『シン・ゴジラ』を経て、日本のゴジラが辿る道は…? 代官山 シネマトーク VOL.6「ロード・トゥ・『シン・ゴジラ』」

(座り左から)富山省吾氏、石井信彦氏

(座り左から)富山省吾氏、石井信彦氏

日本アカデミー賞作品賞を含む7冠に輝いた大ヒット作品『シン・ゴジラ』が3月22日についにBlu-ray&DVDで発売。このヒットの要因、そして“ゴジラ愛”について語るべく、東宝の『ゴジラ』シリーズを世に送り出したプロデューサー・富山省吾氏と、92年の伝説的TV番組「冒険!ゴジランド」のプロデューサー・石井信彦氏をゲストに迎えたトークイベントが代官山 蔦屋書店にて開催された。

『シン・ゴジラ』は特撮とアニメが結晶化した作品

映画『シン・ゴジラ』の第一印象を聞かれた富山は、まず当時のことを振り返った。

「(監督の)樋口さんが僕に『どうでした?』と聞いてきたので『すごく面白かったよ』伝えたんです。何しろ情報量が膨大なので、この映画は一度ではわからない。おそらく2度めか3度目が一番面白いだろうけど、(初回の)今日もすごく面白かった、と」

樋口監督にしてみれば、ゴジラ映画として“お墨付き”をもらったとも言えるコメントだ。富山の解説は続く。

「(持参した完成台本を見せながら)この台本、普通のスタッフが読んだら4時間なんです。でも庵野さんに言わせれば、“2時間”だと。アニメの声優を集めて喋らせてみて『2時間でしょ?』と言ったんです。そのぐらい、まず台本としての情報量が凄い。で、視覚効果も含めた撮影ユニットが4つあって、さらに監督も撮るという。だから映像もすごい、と。美術も日本アカデミー賞で最優秀を獲りましたけど、あのお二人(林田裕至、佐久嶋依里)が挨拶で言っていたのは、『これだけ真剣に取り組める映画に出会えてよかった』というのと、『ディテールのディテールまで全部作りました』と。つまり美術も凄い。音もですよね」

「これだけのものを、お客さんがどう受け止めるかが楽しみだった」と続ける富山が考えるヒットの要因は“特撮とアニメの結晶化”だという。

「怪獣映画としてのゴジラは、長いシリーズの流れを含めてジャンル化してしまった。(国産では12年ぶりなので)今度はどのくらいお客さんが来てくれるんだろうって。『エヴァ』を観ていたような子たちが『シン・ゴジラ』でも来てくれたんだと思う。日本で長い時間かけて作り上げてきた特撮とアニメが、2016年に結晶化した作品。これは2016年のベストだろうと作り手も僕も思ったし、お客さんもそう思ってくれたと思います。だから日本アカデミー賞で最優秀も監督賞も獲った」

また、進行を務めた代官山 蔦屋書店のコンシェルジュ・吉川から「4時間になるものを2時間に収めて、それが期せずして庵野監督がリスペクトする岡本喜八監督のテイストになってきているのでは?」と聞かれると富山はこう振り返った。

「映画を観始めて、牧悟郎の写真(岡本喜八)を見た時にすごく嬉しくなって。僕は庵野さんが岡本監督をリスペクトしていると知らなかったので、後でネットで探して対談とか読んだら凄いんですよ。作品的にはまさしく『日本のいちばん長い日』『独立愚連隊』をやるとなっていたと思いますし、それはいい手本としてふさわしかったと思いますね」

怪獣映画=未知との遭遇

『シン・ゴジラ』を「今回はゴジラがいない世界」と言う富山。それは、今までシリーズとして受け継がれてきたからこそできなかったことでもあった。

「1作目があって2作目以降がある。みんな“ゴジラがいない世界”を作りたいけど、田中友幸というプロデューサーがいたら、そんなことは言えないんです。その流れでやってきて、生みの親がいなくなった今、みんながやりたかったことを最高のスタッフを集めてやり切ったということですよ。怪獣映画とは何かというと、基本は“未知との遭遇”。知らないものが現れてびっくりする。『シン・ゴジラ』は“未知との遭遇”として成立していると思いますね」

また、吉川から平成のゴジラシリーズとの違いを聞かれると富山は「シリーズとして続けていた時代は、ゴジラのことはみんな知っているし、(映画の)ストーリー上もそうなっている。つまり“ご存知怪獣”がいて、それを観にお客さんは来てくれる。僕らはそこに新怪獣だったり、ゴジラの謎解きだったり、そういう要素を入れながらやってきた。でも『シン・ゴジラ』はそこから時間が経って間が空いたことで、完全に新しい怪獣映画として生まれた」と解説。さらに「今までのような『監督と特撮班』という関係ではなく、今回は庵野さんが作った全体のイメージを、樋口・尾上という二人を中心に、みんなで集まって作った映画。そのことの成功例としての完成度の高さだし、こんなことは2度はできない」と手放しで賞賛した。

ゴジラの魅力は万国共通?

