『夜は短し歩けよ乙女』『PARKS パークス』『無限の住人』―4月のおすすめ映画ガイド<邦画編>

 

(C)森見登美彦・KADOKAWA/ナカメの会

映画ライター岸豊がおすすめ作品を紹介する連載の第4回。今回は4月に公開を迎える邦画作品から、森美登美彦の同名大ヒット小説を映画化した『夜は短し歩けよ乙女』、橋本愛・永野芽郁・染谷将太のアンサンブルがキラキラとした輝きを放つ『PARKS パークス』、木村拓哉主演ながら戸田恵梨香の存在感が凄まじい『無限の住人』の3本をピックアップ。それぞれの魅力を紹介する。

『夜は短し歩けよ乙女』―森美登美彦×湯浅政明で贈る、奇妙で愉快な一夜物語。

森美登美彦による同名小説を、湯浅政明監督がスクリーンに落とし込んだ一本。劇中では、京都の大学を舞台に、先輩(星野源)と彼の後輩である黒髪の乙女(花澤香菜)が織りなす恋模様が描かれる。

森美節と称すべき文学的かつジョークの効いた軽妙なセリフ回しはもちろん、奇妙奇天烈なキャラクターの挙動、リアリティとファンタジーが絶妙にブレンドされた世界観といった原作の魅力はそのまま活かされているが、部分的に施された湯浅監督の脚色も光る。興味深いのは、「夜は短し歩けよ乙女」「深海魚たち」「御都合主義者かく語りき」「魔風邪恋風邪」という、原作を構成していた4つの章を一晩の出来事にまとめたこと。これによって、物語の摩訶不思議な味わいは一段と深まった。また、『マインド・ゲーム』やテレビアニメ『ピンポン』『四畳半神話大系』でも見受けられた、湯浅監督らしいポップでデフォルメの効いたアニメーションも随所で物語のスパイスとなっている。星野と花澤をはじめ、神谷浩史、秋山竜次らボイスキャストの仕事ぶりも素晴らしい。

『PARKS パークス』―瑞々しいキャストのアンサンブルが心地よい青春ドラマ

橋本愛、染谷将太、永野芽郁という若手実力派3人の共演で描く等身大のドラマ。大学生の吉永純(橋本)が、父の元恋人である女性の行方を捜す木下ハル(永野)、音楽スタジオで働く小田倉トキオ(染谷)とともに、ハルの父親が残したテープに収録されていた曲を再現しようと奮闘する姿を描く。

とにもかくにも、キャストが見せる自然な演技が素晴らしい。特に、父の元恋人である女性の過去を探求する少女・ハルを演じた永野の演技は最高だ。ふわふわとした空気を漂わせながら、空想の中で現在と過去を往来する彼女の姿には、観客の目を奪い続ける独特な魅力がある。クライマックスに向けて、それぞれの理想と現実のギャップが絡まり合うことで生まれる複雑な人間模様にも引き込まれるものがあり、瀬田なつき監督(『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』など)がラストに仕掛けた驚きの演出も面白い。鑑賞後には、井の頭公園をはじめ、成蹊大学、サンロード、ハモニカ横丁などのロケ地を巡ってみるのも楽しいだろう。

『無限の住人』―戸田恵梨香がかっこよすぎる時代劇アクション!

沙村広明による同名コミックを基に、不死身の肉体を誇る用心棒・万次(木村拓哉)が、両親を殺された少女・浅野凜(杉咲花)とともに、敵である天津影久(福士蒼汰)率いる逸刀流への復讐を繰り広げる姿を描く時代劇。

正直に言うと、主人公サイドにはあまり魅力がない映画なのだが、悪役たちの存在がこれをカバーしている。福士蒼汰が演じた天津はもちろん、市原隼人がふんした逸刀流を狙う集団・無骸流の剣士・尸良、市川海老蔵が怪演した閑馬永空などの存在感は実に力強い。そんな悪役たちの中でも、天津が最も信頼する剣士・乙橘槇絵を演じた戸田恵梨香の演技は特段の輝きを放っている。人を殺したくないにもかかわらず、愛する天津のために刀を握ってしまう女としての悲哀と、戦いの際に見せる冷酷さ(『エンジン』以来の共演となった木村拓哉を蹂躙する様は圧巻!)という、彼女に内在する二つの感情がぶつかり合うことによって、槇絵は極めて悲劇的な、物語におけるもう一人のヒロインとしての魅力を放ち、観客の心を奪うのである。彼女の運命が導く悲劇的な最後も、劇中では屈指の名場面に仕上がった。

(文:岸豊)

>『ムーンライト』『レゴ(R)バットマン ザ・ムービー』ほか、4月のおすすめ映画ガイド<洋画編>

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