【話題のテーマまとめ】『サンキュー・スモーキング』ほか、企業の不正や問題を描く映画3選

ここ数週間、三菱自動車の燃費データ不正問題が取り沙汰されている。フォルクスワーゲンの一件と同様に、三菱のケースは国民の生活に直接的な悪影響を及ぼすという点で深刻だ。今回は、企業が起こした不正や問題、それに付随した社会的影響を描いた映画を3本紹介する。

非難轟々なタバコ業界を軽やかに描いた秀作

『サンキュー・スモーキング』/監督:ジェイソン・ライトマン

<あらすじ>
主人公のニック(アーロン・エッカート)は、非難を浴び続けてきたタバコ業界のロビイスト。彼の仕事は、持ち前の話術によって、体に害があるとされるタバコの情報を操作して、世間を煙に巻くことだ。ある日、ニックはハリウッド映画の中にタバコを登場させてタバコのイメージアップを図る「ハリウッド作戦」を実行に移す。しかし、彼は女性ジャーナリストとの出会いによって大きなミスを犯してしまい…。

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エッカート扮するニックが繰り広げる話術は、嫌煙家からすれば実に鼻持ちならないが、その一方で、彼が語るタバコの歴史やPR方法は実に興味深い。戦争や映画、そしてダイエットといった、一見するとタバコと関係ないものが孕むタバコとの関係性の深さには目から鱗だ。「正しく議論すれば間違えることはない」というセリフが象徴的だが、ニックの話術からは、様々な社会問題について考える上で必要とされる、論理的思考のヒントも得ることができる。J・K・シモンズやウィリアム・H・メイシー、ロバート・デュヴァルら実力派の豪華キャスト陣にも要注目。

ウォール街とアメリカ経済の問題をド派手に描いた一代記

『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』/監督:マーティン・スコセッシ

<あらすじ>
証券マンのジョーダン・ベルフォート(レオナルド・ディカプリオ)は、ブラックマンデーによって入社初日にして失業する。ジョーダンはやむなく株式仲買人として働き始めるのだが、彼は安価ながら手数料が高いジャンク株を利用して、破竹の勢いで成功を収めていく。その後、ウォール街に会社を設立したジョーダンだったが、彼は法を逸した投資詐欺とマネー・ロンダリングによって、FBIに目をつけられてしまい…。

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入社初日の失業というどん底から、ウォール街の頂点に駆け上がるジョーダンの姿は実にクールだ。しかし、彼は次第に金融界のダークサイドに飲み込まれ、大衆を騙してまで巨万の富を築き上げる悪党に変貌していく。劇中にはコカインなどの薬物が頻繁に登場し、それに陶酔するジョーダンの姿が映し出されるが、これは彼が拝金主義という、アメリカ社会に蔓延する中毒的な病に陶酔する様のメタファーでもある。本作はその高いコメディ性とは裏腹に、拝金主義の恐ろしさを映し出すという社会派な一面も併せ持っているというわけ。

金融市場とサブプラムローンの不正を描いたブラック・コメディ

『マネー・ショート 華麗なる大逆転』/監督:アダム・マッケイ

<あらすじ>
金融トレーダーのマイケル(クリスチャン・ベール)は、サブプライムローン市場の未来を見据え、その崩壊時に多額の利益を得ることができる金融商品CDSを大量に購入する。これに呼応した銀行員のジャレド(ライアン・ゴズリング)は、ヘッジ・ファンド経営者のマーク(スティーブ・カレル)に、CDSの共同購入を提案。時を同じくして、個人投資家のジェイミー(フィン・ウィットロック)とチャーリー(ジョン・マガロ)も、元トレーダーのベン(ブラッド・ピット)と共にCDSの有益性に気づき…。

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本作で描かれるのは、多くのアメリカ国民が実害を被った、リーマンショックに端を発すサブプライムローン崩壊の顛末と、その裏で巨万の富を得たアウトローたちの姿。ストーリーは一見すると小難しいのだが、有名タレントが難解な金融用語を分かりやすく解説してくれるナレーションや、住宅市場を皮肉った小ネタによって、観客はびっくりするほど簡単に、アメリカ金融市場が抱えていた問題を知ることができる。コメディ調で展開された物語の終局に訪れる、ほろ苦いエンディングも素晴らしい。

(文:岸豊)

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