深すぎるゴジラトークが進む中、イベント中盤からは「渋谷で飲みましょうというので来たのですが(笑)」と『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』(00)の監督、手塚昌明氏が加わった。ちなみに手塚は本作について「とても面白かったです。劇場で3回観ましたし、昨日メイキングも見ましたが、やっぱり面白いなと」と感想を述べている。

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イベント中盤からは『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』(00)の監督・手塚昌明氏も参加。(座り左から手塚昌明氏、富山省吾氏、石井信彦氏)

手塚の紹介がてら吉川が「アイデアが秀逸」と絶賛した『ゴジラ×メガギラス』での“渋谷の水没”について尋ねると、それを聞いていた富山が「渋谷を歩いていて『ここは水没するね』と考えたのは僕です」と裏話が飛び出し、会場からは拍手が。石井も「オープンセットが凄かったですよね、水際のところとか」と続き、手塚は「特撮のスケジュールがあるので大変でしたが、やるからには思い切ったことをやらないと。監督が嫌がっていてはいけないし、面白くするために頑張ろうと」とそのこだわりを明かした。

手塚が監督デビューを果たした『ゴジラ×メガギラス』と同じ平成時代には、ついにゴジラも国外へ進出、ハリウッド版のゴジラも制作されるようになった。キャラクターとしての魅力を富山は「日本も外国もない」と前置きした上で、後に『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の監督を務めることになるギャレス・エドワーズが手がけた『GODZILLA ゴジラ』(14)についてこう語る。

「世界でゴジラというスターを評価させたいという思いがあって、90年代はああいう形で勉強して(ローランド・エメリッヒが手がけたハリウッド版第一号『GODZILLA』のこと。恐竜感が強く、ゴジラというものとは程遠かった)、次にレジェンダリー・ピクチャーズを選んだ。トーマス・タルですよ(レジェンダリーの創設者。『バットマン・ビギンズ』を皮切りに、『ダークナイト』『パシフィック・リム』など数々の名作を送り出し続けている)。その彼がギャレスを選ぶんだったら、ということで、ひとつひとつの積み重ねの中で、間違いのないオーダーになっているので、これは見事だったと思いましたよ」

さらに、この流れを「すごくありがたい状況ができている」とも解説。

「流れとして、怪獣プロレスをあっちがやってくれるわけ。少なくとも2020年まではもう世界がやってくれる。これは“未知との遭遇”じゃなくて、ご存知怪獣同士のプロレスバトルをやるわけですよ。そうなったときに、日本では“作家の怪獣映画”をやればいい。手がける人ごとに『今度はこういうゴジラ』と全く違うものが出てくるようになると思いますし、それはとても楽しみですね」

『シン・ゴジラ』に「続」はあるのか? ポイントは高橋一生と市川実日子??

吉川から続『シン・ゴジラ』の可能性について聞かれると、富山は「やりたい監督はたくさんいる。僕は個人的には吉田大八、石井裕也の『シン・ゴジラ』とか観たいわけ。でもこれは僕というより、東宝のプロデューサーが何を考えるかですよ。1本1本違うブランディング化というのは、ハリウッド版があるからできるんですよ」とコメント。さらに「対戦モノじゃないゴジラをやればいい」とも続けた。

その富山から「その枷をはめた時にものすごく難しくなると思うけど、だからこそ面白いっていうね。どう? 機龍を出ないゴジラ映画って」と振られた手塚は「僕は機龍(メカゴジラとか)が出るゴジラをまた観たいですよね。対戦どうのこうのは…僕は一番初めに映画館で観た『キングコング対ゴジラ』が大好きなので。その後で何本目かに観た初ゴジ(初代ゴジラ)は面白いと思わなかったんですね、当時の子供としては。明らかにあれは子供相手に作っていませんから。初代ゴジラは大人になって観ても驚いたし、最近また観てぶっ飛んだというくらい面白いんですけどね」と回答。

イベントの最後にはそれぞれが『シン・ゴジラ』以外に最も愛するゴジラ映画を1本語ってイベントの幕を下ろした。

富山:やっぱりこれは返事できないですよね…。僕も最初に『キンゴジ』を観たので。そして一作目は別格だから、同じくらい好きだし。『三大怪獣 地球最大の決戦』の登場シーンは得がたいし、SFマインドという点では『メガギラス』は面白いと思いますよ。一番と言われてそれを言えない? というのはすいません、と。
石井:最初に観たゴジラがどうしても来ますよね。世代的には『三大怪獣』なので。
吉川:平成の中では私と石井さんの中では『ゴジラ vs ビオランテ』がいいなと。
富山:人気投票1位になりましたからね。
手塚:僕は『ゴジラ vs キングギドラ』ですね。あのハチャメチャさ感が。
吉川:庵野さんはもう作らないと言われたなら、『シン・ゴジラ』のパート2は手塚監督に手を挙げていただいて…
手塚:あの…宮﨑駿という監督をご存知ですか?(笑)
富山:僕は、パート2という意味では、高橋一生と市川実日子の後日談のラブストーリーを観たいです。あの映画の中で明らかに安田は惚れているもんね。この2人はどうなるんだろうっていう。怪獣の出ない『シン・ゴジラ2』をね。
石井:普通の恋愛映画としてね。

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