とよたアニメシネマフェスティバルに神山健治監督が登場!アニメの未来について語る

 

とよたアニメシネマフェスティバルより

2017年冬、駅前にシネマコンプレックスを迎え入れる豊田の市と街が主体となり、映画文化に触れる、とよたアニメシネマフェスティバルが8日に開催。今回は日本を代表する文化ジャンルとなったアニメーションにフォーカスし、ものがたりをものづくりの視点から紐解くオリジナルのセレクション上映として、神山健治監督の『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』がオープニング作品に選ばれ、神山監督と演出の堀元宣が登壇し、“アニメーションと近未来”というセレクションテーマのもと、上映前に舞台挨拶を行った。

神山監督はアニメーションと近未来について、「僕の作品には未来を予見するようなディバイスが出てきているとは思うのですが、作品を作るときに一番意識しているのは、いかに今の時代にこの国で起こっている一番大きな問題と物語がつながっているように作るかということです。その結果必然的にテクノロジーだったり、そこから先どういうふうな希望が作品の中で描けるかなど、割と近未来を予測したようなディバイスや技術が登場するのかなと思います。昨今描かれるSF世界は絵空事ではありません。今の時代から地続きの未来ということをイメージして作品を作っています」とコメント。

 

とよたアニメシネマフェスティバルより

『ひるね姫』で描かれた近未来については、「作品を作る上で、いまの世界と作品に接点を持つということが僕の中での作品作りの指針になっていて、今回はちょっと先の3年後の未来を舞台にしています。2020年に東京オリンピックが開催されますが、もう一つこの作品の中には自動車がキーワードになっていて、なぜこの2つをこの作品の中に出したかというと、自動車と東京オリンピックって昭和生まれの方たちからすると、日本の最たる成功体験だと思うんです。20世紀に日本が世界に誇れた、自信を持てたものということで、自動車産業と東京オリンピックは外せないと思いました。その事実を新に2020年また東京オリンピックを開催するタイミングで、若い人たちがどうやって受け止めるだろうとか、いまは自動車が日本を支える産業の1つですけど、それについて若い人たちがどう思うだろうかというメッセージを込めたいと思い、2020年に舞台にしました」と思いを明かした。

先進的な手法で作られているという『ひるね姫』の作画作業については、「作品を作るときに、作品そのもののテーマも意識しますが、技術面でも何かテーマを決めて作りたいなと考えています。今回は従来の紙に絵を描く作業ではなく、手描きのアニメーションの良さを残しつつ、効率化できたらいいと思い、デジタル作画と呼んでいますが、タブレットに絵を描いて直接データとして扱っていく試みを行っています。デジタル化の恩恵は革新的。日本のアニメーションは世界に轟く産業ですが、ある意味で職人技の世界。でもその成功体験が後の進化を遮ることもあります」と話した。

 

とよたアニメシネマフェスティバルより

当日は、『ひるね姫』の演出を担当した堀が登場し、タブレットでの作画の実演を披露する一コマも。緊張した様子で作画に取り掛かった堀は、「画面がガラスなので、紙と違って抵抗がなく、最初は苦労しました。あと画面とペンの間にガラスの厚みにあるので書いている線が見えているものとずれている感覚があって、それに慣れるのが大変でしたが、慣れると紙と変わらないです」とコメント。神山監督は「絵がうまい人って紙で書いても、タブレットでもやっぱり絵がうまいんです。手で描いているというより、頭で描いているんだと思います。いまは線画だけですけど、背景の人も最終的には紙で書いているものとそっくりなものをデジタルで描き上げるんです。だからいい癖も悪い癖も残るんです。例えば色を付けるときにタブレットだと何万色もの中から選べるんですけど、好きな色って結局決まっていて、それがそのままクセとして残るんです。ある種そこがいいところです。アニメーターの絵がそのままデジタルにできるわけです」と語った。

ただ、デジタル化には課題もある様子。神山監督は「ソフトを使いこなすのに時間がかかりました。絵のうまい人だったら、直線くらい簡単に書けるんですが、ソフト上だとどのツールで書けばいいのかなど学びなおさなきゃいけないので、その時間1か月くらいかかりました」と述懐。また、「デジタルデータは物が存在しないので、これが完成ですというものを次の人に回せないのと、データで管理していくというのが、まだまだ対応できていなくて、せっかくデータで存在するのにファイル移行などは手作業でやっていたんです。それから簡単に複製ができてしまうのも困りますよね。これから改善されていくとは思いますが、今まで現場にいなかったデジタルを管理する人が必要になってくるなとも思いました」と話した。

 

とよたアニメシネマフェスティバルより 

高畑充希をはじめとする豪華なキャスティングについては、「キャストさんを選ぶとき作品のイメージにあるように声だけを聴いて決めるようにしているんです。先入観を持たないようにキャラクターのイメージに合う人を選びたくて、なおかつ、映画のタイトルの『ひるね姫』の意味合いも内包してくれるような人がよかったので」と振り返り、主題歌については「主題歌の歌詞の部分が実はこの物語の最後の秘密にかかっていて、詩の部分がすごく重要になっているんです。また主人公のココネが歌っているというところにも意味があって、主役を演じる方に歌っていただきたいという思いもあって高畑さんを選びました」とコメント。

最後に神山監督は「ほんわかしたあったかい家族のドラマを作ろうと思いつつ、実はその言葉も念頭に置きながら魔法って何かなとか、今の時代の技術は今の人たち(若い人たち)にどういう風に受け止められているだろうと考えながら作った作品です。女子高生の日常から始まり、スペクタクルに発展していって、最後はとてもチャーミングなラブストーリーになっています。結構ジェットコースターな映画になっているんじゃないかと思います。先入観なく身をゆだねて楽しんでいただけたら」と語り、舞台挨拶は幕を閉じた。


映画『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』
3月18日(土) 全国ロードショー

【監督・脚本】:神山健治
【キャスト】:高畑充希、満島真之介、古田新太、
釘宮理恵、高木渉、前野朋哉、清水理沙、高橋英樹、江口洋介
【音楽】:下村陽子『キングダム ハーツ』
【キャラクター原案】:森川聡子『猫の恩返し』
【作画監督】:佐々木敦子『東のエデン』、黄瀬和哉『攻殻機動隊S.A.C.』
【演出】:堀元宣、河野利幸
【ハーツデザイン】:コヤマシゲト『ベイマックス』
【制作】:シグナル・エムディ
【配給】:ワーナー・ブラザース映画

この記事を読んだ人におすすめの作品

アーティスト情報

神山健治

生年月日1966年3月20日(53歳)
星座うお座
出生地埼玉県秩父市

神山健治の関連作品一覧

関連サイト

TSUTAYAランキング

おすすめ映画ガイド

TSUTAYA MUSIC PLAYLIST