新作映画『幸せなひとりぼっち』を観るべき3つの理由――国民の5人に1人が鑑賞で、『君の名は。』級の社会現象?

(C)Tre Vänner Produktion AB. All rights reserved.

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『幸せなひとりぼっち』ってどんな映画?

スウェーデン郊外のとある住宅地。ここに暮らす孤独な中年男オーヴェは、違法駐車や車の乗り入れ、ごみの分別に至るまで、とにかく規律に厳しい人物。最愛の妻を亡くし、挙句には43年間勤務した鉄道局を突然リストラされてしまった彼は、失意のあまり、何度となく自殺を試みるが、そのたびに邪魔が入った。理由は向かいに越してきたイラン人女性のパネヴァネとその家族。渋々“ご近所付き合い”を始めるオーヴェは、少しずつ心を開いていくが…。

観るべき理由:1――国民の5人に1人が鑑賞で、『君の名は。』級の社会現象に?

原作はスウェーデンの人気作家、フレドリック・バックマンのデビュー作。本国では2015年のクリスマスシーズンに公開され、同時期公開の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を抑えて、5週連続で興行ランキング首位に輝いた。人口990万人の同国で、160万人を動員し(国民の約5人に1人!)、スウェーデン映画以上歴代3位の記録を打ち立てたというから、ここ日本に置き換えると『君の名は。』レベルの社会現象と言っても過言ではないかも。

舞台となる、同じ形をした家屋が立ち並ぶ郊外の住宅地や、車好きの主人公ならではの国産車サーブにまつわるエピソードなど、スウェーデンらしい描写が心を和ませる。主人公が歩んだ波乱万丈の人生を紡ぐ回想シーンも美しく、亡き妻に対する愛がにじみ出ている。

観るべき理由:2――現状打破のヒントは、ご近所付き合いにアリ

偏屈な中年男が、人々との交流を通して、心を開いていく…というお話は決して目新しくはないが、本作がユニークなのは現代社会が忘れかけている“ご近所付き合い”にスポットを当てている点。物の貸し借りをはじめ、車や暖房器具の修理、ときには他人の家の子どもの面倒を見たりと、今のご時世「ちょっと面倒」「逆に危ない」なんて言われかねないコミュニケーションが生き生きと描かれている。

人間、自分自身を変えることは難しいが、他人を理解することで、世界の見え方を変えることはできるかもしれない。主人公オーヴェもまた、異国から来た女性とその家族と接しながら、自分を取り巻く環境を顧みて、自殺願望から解き放たれていく。最後まで性格はガンコで偏屈だが、ご近所と手を取り合い“白いシャツ”にギャフンと言わせるクライマックスが痛快だ。

観るべき理由:3――もし、ハリウッドリメイクするなら、主演はあの名優?

近年、『100歳の華麗なる冒険』『さよなら、人類』などがロングランヒットを記録して、映画ファンの注目を集めているスウェーデン映画。ハリウッドでは『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』『ドラゴン・タトゥーの女』(デヴィッド・フィンチャー監督)、『ぼくのエリ 200歳の少女』『モールス』(マット・リーブス監督)にリメイクされるなど、やはりスウェーデン映画に熱い視線が注がれている。

スウェーデン特有の住宅地が舞台になった本作だが、描いているのは普遍的な心の交流。くしくも大統領選が国中に“分断”をもたらしたアメリカでは、改めて見つめ直すべきテーマだけに、ハリウッドリメイクの可能性は大いにありそう。メガホンをとったハンネス・ホルム監督は『恋愛小説家』『アバウト・シュミット』を参考にしたと語っているだけに、両作品で主演を務めた名優ジャック・ニコルソンなら、主人公の偏屈オヤジがぴったりかも?

(文・内田涼)


映画『幸せなひとりぼっち』
12月17日 新宿シネマカリテ&ヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次公開

監督・脚本:ハンネス・ホルム
出演:ロルフ・ラスゴード
原作:フレドリック・バックマン
訳:坂本あおい(ハヤカワ文庫刊)
2015 年/スウェーデン/原題:EN MAN SOM HETER OVE /5.1ch/116 分/シネスコ/
日本語字幕:柏野文映 後援:スウェーデン大使館
配給・宣伝:アンプラグド

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