映画『僕だけがいない街』藤原竜也インタビュー「一緒に謎解きを楽しみながら、子どもの頃を思い出してもらえるんじゃないかと」

藤原竜也

藤原竜也

フジテレビの深夜枠<ノイタミナ>でアニメ版が放送されている『僕だけがいない街』。同じく三部けいの人気コミックを原作にした映画が、奇しくもアニメと同じタイミングで3月19日から公開される。アニメとはまた違った展開を見せる実写映画版で主人公・悟を演じているのが、藤原竜也。近年の映画出演作を振り返ると、や『DEATH NOTE デスノート』『カイジ』シリーズ、そして『藁の楯 わらのたて』『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』――ダメな役や徹底的な悪役など、極端な役柄が多い。そんな中、等身大の同世代の青年を演じた今回の作品、その手ごたえは――。

――まず、この作品のオファーを受けた時は?

これね、ちょっと面白い話があるんです。会社の人たち3人とご飯を食べていたら、「映画の話があるんだけど」って。このところ、ずっと原作のある映画が続いていたから、そろそろオリジナル? と聞いたら、「いえ、原作本です」って(笑)。「でも、すごく面白いんです。ファンも多くて、大人気コミックなんです」って。ああ、そうなんだ、でも、人を操ったり、倒したり、なんか特別な能力をもつ役じゃないよね? と。そういう役が続いていますから(笑)。そうしたら、「いや…ちょっと時間が巻き戻る現象に巻込まれます」って(笑)。それで原作を頂いて、読み始めたんです。

(C)2016 映画「僕だけがいない街」製作委員会

(C)2016 映画「僕だけがいない街」製作委員会

――いかがでした?

あまりに面白くて、僕は普段、あまり漫画は読まないんですけど、知らないってソンしてるなと思いました。それぐらい面白かった。緻密に計算された話で純粋に面白かったし、主人公の悟が29歳の中身のまま、18年前の小学生時代に戻るじゃないですか。そのシーンを読んでいると、自分の過去を思い出して、すごく寒い雪が降っている校舎とか、クラスメートの何気ない会話とか、あたたかさを感じて感動してしまいましたね。

――藤原さんの演じる悟は29歳で漫画家デビューはしているんだけど、うまくいかなくてピザ店でバイトしているという設定。時間を遡る“リバイバル”と呼ばれる現象に巻込まれるけど、藤原さんが近年、映画で演じてきた役の中では、かなり普通の人に近い役ですね。

そうですね。監督も「普通にいてくれればいい」って。本当に自由にやらせてもらいました。楽しかったかったですね。僕は職人的な映画のスタッフさんがすごく好きで、照明部や録音部、撮影部、そういう人たちといつもくだらないことを話しているんです。そうやって話しながら、本番になるとお芝居して、撮り終えると、また戻って。演じている時と演じていない時の温度差があまりない楽しいひと月でした。

(C)2016 映画「僕だけがいない街」製作委員会

(C)2016 映画「僕だけがいない街」製作委員会

――『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』の志々雄役とは、ずいぶん違いますね。

そうですね。志々雄の全身スーツを着て、ずっと現場にいると、すべてが嫌になってきますから(笑)。演劇はキツイ日々が続きますしね。珍しいですよ、こんな風に楽しくやらせてもらえたのは。

――完成した映画をご覧になって。

ある種、子どもたちが主役のような映画だから、(鈴木)梨央ちゃんが演じる雛月の抱えている孤独と、(彼女みたいに親に虐げられている子どもが)親にする時の気の使い方だとか、これは80年代が舞台だけど、当時だけじゃなくて、現代もそういう子どもたちがたくさんいるんだろうなと思いました。そういう目線で観ると、とても切なくなりますよね。原作はまだ連載中だけど、平川監督がうまく2時間にまとめてくださったなと感動しました。

――悟の子ども時代の中川翼くんも、よかったですね。

本当にすごいですよね、子どもって。僕らが撮影している時も、翼くん、泣きながら撮影していたり、汗だくで監督の要求に応えていましたから。この歳でこれだけ揉まれていたら、いい財産になりますよね。子どもたちって言っていいのかわからないほど、立派な役者さんでしたが、彼らの姿勢が、この作品にあたたかみをもたらしてくれたのかなと思いますね。

――印象に残っていること、ありますか?

僕がある時、ビーチ・サンダルで現場に行っていたら、別の日に翼くんがビーサン履いて現場に来たことがあって。「なんでビーサンで来たの?」って聞いたら、「藤原さんを尊敬して、ビーサンで来てみました」って(笑)。かわいかったですね。そういうピュアなことをしてくれて。「他の現場にはビーサンで行くのはやめた方がいいよ」って話しました(笑)。

(C)2016 映画「僕だけがいない街」製作委員会

(C)2016 映画「僕だけがいない街」製作委員会

――かわいいですね。

平川監督は妥協せずに細かいところまで、確実にワンカット、ワンカットを撮っていく監督で、OKカットでも別のバージョンで撮ったりするんです。だから、子どもパートは大変だったと思いますね。監督の伝え方が巧いなと思ったのは、チラシにもありましたけれど、悟と雛月が満天の星空の下でクリスマス・ツリーの話をしているところ。素敵なシーンになったと思います。

――では、ご自身の大変なシーンは?

