【インタビュー】「面白いのは、映画を見に行く多くの人が、タイムを悪役だと思うこと」―映画『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』プロデューサー:スザンヌ・トッド

スザンヌ・トッド

スザンヌ・トッド

日本でも大ヒットを飛ばした『アリス・イン・ワンダーランド』のシリーズ最新作『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』が7月1日に公開を迎える。前作に続いて、ミア・ワシコウスカ、ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アン・ハサウェイが出演する本作が描くのは、アリスが繰り広げる「時間」との戦いだ。去る6月某日、本作のプロデュースを務めたスザンヌ・トッドに、製作の裏話や本作の魅力について話を聞いた。

ミア・ワシコウスカ演じる主人公のアリス/(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

ミア・ワシコウスカ演じる主人公のアリス/(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

誰もが気になるのは、新作としての本作が生まれたきっかけ。前作が映画史上でも最大規模のヒットを飛ばした後、本作はどのようにスタートしたのか?

「実は、新作を作るつもりはなかったのよ。なぜって、『アリス・イン・ワンダーランド』がすごく成功したから。でも、ファンは新作を見たいんじゃないかというアイディアが出たの。どんなテーマにするか決めるには、とても長い時間がかかったわ。その結果、「時」というテーマが面白いことに気付いたの。脚本を担当したリンダ・ウールヴァートンが初稿を執筆するには、『アリス・イン・ワンダーランド』が公開してから、およそ2年というとても長い時間がかかったのよ」

ジョニー・デップ扮するマッドハッター/(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

ジョニー・デップ扮するマッドハッター/(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

大成功を収めた前作。新作という位置づけにある以上、本作にもハイレベルな成績を残すことが求められる。作り手として、プレッシャーや不安を抱えるのは当然のことに思えるが、スザンヌはどう乗り越えたのか?

「その不安は、新作には付き物よね。作り手としての私は、経済的に映画を作ることを目指しているわ。つまり、不必要にコストをかけないようにしているの。でも、観客が作品を好きになってくれるか、そしてどんな結果になるかって、結局のところ分からない。だから、私たちにできることは、良い作品を作ろうと死に物狂いになって、責任をもって誇れる作品を作ることを目指し、設定した目標をクリアすることだけね」

サシャ・バロン・コーエン演じる時の支配者「タイム」/(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

サシャ・バロン・コーエン演じる時間の番人「タイム」/(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

本作で描かれるのは、悲しい過去に心を奪われたマッドハッターを救うために、アリスが繰り広げる「時間との戦い」だ。この時間を司るのが、新キャストであるサシャ・バロン・コーエンが演じた、その名も「タイム」である。しかし、お下劣なおバカ映画で知られる彼が、なぜディズニー作品の重要な役に?寧ろ彼は、ディズニー作品とは最もかけ離れた存在に思えるのに…。

「サシャも同じことを言ったわ(笑)。理由だけど、本作のメガホンを取ったジェームズ・ボビンが、サシャと長年の友人だったの(2人は『ブルーノ』などで仕事を共にしている)。ジェームズからタイム役にサシャをどうかって提案されて、サシャにオファーしたら、彼は『いいとも』と答えてくれたわ」

撮影現場ではお下劣だったというサシャ/(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

撮影現場ではお下劣だったというサシャ/(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

それでも撮影では、サシャ持ち前のお下劣っぷりが炸裂したそう。スザンヌは、彼が放ったジョークの数々が、子供も楽しめることが要求されるディズニー作品には「不適切」だと判断され、DVDの特典映像にすら入れることができなかったことを悔やんでいるとのこと。そんな彼が演じたタイムの魅力とは、一体何なのか?

