新作映画『ニュースの真相』を観るべき3つの理由――「真実と事実」の狭間で揺れるメディアの「現実」を映し出す

(C) 2015 FEA Productions, Ltd. All Rights Reserved.

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『ニュースの真相』ってどんな映画?

共和党のジョージ・W・ブッシュ米大統領は再選を目指し、民主党のジョン・ゲリー(現外相)と熾烈な選挙戦を繰り広げていた2004年。米国最大のネットワークを誇る放送局CBSのニュース番組でプロデューサーを務めるメアリー・メイプスは、現職ブッシュの軍歴詐称疑惑をスクープする。放送後、大反響を巻き起こすが、すぐさま番組が証拠として提示した書類に「偽造では?」の批判が高まっていく。メアリーと取材班は再調査に奮闘するが…。

観るべき理由:1――メディアにとって真実とは? 事実とは?

実話をもとに、メイプス氏本人による自伝を映画化した本作。番組プロデューサーとして先頭に立ち、有能な取材チームを率いて、現職の大統領であるブッシュの疑惑を追及する彼女の姿を軸に、国家権力や会社の上層部、競合他社からの圧力と批判に対しても、毅然とした姿勢で立ち向かう、いわばジャーナリズムをめぐる“戦い”の物語だ。

映画の原題は、真実を意味する“Truth”。あらゆるものを犠牲にしても(メイプスは妻であり、母であり、一家の大黒柱だ)、真実を追求しようと苦闘するジャーナリストの姿に胸を打たれると同時に、映画は真摯な取材を経てもなお、Fact(事実)にはたどり着けないことがあるというメディアの現実をも映し出している。取材するのも、されるのも人間。実際、些細な思い込みや詰めの甘さが、メイプスをピンチに追い込むことに…。

観るべき理由:2――アカデミー賞でも注目、新聞社を舞台にした映画

さまざまなドラマが渦巻く新聞社だけに、映画の舞台に選ばれるのもしばしば。古くはワシントンポスト紙が大統領を辞任に追い込んだ「ウォーターゲート事件報道」を描いた1976年公開の『大統領の陰謀』。アカデミー賞4冠に輝く報道映画の金字塔だ。また、ボストン・グローブ紙がカトリック教会のスキャンダルを暴いた実話を描く『スポットライト 世紀のスクープ』は今年のアカデミー賞で、作品賞と脚本賞を受賞した。

ネットの台頭や、メディアと国家権力の“距離感”など、時代の変化によって新聞社を取り巻く環境が変わりつつある今だからこそ、これら作品&本作『ニュースの真相』を通して、報道のあり方やその問題点を考えるきっかけにしたい。「このニュースって、本当にホント?」とメディアを見つめる市民の目こそが、問われる時代になったのだ。

観るべき理由:3――名優が命を吹き込むジャーナリスト魂

主人公メアリー・メイプスを演じるのは、2度のオスカーに輝く名女優のケイト・ブランシェットだ。敏腕プロデューサーにして、取材の鬼。どんなピンチに立たされても、信念を貫く意志の強さを持つ一方、ときには圧力に屈しそうになる人間的な弱さも見せる多面的な人物像を見事に演じている。4人の子どもを持つ母親というプライベートな一面も、本作には存分に生かされているはずだ。

そして、そんなメイプスと取材班にとって、大きな支えとなるのが、世界で最も有名な伝説的ジャーナリストにして名司会者のダン・ラザー。こちらはかつて『大統領の陰謀』で敏腕記者を演じ、現在は映画監督としても活躍するロバート・レッドフォードが軽快かつ重みある演技を見せる。若い野心的な記者に対し、「質問することが重要だ。批判されても、質問しなくなったら、この国は終わりだ」と励ます姿は、作品の支柱であり、大きなメッセージである。

(文・内田涼)


映画『ニュースの真相』
8月5日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国順次ロードショー

出演:ケイト・ブランシェット、ロバート・レッドフォード、エリザベス・モス、トファー・グレイス、デニス・クエイド、ステイシー・キーチ 他
脚本・監督:ジェームズ・ヴァンダービルト(『ゾディアック』『ホワイトハウス・ダウン』『アメイジング・スパイダーマン』脚本)
原題:TRUTH/2015年/アメリカ・オーストラリア/125 分/シネスコ/5.1ch/英語/日本語字幕:松浦美奈
配給:キノフィルムズ

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