新作映画『ブルックリン』を観るべき3つの理由――地方出身者なら思わず「あるある」と共感できるはず

 

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『ブルックリン』ってどんな映画?

1950年代のアイルランド。女性の働き口がまだ少なかったこの時代、口うるさい食料品店主の下で渋々働いていたエイリッシュは、最愛の姉・ローズの手助けによって、アメリカで働くチャンスを得た。大西洋を渡り、新天地ブルックリンにやって来た彼女は、高級デパートに就職。さらに会計士になる勉強に励み、プライベートではイタリア人男性と恋の予感…。ホームシックを乗り越えつつあったが、ある日、故郷から悲しい頼りが届いた。

観るべき理由:1――“地方出身者あるある”に思わず共感

寂れた街で生まれ育った少女が、大都会に旅立ち、さまざまな試練を乗り越えながら、自立し洗練された女性に成長する…。そんな本作には性別を問わず、地方出身者であれば、思わず「あるある」と共感できるポイントがたくさん登場。都会への憧れはもちろん、孤独だからこその自由と不安、慣れない仕事や人間関係に一歩を踏み出す勇気、その過程で「自分の夢は?」「将来は?」と気持ちが揺れ動く姿が丁寧に描かれている。

さらに、故郷への複雑な心境にも光を当て、“正解”がないからこそ悩む主人公エイリッシュの人生の選択が思いも寄らぬ、予測不可能なドラマを生み出している点も大きな見どころ。派手さはないが、観れば「自分の居場所」を見つめ直すきっかけになるはずだ。

観るべき理由:2――若手演技派の筆頭、シアーシャ・ローナン

葛藤しながら成長を遂げるヒロイン像をセンシティブに表現したのが、若手実力派の筆頭であるシアーシャ・ローナン。現在22歳ながら、ジョー・ライト監督の『つぐない』で13歳にしてアカデミー賞助演女優賞候補となり、本作では主演女優賞にノミネートされた。ピーター・ジャクソン監督の『ラブリー・ボーン』、ライト監督と再タッグを組んだ『ハンナ』、ウェス・アンダーソン監督の『グランド・ブダペスト・ホテル』など、作家性が強い監督から熱烈な支持を集めている点も、同世代の女優とは一線を画す魅力となっている。

自身はニューヨーク生まれで、ダブリン郊外で育っており「80年代にニューヨークに来た両親が経験した旅と同じことを、時代は違うけれど経験したのだから、胸に迫るものがあった」と強い思い入れを示している。

観るべき理由:3――この夏、アイルランドが舞台の秀作が次々公開

原作となったベストセラー小説を脚色したニック・ホーンビィは、かつて映画化され大ヒットした『ハイ・フィデリティ』『アバウト・ア・ボーイ』の原作者。『わたしに会うまでの1600キロ』に続き、本作で2度目となるアカデミー賞脚色賞候補にあがった注目のライターだ。今回は少女の成長を軸に、移民の歴史にも目をそらさず、現代に通じるエッセンスを盛り込んでいる。

この夏は本作をはじめ、『フラワーショウ!』『シング・ストリート 未来へのうた』などアイルランドを舞台にした秀作が次々と公開。イギリスのEU離脱でヨーロッパ中に激震が走るなか、映画を通してアイルランドの文化や風土、両国の関係性を知る機会になりそうだ。

(文・内田涼)


映画『ブルックリン』
7月1日(金)、TOHO シネマズ シャンテ他全国ロードショー

監督:ジョン・クローリー(『BOY A』)
脚本:ニック・ホーンビィ(『わたしに会うまでの 1600 キロ』『17 歳の肖像』)
原作:コルム・トビーン
出演:シアーシャ・ローナン(『つぐない』『グランド・ブダペスト・ホテル』)、ドーナル・グリーソン(『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』)、エモリー・コーエン、ジム・ブロードベント(『アイリス』)、ジュリー・ウォルターズ(『リトル・ダンサー』)
製作国:アイルランド=イギリス=カナダ合作/英語/カラー/ヴィスタ/112分
配給:20世紀フォックス映画

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