映画『母と暮せば』福原伸子役・吉永小百合インタビュー

山田洋次監督が親交のあった井上ひさしの遺志を継いで物語を書き上げた珠玉の人間ドラマ『母と暮せば』がDVDで登場。主演の吉永小百合が撮影の舞台裏を語る。

吉永小百合

当時のことを読み取っていただけたら嬉しいです

長崎へは17歳のとき、『若い人』のロケで初めて行きました。以来、映画の撮影や朗読会で数え切れないほど訪れていますけれど、『母と暮せば』の撮影前に山田監督、二宮(和也)さんとご一緒に原爆資料館をしっかりと見ることができました。辛い苦しい思いのなかで、改めてこの作品と向き合う力が湧いてきたように感じられました。

二宮さんは優しくさわやかで、でも演技はとびっきり上手。もしかしたら“フェアリー”ではないかと思うほど、ゴーストになった浩二を軽やかに演じていて、すっかり感心してしまいました。そういえば撮影終了日、撮影所の食堂で打ち上げがあり、そのとき二宮さんはトランプの手品を見せてくださいました。スタッフもキャストも彼のテクニックに圧倒されました。見事でしたよ。

伸子と浩二はお互い触れられない設定で、『息子はいつも私(=母親)の中にいる』と感じながら演じました。心の中では常に息子と会話し、手を取り合っている。ですからお芝居が難しいとは感じませんでした。

加藤(健一)さんはまさに寅さんの再来でした。監督のどんな注文も受け止め、多彩なパターンで演じてみてくださいました。あまりに楽しくて私は芝居中でも笑いが止まらず、自分の手をつねってこらえたこともあったんですよ(笑)。黒木(華)さんはどんな役でも演じきれる力を持った女優さん。彼女の映画はほとんど観ていますが、どの役もキャラクターも雰囲気も異なっていて、『本当の黒木さん、素顔の黒木さんはどんな方なのかしら』とずーっと考えています。この作品ではまさに町子さんそのものでした。『母べえ』に続いて2回目の共演だった浅野(忠信)さんもすばらしかった。1シーンだけなのに“黒ちゃん”の思いがしっかりと伝わって来て、演じていて私も胸がいっぱいになりました。

『故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る』。私の好きな言葉です。戦争も原爆も知らない方たちも、この映画の中から当時の人々の生活や人生を読み取っていただけたら、嬉しいですね。

◆PROFILE

よしなが さゆり/東京都出身。'57年にラジオドラマ『赤胴鈴之助』でデビュー、『朝を呼ぶ口笛』('59)で映画初出演。日活映画全盛期を看板女優として支え、『男はつらいよ 柴又慕情』('72)など多数の映画&TVドラマに出演。映画『ふしぎな岬の物語』('14)で初プロデュース。

『母と暮せば』

『母と暮せば』

6.15 RENTAL & ON SALE
'15年・日
監督・脚本/山田洋次
音楽/坂本龍一
出演/吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信、加藤健一、広岡由里子、本田望結、小林稔侍、辻萬長、橋爪功
【セル】3,800円(税抜)、5,800円(税抜/豪華版)、4,700円(税抜/ブルーレイ)、6,700円(税抜/ブルーレイ豪華版)

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(文:佐々木優)

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アーティスト情報

吉永小百合

生年月日1945年3月13日(74歳)
星座うお座
出生地東京都

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