「面白いのは、映画を見に行く多くの人が、タイムを悪役だと思うことね。だって、彼はいかにも悪者っぽい口ひげを蓄えているから。でも本当の彼は、とっても愛すべきおバカさんなの。彼はすごく優しいのよ。私がお気に入りのシーンは、終盤でタイムがアリスの時計を見て、彼女の父親の話を聞くシーン。このシーンでタイムが言うセリフが、とっても感動的なの!」

アン・ハサウェイ扮する「白の女王」/(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

アン・ハサウェイ扮する「白の女王」/(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

前作以来とあって、キャスト陣は皆が変化したそう。特にミアは、幼さが残っていた前作の製作時とは違い、明らかに大人っぽくなったという。こうした形でキャストに変化があった一方、この6年の間には、映画製作の方向性にも大きな変化が生まれたとスザンヌは語る。

「前作当時と比べて、より国際的になったわ。スタジオに関しては、以前はどこでも、高額なもの、少額なもの、その中間くらいのものを製作していたものだけど、中間くらいのものの大半は、ライオンズ・ゲートや中国資本のSTXエンターテイメントなどのミニ・メジャー(比較的小規模な製作会社)へ移行したの。映画の製作費はどこからでも生まれ得る。私にとって興味深いのは、多くの人が映画ビジネスに対して関心を抱いていること。中国資本を使ってみるのも面白いかもしれないわね」

ヘレナ・ボナム=カーター演じる「赤の女王」も再登場!/(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

ヘレナ・ボナム=カーター演じる「赤の女王」も再登場!/(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

本作のように、女性を主人公とする作品の数は、男性が主人公のそれと比べて圧倒的に少ない。
最近では第一線で活躍する女優たちが、この現状をメディアを通じて訴えてきた。スザンヌは、映画製作におけるジェンダーの不均衡を具体的な数字で指摘する。

「議論が交わされるのは良いことよ。ジェニファー・ローレンスが報酬の不平等さなどについて語ることは、この問題において重要な役どころになっているわ。…でも、監督やスタジオの重役たちの大部分は男性よ。彼らは男性についての物語を好むけど、こうした状況が変わることを願っているわ。数字で言うと、ハリウッドにおける女性監督の作品の割合は、4%ほどでしかないの」

劇中で、マッドハッターは家族の思い出に深く心を痛める/(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

劇中で、マッドハッターは家族の思い出に深く心を痛める/(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

映画ファンの多くは、本作で再びアラン・リックマンの声を聞くことができて、嬉しさと同時に悲しみを覚えるだろう。本シリーズや『ハリー・ポッター』シリーズのスネイプ役で知られ、今年1月に69歳で急逝した名優の存在は、スザンヌにとっても極めて大きいものだった。

「とても可愛い人だった。彼とは、『ダイ・ハード』のポスト・プロダクションに取り組んでいた、1986年か1987年に初めて会って、それからの仲なのよ。スター俳優の脇役を演じるタイプの役者ではなく、多くの作品で多くの役を務めた彼が有名になってくれてとても嬉しいし、感謝しているわ。彼が逝ってしまったのは、世界にとっても、すごく悲しいことね」

劇中には、故アラン・リックマンがボイスキャストを務めたアブソレムの姿も/(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

劇中には、故アラン・リックマンがボイスキャストを務めたアブソレムの姿も/(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

最後に、日本の映画ファンへメッセージをお願いした。スザンヌは、とにかく本作を楽しんでほしいと笑顔で語る。

「楽しんでちょうだい!これが私のメッセージよ。すごく頑張って作った作品だし、皆さんは前作のように驚くことでしょう。とても感動的で、情熱が注がれている作品よ。そして、色々なものが詰め込まれているわ。2回見たくなるくらいにね」

(取材・文:岸豊)


映画『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』

7月1日(金)全国ロードショー

製作:ティム・バートン
監督:ジェームズ・ボビン
出演:ジョニー・デップ/アン・ハサウェイ/ミア・ワシコウスカ/ヘレナ・ボナム=カーター
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン

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アーティスト情報

ミア・ワシコウスカ

生年月日1989年10月14日(29歳)
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アン・ハサウェイ

生年月日1982年11月12日(36歳)
星座さそり座
出生地米・ニューヨーク

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