今回はねぇ…大変なシーンというのは本当になかったですね。全編通して楽しくやらせてもらいました。(有村)架純ちゃんも(石田)ゆり子さんも(杉本)哲太さんも(及川)ミッチーさんも撮影中だけでなく、現場でお話しているのも楽しかったですし。

――有村架純さんとは初共演ですね。

悟は同じバイト先の愛梨に何かと助けられるのですが、役柄同様、架純ちゃんに引っ張ってもらいましたね。彼女、すごく素敵だなと思ったのは、自然にいさせてくれて、変な気を遣わせず楽に楽しくやらせてくれるんです。僕がこうやってくだらない話をしていても、「本番なので行きましょう」って連れていってくれたりして(笑)。

――先程、原作を読みながら、子どもの頃を思い出したとおっしゃっていましたが。

この物語には、悟の幼い頃に起きた小学生の連続誘拐事件が描かれていくんだけど、子ども時代を思い出すと、僕も埼玉の田舎町でしたから、「このナンバーの車に近づくな」とか実際によくあったんですよ。学校から回覧板が回って来たりして「集団で帰りなさい」とか。それで、僕たちも小学生の悟たちがやったみたいに「このナンバーは何なんだろう。探しにいこう」ってやっていたんです。いま考えれば、危ないですよね(笑)。何のナンバーかもわからないのに。どんな子どもだったか? 西武球場に行って野球観たいなといつも思っていた、そういう子ども時代でした。

(C)2016 映画「僕だけがいない街」製作委員会

(C)2016 映画「僕だけがいない街」製作委員会

――では、藤原さん自身に、悟みたいな時間を遡る“リバイバル”があったら、いつに戻りますか?

特に戻りたくはないけれど、14歳で演劇の世界に入って、それが自分の人生において大きな転機だったので、違う道はどんな感じだったのかを確かめてみたい気はしますね。

――違う道?

今もスポーツを観るのは大好きなんですが、本当に西武ライオンズか浦和レッズの選手になりたかったんですよ。究極の趣味の延長じゃないですか、スポーツ選手って。楽しいことを仕事にして、羨ましいですよね。

――俳優の仕事も、そうじゃないんですか。

俳優は大変です(笑)舞台なんて稽古に入ったら、毎日、答えが見えないところを悩みながら進んでいくようなものだし。スポーツ選手がいいです(笑)

――キャリアも長いですが、座右の銘は?

座右の銘は特にないんです(笑)。ただ、まじめに作品と向き合う思いは、どの現場にもあります。もちろん真剣に取り組むんだけど、監督と俳優さんの関係には、独特の駆け引きがありますね。それがセッションだし、そこが面白いんです。程よくまじめに時に遊びがあるのがいいのかな。あとは真ん中に立たせて頂いていますから、周りを見て臨機応変に現場を回していけるよう、的確に気づいていられるように意識を持っているということですかね。

――『神様のカルテ 2』も今回もそうですが、映画でナチュラルな役も増えてきていますね。キャリアを重ねて現在、思うことは?

やったらやるだけ、わからなくなってきていますね。じゃあなんでやるんだって言われたら、ひとつ出会いなんじゃないかなと。作品とも人とも新しい出会いがあって、それが次に進ませてくれるものなのかなと思います。作品においては何が大事かといえば、やっぱり台本だと思いますね。もうね、楽しくやりたいなとは思うけれど、答えの出ない難しい仕事だと本当に思います。

藤原竜也

――では、最後に作品の魅力を。

そうですね。まず、(石田)ゆり子さんが素敵なお母さん役をやって下さっていて、次はぜひ恋人役でとお願いしました(笑)。大人になった悟が小学生時代にタイムスリップして、現在と行き来しながら、過去に起きた未解決事件の謎を解いていく話なので、一緒に謎解きを楽しみながら、子どもの頃を思い出してもらえるんじゃないかと思います。

(取材・文:多賀谷浩子)


映画『僕だけがいない街』
2016年3月19日(土)全国ロードショー

原作:「僕だけがいない街」三部けい(KADOKAWA/角川コミックス・エース)
監督:平川雄一朗
脚本:後藤法子
音楽:林ゆうき
キャスト:藤原竜也、有村架純、及川光博、杉本哲太/石田ゆり子
主題歌:「Hear ~信じあえた証~」栞菜智世(ユニバーサル ミュージック/EMI Records)
配給:ワーナー・ブラザース映画

この記事を読んだ人におすすめの作品

アーティスト情報

藤原竜也

生年月日1982年5月15日(37歳)
星座おうし座
出生地埼玉県

藤原竜也の関連作品一覧

及川光博

生年月日1969年10月24日(49歳)
星座さそり座
出生地東京都大田区

及川光博の関連作品一覧

関連サイト

TSUTAYAランキング

おすすめ映画ガイド

TSUTAYA MUSIC PLAYLIST