映画『ジャッキー』公開記念-トランプの“壁”も越える!ラテン・アメリカ出身の映画監督5選

ジャッキー

(C) 2016 Jackie Productions Limited

ゴールデングローブ賞授賞式で、メリル・ストリープがトランプ大統領を批判したスピーチが記憶に新しい移民問題。現在ハリウッドも、「人種のるつぼ」といえるほど多様な人種の人々が暮らし、日々多くの映画が彼らの手によって製作されている。特にトランプ大統領が「国境に壁を作る」と宣言したラテンアメリカ出身の監督の活躍は目覚ましく、キュアロンとイニャリトゥが果たしたように、同じ国の外国人が3年連続でアカデミー受賞という快挙を果たした。そんな“才能の宝庫”ラテンアメリカ出身の、今後絶対に押さえておきたい監督をご紹介!

パブロ・ラライン(チリ)

パブロ・ラライン

パブロ・ラライン/(C) 2016 Jackie Productions Limited

アメリカ国民なら誰しもが知る、歴史的大事件を描いた『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』の監督をつとめたのはチリ出身のパブロ・ラライン。チリの独裁政権の是非を問う国民投票における反対派のキャンペーン活動を描いた『NO』(12)でアカデミー賞(R)外国語映画賞にノミネートを果たした経験を持つララインは、現在世界中で注目を集めている。本作は彼にとって初めての英語作品となる。

『ブラック・スワン』で本作の主演ナタリー・ポートマンにオスカーをもたらしたダーレン・アロノフスキーは今回プロデューサーとして本作に参加し、監督に外国人であるララインを起用することを決めた。彼は「パブロの作品を見て、エネルギッシュなスタイル、登場人物の感情と政治的見解を絶妙に絡み合わせながら効果的に物語を伝える能力に驚いた。まさに、ケネディ暗殺後のジャッキーを描いた物語にピッタリだと思った」と語っている。

王室のないアメリカでは、ケネディ家は“ロイヤルファミリー”に例えられるほどの名門一家だが、そのパブリックイメージさえ持たない外国人が本当にケネディ家の物語を描けるのか疑惑の声もあった。しかしアロノフスキーの狙い通り外国人監督ならではの新鮮な視点から捉えたケネディ家の描き方には多くの賛辞が送られ、現在もっとも次回作を期待されるラテンアメリカ人監督の1人となった。

アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(メキシコ)

2014年の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』、2015年の『レヴェナント 蘇えりし者』と2年連続でアカデミー賞(R)監督賞を受賞し、いまやハリウッドを代表する監督となったイニャリトゥ。

初長編監督作『アモーレス・ペロス』(00)がカンヌ映画祭にて高く評価され、以降『21グラム』(03)などテーマ性に富んだヒット作を、独自の視点と創造性で革新的な作品を発表し続けている。言葉で隔てられた人々の繋がりを描いた『バベル』(06)では役所広司や菊地凛子など日本人俳優を起用し、日本でも話題に。

出身地メキシコではラジオ局のディスク・ジョッキーとして活躍していたという異色の経歴の持ち主。

アルフォンソ・キュアロン(メキシコ)

イニャリトゥが2年連続で監督賞を獲る前年の2013年、宇宙に一人取り残された女性宇宙飛行士の帰還劇を描いた『ゼロ・グラビティ』(13)にて、ラテンアメリカ人としては初のアカデミー賞(R)監督賞を受賞を果たした。

大学で哲学と映画を学んだ後メキシコのテレビ局に入社。数々の南米圏映画のディレクターを経験し、映画監督の道へ。『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(04)や『トゥモロー・ワールド』(06)など、SF映画も多く手がける。また映画プロデューサーとしても活躍しており、同じメキシコ出身監督である、イニャリトゥ、ギレルモ・デル・トロの3人が共同経営する「チャチャチャ・フィルム」を立ち上げるなど精力的に活動している。

現在は1970年代前半のメキシコを舞台に、中流階級の人々の暮らしを描いた新作『Roma(原題)』を撮影中。

ギレルモ・デル・トロ(メキシコ)

『ブレイド2』(02)や『ヘルボーイ』(04)などアメコミの映画化作品の監督を務めた後、スペインで製作した『パンズ・ラビリンス』(06)が世界的な大ヒットとなり、ファンタジー映画のヒットメーカーとして一躍をその名を広める。

『パシフィック・リム』(13)の公開時にPRとして初来日を果たした際、先日惜しまれつつも展示終了となったお台場の等身大ガンダム立像を見て感動のあまり言葉を失ってしまったほど日本アニメに精通したオタクとして知られ、その親しみやすさから日本でも人気が高い監督。

ギレルモが原案・監督・脚本・製作を務めた大ヒット中のTVシリーズ「ストレイン 沈黙のエクリプス」は今年放映予定のシーズン4で終了することが発表されている。最新作は本年度アカデミー賞(R)助演女優賞を獲得したオクタヴィア・スペンサーやマイケル・シャノンら実力派俳優が出演する『The Shape of Water(原題)』。内容は“冷戦下が舞台の異世界ラブストーリー”と、ギレルモ色満載のファンタジーとなっているそうで期待が高まる。

