ライムスター宇多丸が選ぶ「アバンタイトル、からの~…オープニングが超アガる!映画」10本

「エンターテインメントの8割は“始まり方”に尽きる!」。そう断言するのはラジオの映画批評コーナーでもおなじみのライムスター宇多丸さん。何度も観るという“アガるオープニング”を熱弁!

※ピックアップ作品は、2011年末に発行された『シネマハンドブック2012』掲載のものとなります。ご了承ください。
※アバンタイトルとは映画やテレビ番組などでタイトルに入る前に流れるシーンのこと


ライムスター宇多丸が選ぶ「アバンタイトル、からの~…オープニングが超アガる!映画」10本

マーダー・ライド・ショー2 デビルズ・リジェクト

ヘビーメタル界の大物、ロブ・ゾンビが初メガホンをとったホラー映画の続編。テキサスの田舎町を舞台に、残虐な犯行を繰り返す殺人鬼一家の逃避行と保安官の追走劇をメタルサウンドに乗せて描く。

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ガメラ 大怪獣空中決戦

ガメラ生誕30周年を記念して作られた“平成ガメラ3部作”の第1弾。超危険生物ギャオスが現代に甦り、それを追ってガメラも日本上陸。福岡や東京を舞台に、2大怪獣が空中バトルを展開する。

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007 私を愛したスパイ

人気スパイアクションの第10作。ボンドとソ連の女スパイ、アニヤが一致団結して、東西両陣営で次々に行方不明になっている原子力潜水艦を捜す。同シリーズのパロディが随所にちりばめられている。

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カジノ

マーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロがタッグを組み、ラスベガスを舞台にカジノのボスの栄光と堕落を描いた人間ドラマ。シャロン・ストーンがゴールデン・グローブ賞主演女優賞を受賞した。

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ジャグラー ニューヨーク25時

“人違い誘拐”という異常な事件をドキュメンタリータッチで描いたサスペンス。一人娘を目の前で誘拐された男がひたすらNYの街を駆け回る。主演はジョシュ・ブローリンの父ジェームズ・ブローリン。

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赤ちゃん泥棒

『ブラッド・シンプル』のコーエン兄弟によるアクションコメディ。子どもに恵まれず、5つ子の一人を誘拐した元泥棒&元婦人警官の夫婦が、夫の刑務所仲間らを交えた赤ちゃん争奪戦を繰り広げる。

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サマーウォーズ

『時をかける少女』の細田守監督が手掛けたオリジナル長編アニメーション。気弱な高校生の健二は、あこがれの先輩、夏希の実家でネット上の事件に巻き込まれ、一家総出で世界の危機に立ち向かう。

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銀河ヒッチハイク・ガイド

ミュージッククリップ出身の監督が初めてメガホンをとったSFコメディ。宇宙人に破壊された地球で唯一生き残った冴えないイギリス人が奇想天外な宇宙の旅に出る。

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ミッドナイトクロス

ジョン・トラボルタ主演のサスペンススリラー。B級映画専門の音響効果スタッフが、効果音の収録中に交通事故を目撃。事件の背後には巨大な陰謀が隠されていた。

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ときめきに死す

組織に雇われた自称・歌舞伎町の医者と彼が世話をする寡黙な暗殺者、そしてコンパニオンの奇妙な共同生活とその先に待ち受ける悲劇をつづったサスペンスドラマ。

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『マーダー・ライド・ショー2 デビルズ・リジェクト』―これがピンとこないなら映画観なくていいと思うほどかっこいい!

『マーダー・ライド・ショー2 デビルズ・リジェクト』

『マーダー・ライド・ショー2 デビルズ・リジェクト』

そもそもアバンタイトルのある映画が好きなのかも。なんか「映画観てる!」って感じがするんですよ。中でも『デビルズ~』のオープニングはこの世で一番かっこいいんじゃないかとさえ思ってます! 描かれてるのは最低な光景のはずなのに、アメリカン・ニューシネマを彷彿とさせる荒い画調、音楽と編集の巧さ、特にストップモーションになるタイミングや文字の置き方が絶妙で、理屈を超えてアガってしまうんです。これがピンとこないならもう映画観なくていい(笑)! シーンとシーンをつなぐリズムのよさもロブ・ゾンビならではですね。

『ガメラ 大怪獣空中決戦』―アガるオープニングのお手本みたいな作品です!

『ガメラ 大怪獣空中決戦』

『ガメラ 大怪獣空中決戦』

アガるオープニングのお手本みたいな作品。プルトニウム輸送船警護という、トム・クランシーもののようなリアルな雰囲気で始まるんです。そのうち「船の下に巨大な環礁が! しかも動いてる!」という騒ぎが。レーダーを見るとそれがまさに甲羅の形。「今、本船の真下にいます」というセリフから海面下のショットに切り替わり、その甲羅状の影がグーッと重なってきて…重厚なテーマ曲と同時に画面いっぱいに炎が広がり「ガメラ」の文字! 映画館で観たときは鳥肌が立ちました。平成ガメラ3部作はどれもオープニングが超かっこいいです。

『007 私を愛したスパイ』―シリーズ、そしてモーリス・ビンダー史上においても最高傑作

『007 私を愛したスパイ』

『007 私を愛したスパイ』

アバンタイトルがある映画と言えばこのシリーズ。中でもこれは、名タイトルデザイナーのモーリス・ビンダー史上でも最高傑作なんじゃないかと。最初はド派手なスキーアクション。で、崖から落ちた! と思いきや、ユニオンジャック柄のパラシュートが開き、おなじみボンドのテーマ曲が軽く流れてひとアガり。そこからさらに、そのパラシュートを受け取るように女性の手のシルエットが開いて、あま~い! 主題歌が始まる…というように、緊張と緩和のリズムが抜群。その後のタイトルバックも、劇中のソ連の女スパイとの関係性をうまく表しています。

