【インタビュー】『ひるね姫~知らないワタシの物語~』神山健治監督&満島真之介「想定していたよりもずっとチャーミングな映画になった」

神山健治監督、満島真之介

神山健治監督、満島真之介

東のエデン』『攻殻機動隊 S.A.C.』などで知られる神山健治監督によるオリジナル長編アニメ『ひるね姫~知らないワタシの物語~』がいよいよ、スクリーンに登場する。舞台は、東京オリンピックが迫る2020年の夏。ひとりの少女・ココネが現実と夢の中を行き来しながら、“知らないワタシ”を見つけていく物語だ。そこで、神山監督とココネの幼なじみのモリオ役を演じた満島真之介を直撃。オタク青年役に満島を抜擢した理由や、人生のモットーまでを聞いた。

(c)2017 ひるね姫製作委員会

(c)2017 ひるね姫製作委員会

――主人公ココネの幼なじみ・モリオ役を、満島真之介さんが演じています。理系オタクの青年役に、なぜ満島さんを抜擢されたのでしょうか?

神山:オリジナル長編のキャラクターになりますので、なるべく生っぽさやリアルさがほしいと思って、今回の主な声優は役者さんにお願いしたいと思っていました。僕はいつも声優を決める時は、プロフィールなどは事前に見ず、参考にいただくサンプルの声だけを聞くようにしているんです。声を聞いただけで、年齢や体型などがだいたい当たるんですよね。声にはその人のパーソナリティが乗っかっているものなんだと思います。今回も満島くんだと知らずに声だけを聞かせていただいて、『あ、いいかも』と思った。『この人はちょっとオタクっぽいところがあるはずだ』と思ったんです。でもこの声が満島くんだと知って驚いきました。彼はべらぼうに男前だし、スポーツマン。体を動かすタイプで、理系オタクのモリオとは真逆だと最初はちょっと焦ったんです(笑)。

――実際にお会いしてみて、いかがでしたか?

神山:それが実際に会って話してみると、『満島くんのなかにも意外とオタクっぽいところがあるぞ』と気づいて、『これはしめた!』と思いましたね。満島くんは一見オタクに見えないんだけど、何事も体感してみないと納得していかない人なんだということがわかった。それで“体感オタク”と名付けた(笑)。アフレコの時も、ブースでいろいろな芝居のパターンに挑戦していましたね。結果的にとても素敵なモリオを作り上げてくれました。

(c)2017 ひるね姫製作委員会

(c)2017 ひるね姫製作委員会

――満島さんは、神山監督の“体感オタク”との分析をどう思われましたか?

満島:“体験・体感オタク”じゃないかと言われた時は、“ガッテン!”と思いました(笑)。俺はそれだ、合致した!と。人との出会いもそうですけど、僕は人のウワサとかってほとんど気にしないんです。会って話したり、相手の目を見て見ないと、その人のことってわからないじゃないですか。だから僕は人と会った時には、『今日のこの人を体感したい』と思って、最初に握手やハグをしちゃうんです。なんだって体感してみないとわからないし、匂いや色など、すべて五感で感じてみないと納得がいかない。“体験・体感オタク”という言葉には、僕のその性格のすべてが集約されていると思いました」。

――モリオは、オタクで気弱そうなイメージがありますが、ココネを守ろうと勇気を出す一幕もあります。モリオにどんな印象を持たれたでしょうか。

満島:これから電子機器が発達していけばいくほど、見た目も含めてモリオのような男の子が増えていくんじゃないかと思っています。モリオは一見オタクで、ココネにいつも振り回されているんだけれど、ココネが危ないとなった時はパッと前に出ていく。駅のホームで敵か味方かわからない人たちに出くわすシーンがありましたよね。あそこでも、一生懸命にココネを守ろうとしていた。僕はモリオは“希望”だなと思った。日本にこういうタイプの人間が増えていくとうれしいなと思います。いつもは誰かの後ろにいながらも、勇気や優しさをちゃんと持っている男の子。僕は、『これから先の若いヤツら、頼むぞ』という監督からのメッセージなような気もしたんです。

神山:なるほど。そう思ってくれていたんだ。オタクってどこかかっこ悪いイメージで語られることもあるけど、僕はそうではないと思っていて。得意なものを持っているからこそ、それが自信に変わる時が来るものなんだと思います。モリオはそういうキャラクターにしたいと思っていました。一見、腰が引けているように見えるんだけど、『コイツ、なかなかやるじゃん』と思えるような男の子になればいいなと思いながら描いていました。まさに今、満島くんが言ってくれたようなキャラクターなんだと思います。

――ココネとモリオの関係性ややり取りが、映画の大きな魅力でもあります。ココネ役の高畑充希さんと満島さんの相性はいかがでしたか?

