【インタビュー】実写映画『ジャングル・ブック』のジョン・ファヴロー監督、「子役は大人のように扱うことがカギ」

『ジャングル・ブック』のジョン・ファヴロー監督

『ジャングル・ブック』のジョン・ファヴロー監督

かつて世界中でヒットを飛ばしたディズニーのアニメーション映画『ジャングル・ブック』が実写映画として生まれ変わり、8月11日より全国公開を迎える。去る7月某日、本作のメガホンを取り、『アイアンマン』シリーズでも知られるジョン・ファヴロー監督に、制作風景や主演を務めたニール・セディの魅力について話を聞くことができた。

―監督が最初に『ジャングル・ブック』という作品に出会った時のことを聞かせてください。

私は1966年に生まれて、アニメ版は1967年に公開されたから、最初に見たのがいつなのかは覚えていないんだ。でも、全てのキャラクター、そして楽曲も知っているから、よほど何回も繰り返し見ていたんだろうね。私が覚えている最初の夢にも、モーグリが出てきたんだよ(笑)。

―子供のころに見た感想と、大人になって見た感想の間には、違いがありましたか?

意識的に、見直さないようにしていたんだ。なぜなら、アニメ版の記憶を辿っていったからさ。例えば、モーグリがヘビのカーに食べられそうになったり、彼がクマのバルーと一緒に川で浮かんでいたり、トラのシアカーンや火、ゾウたちといったキャラクターなど、本作ではこうした自分の記憶に強く焼き付いているものを重要視したんだ。そしてこうしたノスタルジーのような感覚を、原作のキプリングの物語の中で自分が大切だと思うものと組み合わせたんだよ。

『アバター』以来の美しさ、と称されるジャングルの映像をクリエイトする中で、興味深かったことは何ですか?

私たちは、実際の動物や自然の風景を、資料や写真を通じて研究したんだ。本作で構築した世界は、実際の環境に合わされている一方で、技術が用いられてもいる。実は、本作に使われている映像技術は、『アバター』で使われたものと同じなんだ。(同作のメガホンを取った)ジェームズ・キャメロン監督も現場に来て、とても気に入ってくれたよ。

面白かったのは、全てをコントロールできるということだね。例えば、アメリカではあるシーンに雨を降らせたいと思っても、とてもコストがかかるから難しい。一方で、黒澤明監督の『七人の侍』では、役者が動いていないのに、風が吹いたり、雨が降ることによって、感情が表現されていた。本作ではこういった感情表現を、CGの火や水、土砂崩れ、川などによって実現することができたんだ。

また、通常は動物の顔で感情を表すことは難しいけど、シアカーンがやって来る時は風が吹いていたり、モーグリと彼を育てたオオカミのラクシャが悲しげに別れるシーンには雨が降っているように、天候を通じて感情を表現することができたね。

 

(c)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

―主演を務めたニール・セディ君の名演を引き出すために、何か特別に行ったことや、かけた言葉はありましたか?

私は3人の子供の父親だから、子供とのつき合い方は理解している。最も重要なのは、子役を大人のように扱うことだね。私たちが思っている以上に、彼らは聡明で、大人より早く学習するんだ。あとは、退屈させないことが大事だね。というのも、役者にとって映画の撮影は、すごく退屈なことなんだ(笑)。だから私は、様々な仕掛けを使って、ニールを常に撮影から飽きさせないようにしていたんだ。

撮影では、ジム・ヘンソンのスタジオから人形を借りた。川のシーンの撮影では、ニールがバルーの大きな人形の上に腰かけていたように、ニールは人形と一緒に演技していたんだ。彼は、単に目印を見ていたわけではないんだよ。あとは、即興で演技したり、セリフを変えたりもしたね。

私は役者でもあるから、自分も参加してニールのリアクションを引き出した。川に浮かびながら『The Bare Necessities』を歌っているシーンでも、私たちは一緒に水の中に入っていたんだ。彼には言っていなかったけれど、急に水をかけて驚かせたりしたよ(笑)。そうすることによって、驚いたり、笑ったりといった反応を得ることができたんだ。ニールは、見ているとすごく楽しい子なんだよ。2,000人をオーディションしたけれど、演技経験がないにもかかわらず、ニールはモーグリを彷彿させる子だったし、私に「見ていたい」と思わせる子だった。

要するに、僕は常にニールをリアクションさせ続けて、変化を与えていたんだ。編集室に入ったときには、彼の笑顔や驚きの表情が素晴らしいものに見えたよ。色々なものを習得するのが早く、とても聡明で、誠実な男の子だった。感情的に接点が持てるような、少年としての精神が確立できていないと、どんなに素晴らしい技術も無駄になってしまう可能性があったから、ニールは本作の錨だったんだよ。

―見逃してしまいそうなほど細やかなディテールが素晴らしかったです。その一部を紹介していただけますか?

とても多くのディテールがあるんだ。特に見てもらいたいのは、背景に移るサルの群れや、水の上に集まっている動物が、それぞれ演技している、つまり動いていることだ。エキストラ的な動物それぞれの動きは、途方もなく細かいんだよ。本作に携わった何千人ものスタッフ、そして数百人のアーティストが、素晴らしいディテールを作り上げてくれたんだ。私がそうだったように、何度も見直すうちに、新たなディテールを発見できるはずさ。

あとは、アニメ版とのシンクロにも注目して欲しい。というのも、横並びにしてみると、アニメ版と動きがぴったり合う場面があるんだ。例えば、カーにモーグリが食べられそうになるシーンで、カーが見せる目の動き。あとは、モーグリとバルーが川に浮かんでいるシーンなどだね。今では多くの人々が、Youtubeにマッチング動画をアップしているよ。あとは、私を含む、クレジットされていない役者陣が務めた秘密のボイスキャストにも期待してほしいね!

(取材・文:岸豊)


映画『ジャングル・ブック』
2016年8月11日(木・祝)ロードショー

原題:The Jungle Book
全米公開:2016年4月15日(金)
監督:ジョン・ファヴロー
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン

この記事を読んだ人におすすめの作品

アーティスト情報

TSUTAYAランキング

おすすめ映画ガイド

TSUTAYA MUSIC PLAYLIST