新作映画『グッバイ、サマー』を観るべき3つの理由――夏の終わりにぴったりな、現代の『スタンド・バイ・ミー』

(c)Partizan Films- Studiocanal 2015

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『グッバイ、サマー』ってどんな映画?

女子のようなルックスで同級生からからかわれ、暴力的なパンク野郎の兄や過干渉の母親には自分のことを理解してもらえない14歳のダニエル。もちろん、想いを寄せる同じクラスのローラにはまったく相手にされず…。そんなある日、テオという名の転校生がやって来た。自分で改造した自転車を乗り回す目立ちやがり屋な性格に、他のクラスメイトが距離を取るなか、ダニエルは同じ“はみ出し者”として親近感を抱き、すぐに意気投合。そんな二人が立てた、奇想天外な夏休みの旅行計画とは?

観るべき理由:1――自作の“動くログハウス”で旅に出る14歳の夏休み

周囲になじめず「なぜみんなと一緒じゃなければいけないの?」と悩みつつ、同時に「変わり者だと思われるのもイヤ」という思春期特有の不安定さを抱えるダニエル。一方、自由奔放でやんちゃなテオは、あまり他人には知られたくない複雑な家庭環境がある。二人のキャラクターは少し独特かもしれないが、子どもでも大人でもない“14歳”ならではの心の揺れや自由への憧れは、きっと誰もが共感できるはず。

そんな二人がガラクタをかき集めた自作の“動くログハウス”に乗って、新たな世界への冒険に出かける。可愛らしい見た目に加えて、どんなトラブルにもめげないパワフルさを兼ね備えたログハウスは、まさにダニエル&テオの性格や関係性が宿ったもうひとりの主人公である。

観るべき理由:2――実は実話? 天才映像作家の思い出を映画化

監督を務めるのは、ビョーク、ダフト・パンク、レディオヘッドなど人気アーティストのMVを数多く手がけ、映画監督として『エターナル・サンシャイン』(2004)で高く評価されたミシェル・ゴンドリー。本作は少年時代の思い出が色濃く反映されており、主人公のダニエルは監督自身、テオは複数の親友がそれぞれモデルになっている。動くログハウスは、ゴーカート遊びに興じた記憶が元になっているそうで「計画は思いついたのですが、成功することはありませんでした」とゴンドリー監督。

二人がガラクタを寄せ集める姿は、映画オタクが自主映画を撮ろうと奮闘する『僕らのミライへ逆回転』、どこか現実離れしたシュールな展開は『恋愛睡眠のすすめ』など、これまでの監督作品へのオマージュ要素もてんこ盛り。実話の映画化、というよりは何かに熱中し、何が現実で何が夢なのか判別できない思春期の心象風景を独自のビジョンで映像化した、という表現が適切だろう。

観るべき理由:3――切ないエンディングが余韻を残す、現代の『スタンド・バイ・ミー』

ひと夏の大冒険を通して、少しだけ大人になる…。その先に待っているのは、いつだって切ないエンディングだ。本作もそんな青春映画のセオリーに則り、思わず胸がキュンとなる結末が用意されている。夏の終わりにぴったりな余韻あふれるロードムービーに仕上がった本作は、現代の『スタンド・バイ・ミー』といって過言ではない。

ダニエルとテオ、そして同じクラスのローラを演じるのは皆、この作品で本格的な映画出演を果たしたダイヤモンドの原石たち。その透明感あふれる輝きが、もう後戻りできない瞬間のキラキラをより鮮明で、印象深いものにしている。もし日本で映画化するなら、どんなキャスティングがいいか…。ダニエルは10年前の神木隆之介だな、なんて妄想も楽しい。

(文・内田涼)


映画『グッバイ、サマー』
9月10日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテ他、全国ロードショー

出演:アンジュ・ダルジャン、テオフィル・バケ、オドレイ・トトゥ『アメリ』
監督・脚本:ミシェル・ゴンドリー
2015年/フランス/104分/DCP/原題:Microbe et Gasoil/日本語字幕:星加久実
提供:シネマライズ+トランスフォーマー
配給:トランスフォーマー
宣伝:ミラクルヴォイス

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