神山:二人とも若いからなのか、岡山の方言を暗記するのが早いんですよ。岡山弁は知らない人間からすると関西弁のようなイントネーションをつけてしまいがちなんだけど、イントネーション自体は関東に近かったりして。それでいておっとりしていて、あまり聞き覚えのない言い回しが入ってくる。思いのほか難しいので、みなさん苦労されていましたが、二人はすごく勘が良かった。それにココネとモリオの掛け合いは、一緒に収録をすることができたので、その良さがとても出ていたと思います。お互いの芝居を感じることで、テンションが上がっていく部分があったと思う。

(c)2017 ひるね姫製作委員会

(c)2017 ひるね姫製作委員会

満島:絶対に一緒にやりたいと思っていたんです。そうしないとココネとモリオの微妙な距離感をきちんと出せるか不安でした。高畑さんは小さい頃から音楽に携わったり、舞台の上で歌を歌ったりたくさんの経験をしてきている。その経験やスキルがしっかりと自信となっていて、彼女の中にひとつの芯となっているのが見える気がしました。そこはココネともリンクしているんじゃないかな。彼女についていけば、僕はもっと自由にモリオを演じることができると思うことができました。実は今回、アフレコの日が高畑さんとは初対面だったんです。初対面にして、絵を介して会話をするというのが、大いに刺激的でもありました。

――神山監督にとって、初の劇場オリジナルアニメーションとなる本作。映画だからこそできるダイナミックなシーンも多かったです。改めて、監督にとってどのようなチャレンジなったと思われますか?

神山:僕は、アニメーションという表現方法で『映画を撮りたい』という思いが長年あって。テレビシリーズを作っている時も映画だと思って作っています。いつも『映画の正体ってなんだろう』と思っているところがあるんですよね。何が映画なのかといえば、観た方が決めるしかないとも思うんだけれど、映画を観終わった瞬間にも、『このキャラクターたちはフィルムの外にもきっと生きているはずだ』と思ってもらいたい。そういう映画にしたいと思って、今回は作っていました。僕にとってはこのキャラクターたちが存在しているという手応えがあるし、想定していたよりもずっとチャーミングな映画になったと思っています。

(c)2017 ひるね姫製作委員会

(c)2017 ひるね姫製作委員会

満島:僕は完成作を観た時に魔法がかかったような感じがしたんです。すごく新しい景色が見えたような気がして、人生の宝物になる作品に出会えたと思いました。絵ができる前にアフレコをしましたが、僕が感じていたモリオの表情がそのまま絵になっていました。監督が僕の声を感じ取って、モリオにしっかりと託してくれた。これは新しい体感であり、感動でした。モリオが走り回っているのを見た時は、モリオとものすごい強いハグをした感じがしました。

――劇中には「ココロネひとつで空をも飛べる」という印象的なセリフがあります。お二人にとって、座右の銘はありますか?

神山:“Winners never quit and quitters never win.”というのが座右の銘です。勝者は決して諦めない、勝利を思わない者に勝利は訪れない。いつもこの言葉に励まされています。

満島:自分の言葉なんですが、『僕は世界で一人しかいない、目の前にいる人も一人しかいない。だからみんな特別な宝物なんだ』といつも思っています。僕は人が大好きで、人と話をするのが好き。今回もこの映画を通して、本当にいい出会いをさせてもらいました。神山監督とはこれで終わらない気がしているんです。同じ方向を向いて走っていきたいと思える、新しい兄貴を見つけた感じです!

神山:うれしいね。満島くんに演じてもらって、本当によかった。満島くんと話すのはすごく楽しいんだよね。また絶対に話そうね。

神山健治監督、満島真之介

神山健治監督、満島真之介

(取材・文:成田おり枝)


『ひるね姫~知らないワタシの物語~』
3月18日(土)全国ロードショー

原作・脚本・監督:神山健治
キャスト:高畑充希、満島真之介、古田新太、釘宮理恵、高木渉、前野朋哉、清水理沙、高橋英樹、江口洋介ほか
音楽:下村陽子
キャラクター原案:森川聡子
作画監督:佐々木敦子、黄瀬和哉
演出:堀元宣、河野利幸
制作:シグナル・エムディ
配給:ワーナー・ブラザース映画

この記事を読んだ人におすすめの作品

アーティスト情報

神山健治

生年月日1966年3月20日(52歳)
星座うお座
出生地埼玉県秩父市

神山健治の関連作品一覧

満島真之介

生年月日1989年5月30日(29歳)
星座ふたご座
出生地沖縄県

満島真之介の関連作品一覧

古田新太

生年月日1965年12月3日(53歳)
星座いて座
出生地兵庫県神戸市

古田新太の関連作品一覧

関連サイト

TSUTAYAランキング

おすすめ映画ガイド

TSUTAYA MUSIC PLAYLIST