『ティエリー・トグルドーの憂鬱』と併せて観たい! 失業がモチーフの社会派ドラマ3選

(C)2015 NORD-OUEST FILMS - ARTE FRANCE CINEMA

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失業をきっかけにフランスの歪んだ社会構造に葛藤する中年男性の姿を描く映画『ティエリー・トグルドーの憂鬱』が現在公開中だ。今回は、『ティエリー・トグルドーの憂鬱』と併せて観たい、失業がモチーフの社会派ドラマ作品を3本紹介する。

父の失業を軸に描かれる、機能不全家族の姿

『トウキョウソナタ』/監督:黒澤清

<あらすじ>会社をリストラされた佐々木竜平(香川照之)は、妻の恵( 小泉今日子)、長男の貴(小柳友)、次男の健二(井之脇海)に黙って求職活動を行っていた。なかなか思うように再就職できない竜平は、同じく失業中の旧友・黒須(津田寛治)と共に無為な日々を送っていく。時を同じくして、竜平の家族たちもそれぞれ問題を抱えるようになり…。

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機能不全に陥った家族という、現代日本の普遍的な課題を描いた作品。会社に行ったふりをする父親、父親のウソに気づかない妻、奔放過ぎる長男、やりたいことができない次男…。本音を言えないまま、いつしか不調和に陥った家族の姿は、悲しいようでどこか可笑しくもある。香川や小泉が引っ張る実力派キャスト陣によって肉付けされたキャラクターたちが、それぞれ現実的で共感を誘う姿を見せている本作からは、中年が再出発することの難しさ(竜平の姿は『ティエリー・トグルドーの憂鬱』における主人公の姿に重なる)、そして家族の在り方という普遍的な問題について再考させられる。

「失業を伝える者」の人生を描いた珍しい一本

『マイレージ、マイライフ』/監督:ジェイソン・ライトマン

<あらすじ>リストラ報告人のライアン(ジョージ・クルーニー)は、淡々と仕事をこなしながら、マイレージを1000万溜めることを生きがいに人生を歩んでいた。そんなある日、ライアンはキャリアウーマンのアレックスと出会い、割り切った男女の関係になる。さらに、野心家の新人・ナタリーを指導することに。この2人の女性との出会いによって、ライアンの人生は少しずつ変わっていき…。

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失業する者の姿を描く作品は多いが、失業を伝える者の姿を描く作品は稀だ。クルーニーのような渋い男に失業を告げられたら「まあいっか」と思ってしまえそうだが、ことはそう単純ではない。失業する者は、生活のため、ライアンに詰め寄り、時には罵声を浴びせるのだ。それでも彼らに失業を告げるしかないライアンの孤独と悲しみ、そしてこれを乗り越える彼の哲学は、淡泊なようで味わい深い。野心家ながら結果が伴わないナタリー(アナ・ケンドリック)の高飛車っぷり、そして彼女が味わう挫折もリアルで共感できるものになっており、物語に厚みを与えている。

利他心と利己心の衝突を描いた感動作

『サンドラの週末』/監督:ジャン&リュック=ピエール・ダルデンヌ

<あらすじ>工場で働くサンドラ(マリオン・コティヤール)は、いきなり解雇を言い渡される。その背景には、同僚たちによる投票があった。不当な影響があったとして投票はやり直しになり、サンドラは同僚の家を一軒ずつ訪ねて、自分が工場に残れるよう投票してくれと頼むのだが…。

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これまでの役柄からも、非常に華やかな女性というイメージがあるコティヤールだが、自身もかつて鬱病になりかけたことがあるという。本作ではこの経験が活きており、虚ろな目で幽霊のように街を歩き続ける姿は、それまで演じてきたキャラクターとは全く異なる、「負の魅力」によって、見る者の心をわしづかみにする。利他心と利己心の間で揺れ動く同僚たちも、それぞれが様々な事情を抱えており、ただ一人を除いて、誰も悪とは言えない人間関係も、物語に苦みのあるリアリティを与えている。

(文:岸豊)


映画『ティエリー・トグルドーの憂鬱』
公開中

監督:ステファヌ・ブリゼ『母の身終い』『愛されるために、ここにいる』
主演: ヴァンサン・ランドン『母の身終い』『すべて彼女のために』
2015年/フランス作品/カラー/93分/シネスコ/5.1ch/DCP/原題:La Loi du Marche/配給:熱帯美術館

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アーティスト情報

ジェイソン・ライトマン

生年月日1977年10月19日(42歳)
星座てんびん座
出生地加・モントリオール

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