『カジノ』―デ・ニーロの「愛することは信じること」というセリフが大好き

『カジノ』

『カジノ』

ロバート・デ・ニーロの「愛することは信じること。それ以外の方法はない。秘密の鍵だって渡す…俺はそういう愛を見つけたと思っていた」というオープニングのセリフがすごく好きで。その直後に車が爆発して、映画全体の悲劇性を暗示するようなタイトルバックにつながっていく。ソウル・バスは、言わば“かっこいいタイトルバック”というものを確立した人ですね。ちなみに若い子と話してて「あのタイトルバックがさ」とか言ったら、「映画でそんなところ観てないです」って…「えっ? 映画って8割そこじゃないの!?」って思うんですけどね。

『ジャグラー ニューヨーク25時』―一場面だけで犯人の異常性、幼児的な性格が伝わってくる

『ジャグラー ニューヨーク25時』

『ジャグラー ニューヨーク25時』

好事家の間では有名な傑作。冒頭、男がダイナーにやって来る。で、皿の上の目玉焼きやソーセージを顔みたいに並べた後、ケチャップをかけてグチャグチャにする。セリフはなくともその描写だけで、実は誘拐犯である彼の異常性、幼児的な性格までが一発で伝わってくるんです。で、最後にケチャップの瓶を皿に叩き付け、タイトルがフッと出る。渋い! この映画のように70年代後半から80年代頭の治安の悪いNYが映っている作品が好きで。実は『スーパーマン』『ウィズ』もその系譜だと思ってます。あ、このテーマでも10本いけるな(笑)。

『赤ちゃん泥棒』―数分間という短い時間で登場人物のことが好きになっちゃう

『赤ちゃん泥棒』

『赤ちゃん泥棒』

最初に観たときのワクワクは忘れられないです。あ、これはもう絶対に面白い映画が始まるぞっていう。あえて言えば冒頭が一番面白いかもしれないですけど(笑)。要は普通の映画で30分かけて描くようなことを数分間に圧縮しているんですよね。で、その短い時間で登場人物のことが好きになっちゃう。例えばホリー・ハンター扮する元婦人警官が泣く場面では、彼女の泣きっ面がとにかくオーバーで、悲しいはずなのに笑えるんです。演技や演出のバランスが過剰な情報量とマッチしていて「コーエン兄弟、ブレイクしまっせ~」と確信した瞬間でした。

『サマーウォーズ』―細田監督は今の日本映画界で最もオープニングがうまい

『サマーウォーズ』

『サマーウォーズ』

細田監督は、ひょっとすると今、日本で最も“オープニングがうまい”作家なんじゃないでしょうか。この作品の場合、まずは主な舞台となる仮想空間での“ルール説明”を手際よく済ませつつ、その広大な空間にいる一つのアバターと、それを操る主人公の現実世界へとしだいに話のフォーカスが絞られていく、その言わばミクロからマクロ、そしてまたミクロへ、という視点の移し方が、本当に優雅だと思います。他では、『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』のオープニングを映画館の大スクリーンで観た時の感動も忘れられません。

『銀河ヒッチハイク・ガイド』―イルカが人間への最後のメッセージを大合唱する歌が最高

『銀河ヒッチハイク・ガイド』

『銀河ヒッチハイク・ガイド』

タイトルバックの歌「さようなら、いままで魚をありがとう」がとにかく最高ってことですね。“地球上で二番目に賢い動物”であるイルカが、“三番目に賢い動物”である人間に送る最後のメッセージを、まさかのミュージカル調で大合唱! それまでは画面もコンパクトだしナレーションもえらく冷めた調子なので、バーンと画が広がってゴージャスな音楽が流れ出す、その落差で余計にアガってしまいます。

『ミッドナイトクロス』―一瞬「あれっ?」と思わせる“ミスリード系”タイトル

『ミッドナイトクロス』

『ミッドナイトクロス』

始まって一瞬「あれっ?」と思わせる、言わばミスリード系アバンタイトル。最初、いかにもB級ホラー風の一人称視点が続くんだけど、観てるうちに「ブライアン・デ・パルマにしてはちょっとヘタだよな…」という感じがしてくる。すると、それは実は主人公の録音技師たちが製作中の“映画内映画”だということがわかる、という仕掛け。これがまさか、あの強烈なエンディングにもつながっていくなんて…。

『ときめきに死す』―思わせぶりな記号の中に“嫌なことになっていく”予感が漂う

公開当時、森田監督がテレビ番組でオープニングだけを「どうです、かっこいいでしょう!」とドヤ顔で流していたんですが、それもうなずける圧倒的なクールさ。ピンボール、コンピュータ画面、寂れた駅前、にわか雨、そして鉄橋…積み重ねられる思わせぶりな記号から、やがて“静かに嫌なことになっていく”予感が漂います。ちなみに僕にとっての“トラウマ・エンディングNo.1映画”でもあります(笑)。


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プロフィール

宇多丸

人気ヒップホップ・グループ、ライムスターのラッパー。TBSラジオ「ウィークエンド・シャッフル」で放送界最高栄誉であるギャラクシー賞を受賞したトークマスター。

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