新作映画『クリーピー 偽りの隣人』を観るべき3つの理由――香川照之が怪し過ぎて、怖すぎる!

(C)2016「クリーピー」製作委員会

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『クリーピー 偽りの隣人』ってどんな映画?

日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した前川裕の小説を映画化。ある事件をきっかけに刑事を辞め、大学で犯罪心理学の教鞭をとることになった高倉は、妻の康子とともに新居に引っ越す。隣人である西野一家にどこか違和感を抱くある日、高倉は“西野の娘”から驚きの事実を打ち明けられる。「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です」。やがて、西野家と6年前に発生し、迷宮入りした一家失踪事件との間に奇妙なリンクが浮かび上がり…。

観るべき理由:1――世界が注目!黒沢清監督が提示する“気味悪い”スリラー映画

昨年、『岸辺の旅』が第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞した黒沢清監督の最新作。ここ最近は同作をはじめ、『トウキョウソナタ』、連続ドラマWで放送された『贖罪』といった独特な感性が光る作品で評価を得ており、その動向が世界中で注目される数少ない日本人監督だ。一方、『CURE』『回路』『叫』といったフィルモグラフィーが物語るように“恐怖映画の名手”という印象も強く、同ジャンルに再び挑んでほしいと期待を高めていたファンも多いはずだ。

隣人が放つ狂気によって、ジワジワと平穏な生活を脅かす恐怖。霊的なエッセンスは一切排除し、予想不可能でありながら、誰にでも起こりうる“奈落の境地”は、まさにタイトルである「クリーピー」=気味悪いという言葉がぴったりだ。スリラー映画として一級であるのはもちろん、精神のもろさを掘り下げる内容は、黒沢流の新しいヒューマンドラマともいえる。

観るべき理由:2――隣人役の香川照之が怪し過ぎて、怖すぎる

そんな本作で、とにかく異彩を放ちまくっているのが“隣人”西野を演じる香川照之の演技。初登場のシーンから、「何だかよくわからないけど、怪し過ぎる!」という違和感がバリバリで、一瞬にして観る側の視線と意識を奪ってしまう。しかも、ただ怪しいだけではなく、ときには子煩悩な優しい父親の顔をのぞかせたり、またあるときは機械のような冷徹さで他人を操ったりと、本性がまったく見えない怖さを、あえて抑えた演技(ここがスゴイ!)で表現している。

2月に開催されたベルリン映画祭のベルリナーレ・スペシャル部門で上映された際も、香川の出演シーンにはどよめきと同時に、笑いも起こったといい、現地入りした香川は大人気だったという。怪し過ぎて、怖すぎる香川の怪演だけでも観る価値充分だ。

観るべき理由:3――『MOZU』×『ストロベリーナイト』×フレッシュな豪華キャスト

制御不能のモンスターである西野を迎え撃つのは、香川に負けない豪華なキャスト陣。主人公の大学教授・高倉を演じるのは西島秀俊で、香川との『MOZU』コンビが復活した形だ(ちなみに二人とも黒沢作品に出演するのは4度目となる)。また、高倉の妻を竹内結子が演じており、西島との『ストロベリーナイト』コンビもスクリーンによみがえる。事件の謎にのめりこむ夫、次第に隣人に浸食される妻のスリリングな駆け引きが大きな見せ場である。

一方、川口春奈、東出昌大、映画『ソロモンの偽証』2部作で女優デビューした藤野涼子らフレッシュな顔ぶれが、人間の悪意によってドロドロによどんだ作品世界に新風を吹き込む。ベテラン勢を相手に奮闘する彼らの演技も必見だ。

(文・内田涼)


映画『クリーピー 偽りの隣人』
公開情報:6月18日(土)全国ロードショー

出演:西島秀俊、竹内結子、川口春奈、東出昌大、香川照之
監督:黒沢清
原作:「クリーピー」前川裕(光文社文庫刊)
脚本:黒沢清、池田千尋
音楽:羽深由理
製作:「クリーピー」製作委員会
制作:松竹撮影所
配給:松竹、アスミック・エース

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