アレハンドロ・ホドロフスキー(チリ)

ラテンアメリカ出身の監督を代表する存在といえば、ホドロフスキー。シュルレアリスムを基とした一風変わった作風が多く、代表作『エル・トポ』(69)が興行的に成功をおさめ、ジョン・レノンやアンディーウォーホル、ミッ ク・ジャガーといった著名人から大きな支持を集めた。

続く『ホーリー・マウンテン』(73)は、前作よりさらに神秘主義的な要素が強く、現在でもカルト的な人気を誇る名作として知られている。

映画監督のほかにも、漫画家、セラピスト、タロット研究家といくつもの顔を持っており、私生活が謎に満ちている点も人気の理由。『ドライヴ』のニコラス・ウィンディング・レフン監督はホドロフスキー信者であり、今年公開され話題となった『ネオン・デーモン』製作の際には、ホドロフスキーのタロット占いを頼りに必要なカットを決め、編集を進めていたという。

最新作は自身の幼少期を描いた『リアリティのダンス』(13)の続編ともいえる『エンドレス・ポエトリー』。クラウド・ファンディングで世界中のファンから資金を集めて製作したという本作の主人公を実の息子のアダン・ホドロフスキーが演じていることでも話題。


映画『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』
3月31日(金)より、TOHO シネマズ シャンテ他にて全国公開

出演:ナタリー・ポートマン、ピーター・サースガード、グレタ・ガーウィグ、ビリー・クラダップ、ジョン・ハート
監督:パブロ・ラライン
脚本:ノア・オッペンハイム
製作:ダーレン・アロノフスキ―ほか
【原題:JACKIE/2016 年/アメリカ・チリ・フランス/ヨーロピアンビスタ(1.66:1)/5.1ch/英語】
配給:キノフィルムズ

レヴェナント:蘇えりし者

レヴェナント:蘇えりし者

出演者 レオナルド・ディカプリオ  トム・ハーディ  ドーナル・グリーソン  ウィル・ポールター  フォレスト・グッドラッグ  ドウェイン・ハワード  アーサー・レッドクラウド  グレイス・ドーヴ  ポール・アンダーソン[俳優]  ルーカス・ハース
監督 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ  アレハンドロ・G・イニャリトゥ
製作総指揮 ブレット・ラトナー  ジェームズ・パッカー  ジェニファー・デイヴィソン  デヴィッド・カンター  ポール・グリーン[製作]  マーカス・バーメットラー  フィリップ・リー[製作]
脚本 マーク・L・スミス  アレハンドロ・G・イニャリトゥ
原作者 マイケル・パンク
音楽 坂本龍一  カーステン・ニコライ
概要 アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督がレオナルド・ディカプリオを主演に迎え、過酷な大自然の中で繰り広げられるひとりの男の壮絶な復讐劇を壮大なスケールで描いたサバイバル・アクション。共演はトム・ハーディ。1823年、アメリカ北西部。狩猟の旅を続けている一団が未開の大地を進んでいく。ヘンリー隊長をリーダーとするその集団には、ガイド役を務めるグラスとその息子ホーク、グラスを慕う若者ジム・ブリジャーや反対にグラスに敵意を抱くフィッツジェラルドなどが一緒に旅をしていた。ある時、一行は先住民の襲撃を受け、多くの犠牲者を出す事態に。混乱の中、グラスたち生き残った者たちは船を捨て陸路で逃走することに。そんな中、グラスがハイイログマに襲われ、瀕死の重傷を負ってしまうが…。

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リアリティのダンス

リアリティのダンス

出演者 ブロンティス・ホドロフスキー  パメラ・フローレス  イェレミアス・ハースコヴィッツ  アレハンドロ・ホドロフスキー  クリストバル・ホドロフスキー  アダン・ホドロフスキー
監督 アレハンドロ・ホドロフスキー
製作総指揮 グザヴィエ・ゲレーロ・ヤマモト
脚本 アレハンドロ・ホドロフスキー
原作者 アレハンドロ・ホドロフスキー
音楽 アダン・ホドロフスキー
概要 齢84歳となる「エル・トポ」の鬼才アレハンドロ・ホドロフスキー監督が、自らの自伝を原作に、23年ぶりに撮り上げた異色ドラマ。チリの田舎町を舞台に、その波瀾万丈の人生模様をオリジナリティ溢れる映像で紡ぎ出す。1920年代、軍事政権下のチリ。幼少のアレハンドロ・ホドロフスキーは、ウクライナ移民の両親と北部の炭坑町トコピージャで暮らしていた。権威主義的な父の横暴と、アレハンドロを自分の実父の生まれ変わりと信じる元オペラ歌手の母の過剰な愛の中で大きなプレッシャーを感じて育ったアレハンドロ。学校でもイジメに遭い、孤独で辛い日々を送る。そんな中、共産主義者の父は、独裁者のイバニェス大統領暗殺を企み、首都へと向かうが…。

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