杉咲花インタビュー「大切にしているのは、そこで起きていることを本当に受け止めて、感じること」―映画『スキャナー 記憶のカケラをよむ男』

杉咲花

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今月29日から公開される映画『スキャナー  記憶のカケラをよむ男』。野村萬斎と宮迫博之が、かつてのお笑いコンビを演じるこの作品で、二人とともに事件を解決していく女子高生・亜美を演じている杉咲花。湊かなえ原作のドラマ『夜行観覧車』では、親に反抗する少女の激しい感情を体当たりで演じて見せ、CookDo(R)のCMでは、父親役の山口智充を相手に、豪快な食べっぷりを披露。若くして演技派と評価の高い彼女に、本作の撮影秘話を聞いた。

――試写会の舞台挨拶では、久しぶりに監督やキャストの皆さんとお会いになって、いかがでしたか?

本当に久しぶりでしたね。昨年の夏に撮影していて以来だったので、うれしかったです。

――舞台上で、宮迫さんといい感じに絡んでいらっしゃいましたね。

本当ですか? よかったです。宮迫さんはドラマ「夜行観覧車」でお父さん役だったので、現場にいて下さるだけで安心できました。撮影の合間にイタズラとかも…させてもらっていました(笑)。

――舞台挨拶で宮迫さんが、萬斎さんが現場で「漫才師の役みたいだけど、ちなみに僕マンサイ」とダジャレを飛ばしておられたと(笑)

そのダジャレ、私、聞けなかったんです(笑)。萬斎さんは現場のスタッフ皆さんに好かれていました。

――どんなところが魅力だと思いますか?

やっぱりお人柄だと思います。僕はこう思うよって毎回、新たな提案をして下さるんです。皆が尊敬していたし、すごく楽しい方だし、本当にいい雰囲気のチームでした。それが映画に出ているのが素敵だなと思いました。

(c)2016「スキャナー」製作委員会

(c)2016「スキャナー」製作委員会

――出演されるにあたって楽しみだったのは?

仙石(野村萬斎)と丸山(宮迫博之)の掛け合いのシーンですね。萬斎さんが仙石をどんな風に演じるか想像がつかなかったので、それも楽しみでした。萬斎さんと共演できることもうれしかったです。

――古沢良太さんの脚本が面白かったですが、お読みになって、いかがでしたか?

自分の出る台本なので、どうしても客観的には読めなくて、亜美目線で読んでしまうんですけれど、仙石と丸山の中に、亜美は自分から入っていくじゃないですか。そういうところ、かわいいなと思いました。

――亜美さんは、すごいですよね。突然に失踪したピアノの雪絵先生を助けたくて、すでに活動を止めていたお笑いコンビ「マイティーズ」(仙石の能力によって、観客の所持品に宿った思念を読み取る芸風)に頼み込んで、二人を動かしてしまうわけですから。

行動力がありますよね。高校生はなかなかあんな風には大人と関われないと思うんです。でも、それだけ雪絵先生のことが心配だったんだと思います。

――劇中では、杉咲さんも大人の萬斎さんや宮迫さんと対等に掛け合いされていましたね。

ありがとうございます。現場に入る前に、監督と萬斎さん宮迫さんと本読みをして、金子監督がもっとテンポを上げてとか、いろいろ調整してくださったので。そのおかげだと思います。

(c)2016「スキャナー」製作委員会

(c)2016「スキャナー」製作委員会

――亜美はピアノを弾くシーンがありますが、特訓されたそうですね。最初は全然弾けなかったと聞いて、びっくりしました。

本当ですか? ちゃんとピアノを弾ける人に見えなかったら悔しいので、一ヵ月ちょっと、ずっと練習していました。本番でも何度もやり直したので、そう言って頂けるとうれしいです。

――ピアノ以外に、今回はどんな準備を?

今回は、現場に行けば、萬斎さんや宮迫さんが立っているので、私はそこについていけば大丈夫だなと思っていました。現場に立っているのが楽しかったです。

――劇中、好きな場面はありますか?

雪絵先生が倒れる場面があるんですが、そこ、すごくきれいなんです。本当にきれいだなって思いました。

杉咲花って、どんな人?

――杉咲さんご自身のお話も伺いたいのですが、しっかり者の亜美に共感するところはありますか?

そうですね、亜美のことはスゴイなと思うので……でも、私も気持ちが動いたらすぐ行動する方なので、そこは似ているかなと思います。

――ご自分の意志で今の事務所のオーディションを受けられたそうですね。

ドラマや映画が好きなので、やりたいと思って。今はやりたい仕事ができていて、ありがたいと思っています。

――亜美はピアノでスランプの只中にいます。そういう時、杉咲さんなら、どうやってストレス解消しますか?

