブルの崩壊をいち早く予見した型破りな4人の金融マンが、ウォール街を出し抜き、巨万の富を得る姿を描いた“エコノミック群像劇”。彼らはいかにして、世界金融危機を見抜き、株の空売り(=ショート)に成功したのか? 映画『マネーボール』の原作者でもあるベストセラー作家、マイケル・ルイスの著書「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」を映画化した。

観るべき理由:1―経済に関する知識は不要!爽快&ピリ辛の人生ドラマ

諸悪の根源となる低所得者向け住宅ローン「サブプライムローン」、住宅ローン暴落の際に巨額の保険金が手に入る契約「CDS」、債務担保証券を表す「CDO」などなど、経済・金融の専門用語が容赦なく飛び交い、一見“わかりにくい”本作。にもかかわらず、たとえ予備知識がゼロでも、十分に楽しめてしまうのが『マネー・ショート 華麗なる大逆転』の最大の魅力だ。

その理由は個性あふれる4人の金融マンが、長年かけて培った経験とコネ、譲れない信念と直感を武器に、見えざる巨大な敵=ウォール街に戦いを挑み、勝利を目指す“わかりやすい”爽快さにある。さらに「結果的に誰ひとり勝者ではない」というピリ辛な教訓が加わり、誰もが経験する「人生のままならなさ」がジンワリ胸に突き刺さる人生ドラマに仕上がっているのだ。

観るべき理由:2―アカデミー賞“台風の目”に…脚色賞は決まり!?

第88回アカデミー賞では、作品賞、監督賞(アダム・マッケイ)、助演男優賞(クリスチャン・ベール)、脚色賞、編集賞と堂々5部門にノミネートされている。正直、オスカー前哨戦の結果を踏まえると、文字通り“大逆転”が起こらない限り、作品賞の受賞は難しい状況だが、濃厚な原作を換骨奪胎した、痛快なストーリーテリング。それを支える脚色、編集が高く評価されており、特に脚色賞は本作で決まりと予想する。

また、馴染みが薄い経済・金融の専門用語をかみ砕いて解説してくれるウィットに富んだ演出も、映画ならではの面白さがあり、ひょっとすると監督賞も取っちゃう?という勢いを感じさせる。現時点で受賞結果は神のみぞ知るだが、今年の“台風の目”になるのは確実。日本公開を前に、ぜひ受賞の行方にも注目したい。

観るべき理由:3―徳永英明、村上春樹…日本文化が重要なカギに?

映画、音楽、ブームなど時代背景に寄り添ったポップカルチャーが随所に登場するのも、実話がベースになった『マネー・ショート 華麗なる大逆転』の醍醐味。おかげで一見、小難しい経済劇がグッと身近なものに感じられ、経済問題を無縁に感じている(実際、無縁な人などいないけれど)観客はリアルな世界に誘われる。

日本人ならば、有名日本料理店のシーンに流れる徳永英明の「最後の言い訳」は聞き逃せない! 大切なものが遠くへ行ってしまうという主旨の歌詞は、まるで魔法のように大金が消えて無くなってしまったウォール街への皮肉と哀悼そのもの。これは偶然? それとも意図的? また、村上春樹のベストセラー小説「1Q84」のフレーズも登場し、世界経済の皮肉な運命を示唆している。

(文・内田涼)


映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』
3月4日(金)よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー

監督:アダム・マッケイ
出演:クリスチャン・ベール、スティーブ・カレル、ライアン・ゴズリング、ブラッド・ピット
脚本:チャールズ・ランドルフ、アダム・マッケイ
原作:マイケル・ルイス「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」(文春文庫刊)
原題:THE BIG SHORT
配給:東和ピクチャーズ

この記事を読んだ人におすすめの作品

アーティスト情報

関連サイト

TSUTAYAランキング

おすすめ映画ガイド

TSUTAYA MUSIC PLAYLIST