私は大変なことがあって、ストレスがたまりすぎると、急に忘れちゃうんです。大丈夫になってしまうんです。よくわからないんですけど(笑)。悩んで、悩んで…落ちこむだけ落ち込んだら、それ以上落ちていても仕方ないから。だから、特に解消はしないかもしれないですね。

(c)2016「スキャナー」製作委員会

(c)2016「スキャナー」製作委員会

――その解消されないモヤモヤが、役のイライラとシンクロして、演技で発散されるようなことはないんでしょうか?「夜行観覧車」とか、すごく激しい役でしたが。

それは…ないと思います。私は自分自身の感情と演技は分けたいと思っているので。モヤモヤは、私、書くんです。思ったことをメモするんですけど。それがストレス解消になっているのかもしれないです。嫌なことだけじゃなくて、いいことも書くので、プロモーションの時は撮影中のことも書いてあるから、読み返すと、当時のことを思い出します。

――杉咲さんのお芝居はイキイキしていて、印象にくっきり残ります。どんなことを大切にやっていらっしゃるのでしょう?

大切にしているのは、そこで起きていることを本当に受け止めて、感じることです。台詞も動きもある程度決まっているので、単なる段取りにしたくないんです。水を飲むシーンがあったとして、喉が渇いたから水を飲むじゃないですか。ただ段取りで水を飲む動きだけしても、お客さんは面白くないと思うんです。

――今回は本当の気持ちでお芝居される役者さんばかりだから、楽しかったのでは?

そうなんです。本当に楽しかったです。高畑(淳子)さんが、宮迫さんの頭を叩くシーンで、現場にある物を見ていらして、アドリブで雑誌やスリッパを使われたんです。本当にすごいなと思いました。あ…ストレス解消、もうひとつ思い出しました。音楽聴いたりします。最近、メジャーデビューしたきのこ帝国とか、シガー・ロスとかCharaとか。あと、ブルーハーツが好きです! ブルーハーツ聴くと、元気になります。

(c)2016「スキャナー」製作委員会

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――こうしてお話されている杉咲さんは静かでおっとりとした印象ですが、中身は熱そうです。

熱い…(笑).。そうかもしれないですね。

――この映画の主人公・仙石には物に触って、残留思念を読み取る特殊能力があります。杉咲さんにこの能力があるとしたら?

人に触ってもいいなら、皆さんに触りたいです。本当は何を考えているんだろうって思うから。今も、私、声が小さいし、話すのがゆっくりじゃないですか。取材は時間が限られているから、皆さん怒ってないかなと……。

――大丈夫です(笑)。では、役者をされていて面白いなと思う瞬間は?

本当にいろいろな方と共演させて頂いていて、一緒にやらせて頂いている私は最初の観客だと思うんです。だから、スゴイと思う瞬間に立ち会えると、鳥肌が立ちます。そういう瞬間は忘れられないですね。それから、現場にいるのがすごく楽しいです。演技している間は楽しさとは違うんですけど、待っている間や現場にいる時が楽しいですね。待っている時は、スタッフさんが一生懸命セッティングしているのを特等席で観られるので、そうやっていろいろな方と一緒に作っていけるのが楽しいし、出来上がりを見るのもうれしくて。その作品をいろいろな方に見て頂けるのが本当にうれしいです。

――自分の出ている作品をご覧になる時は?

自分の演技に満足するっていうことは、一回もないです。後から見ると、もっとできたんじゃないかと、どうしても思ってしまうので。でも、自分の関わった作品は好きな作品が多いです。

――最後に、今回の作品を撮り終えて、今の思いを聞かせてください。

やっぱり自分の場面では、ピアノですね。精一杯やりましたが、今みると、もっとできたなと思うんですけれど……。完成した映画を見たら、私は結末を知っているのに、どうなるんだろうって引きこまれたんです。そのぐらい監督やキャストの皆さんの語る力の強い映画だから、ぜひ楽しんで観て頂きたいです。

杉咲花

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(取材・文:多賀谷浩子)


映画『スキャナー 記憶のカケラをよむ男』
4月29日(金・祝)公開

キャスト:野村萬斎、宮迫博之、安田章大、杉咲花、木村文乃、ちすん、梶原善、風間杜夫、高畑淳子
脚本:古沢良太
音楽:池頼広
監督:金子修介

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