映画『家族はつらいよ2』妻夫木聡&蒼井優インタビュー「努力しなくても夫婦になれる」

妻夫木聡と蒼井優

妻夫木聡と蒼井優

山田洋次監督の『家族はつらいよ2』が公開された。小津安二郎監督の『東京物語』を翻案した『東京家族』と同一の4組の男女キャストが再結集し、姓名を微妙に変化させスタートした、ドタバタホームコメディ『家族はつらいよ』の続編となる本作。次男夫婦、平田庄太&憲子に扮する妻夫木聡蒼井優は息もピッタリだ。山田作品での三度の共演のみならず、NODA・MAPの舞台「南へ」などでも顔を合わせているふたり。共に福岡県生まれ。年齢こそ違うものの、それぞれ2001年の『ウォーターボーイズ』『リリィ・シュシュのすべて』でブレイクを果たしており、日本映画の同時代を生きてきた。そんな妻夫木と蒼井だからこそ体現できる可笑しみが、『家族はつらいよ2』にはある。

蒼井:今回(の平田庄太)は、ちょっと小狡い感じがあるよね。

妻夫木:ずっと緩衝材みたいな存在だったけど、毒づいてきてる。だんだんと「崩壊家族」(笑)の一員になってきた。前回はいい意味で緊張感があったんですよね、ふたりの中に。(庄太と憲子は)結婚する前だったし。今回はそれが落ち着いちゃって。そういう意味では役に対しての「ゆとり」みたいのがあったかと思います。

蒼井:橋爪(功)さん扮するお父さん(平田周造)が「憲子」と呼んでくれたのが嬉しかったですね。家族に入れてくれてるんだなって感じがして。若干、前回とは役同士の距離感も違うというか。自分が結婚したわけでもないんですけど(笑)、あ、嫁いだんだなという感じがして嬉しかったですね。

妻夫木:憲子、活躍するよね。憲子がいないと成り立たないんだよ、この家族(笑)

蒼井:あと夏川(結衣)さんの役(平田史枝=長男の妻)との同士感も。

妻夫木:嫁同士の(笑)

蒼井:「ね?」みたいな感じで、夏川さんが目配せする。「こういうことなのよ」って。

妻夫木:ちょいちょいあるよね。

(C)2017「家族はつらいよ2」製作委員会

(C)2017「家族はつらいよ2」製作委員会

蒼井:前回は、「あなたはいいわねえ」みたいな感じだったのが、いまは「ほら、一緒よ」みたいな(笑)。あの感じは楽しい。こういうことなんだな、シリーズ化はって。いままではこういうことがなかったから。1本の作品の中で変化していくことはあっても。『1』と『2』の間の時間は演じてないんだけど、『2』をやることでそこも埋まるというのが面白い。

妻夫木:それにしても憲子は素晴らしいお嫁さんですよね。世の中の男性はこういう人に嫁に来てもらいたい。そういう理想像のようなひとなんでしょうね。

蒼井:自分が親だったとしても、こういう子に嫁に来てほしい(笑)

妻夫木:僕は役の上で結婚することってあんまりないんですけど(蒼井とは)既に……

蒼井:二回目。

妻夫木:違う作品でも(夫婦役を)やってるから。なので新鮮ではないんですね(笑)。ある意味、あまり気にしないで一緒にいられる。その(夫婦ならではの)空気感みたいなものは出せる。そういう意味では、優ちゃんが奥さん役ということに僕は助けられてはいますけどね。

(C)2017「家族はつらいよ2」製作委員会

(C)2017「家族はつらいよ2」製作委員会

蒼井:確かに新鮮ではない(笑)。役で何度も「お付き合い」をしているから。ほんと、自然に夫婦になれる感じ。何かを足したり、引いたりしなくても、その空気が作りやすいのは妻夫木君だなと勝手に思ってます。他の役者さんだと私、もう少し頑張っちゃう。

妻夫木:頑張っちゃうって……(笑)

蒼井:距離感とか、「慣れ親しんでますよ」感を(意図的に)出さないといけなかったりするから。お互い(わざと)ぞんざいに扱い合う努力みたいなものが必要になってくるんだけど、妻夫木君とだと、自然にぞんざいになれる(笑)。それでも冷たい空気にならない。それって何なんでしょうね。

妻夫木:よくあるじゃないですか。キッチンでニコニコしながらメシ作ってる夫婦が(笑)。いないよ! そんな夫婦は! そんな毎日ニコニコしてないでしょって(笑)。ありがちなんですよね、(夫婦の)日常を描くときに。ルンルン♪ みたいな。そういうことをしなくても、いい空気に(一緒に)なれる。この夫婦は、こういう日常でも幸せなんだなあって。そういう日常を描けるということができるふたりなのかなあと。

(C)2017「家族はつらいよ2」製作委員会

(C)2017「家族はつらいよ2」製作委員会

もう中堅と言っていいキャリアのふたりだが、本作のメインキャストの中では最年少ということもあってか、とても初々しい。それぞれの素の、そもそもの魅力が感じられる。

妻夫木:ここまで凸凹ではないかもしれないけど、どの家族にも凸凹感って、その家族なりにあると思うんですよね。僕の家も仲はいいですけど、凸凹なところはあるし。(この夫婦は、この物語の家族の中で)緩衝材みたいな存在だけど、僕自身も、優ちゃんも実際(の家族の中で)そういう感じなんですよ。それは観てるひとにも伝わると思うし。でもこういうこと(トラブル)があるからこそ、家族って愛おしくもなり、憎らしくもなる。でも、可愛いなあって思う。どうしても切っても切れないものだし。なんか、いいですよね。僕は次男坊なんですけど、長男は親の理想をわかりやすく押し付けられるところがあって。それに反発して、わりとバチバチになるじゃないですか。そんな(家族の)中、するすると僕はうまいこと逃げてきたんです。兄貴の後ろに隠れながら。

蒼井:やっぱり長男を盾にしがちだよね(笑)

妻夫木:長男、長女はだいたい(親と)仲悪いパターンが多いじゃないですか。その中で「やめろよ」って言って(割って)入るんですけど、「お前は黙ってろ」みたいな(笑)。でも「まあまあまあまあ」みたいな感じなんですよね。

(C)2017「家族はつらいよ2」製作委員会

(C)2017「家族はつらいよ2」製作委員会

蒼井:私も家庭の中で兄は親の期待を一心に受けてて真面目に育ち、そのまま真面目に生きてる状態なんですけど。あれ? 真面目すぎるな……という(家庭内)空気を感じたときに、ちょっと笑いを提供するみたいな(笑)

妻夫木:そう。ちょっとピエロ感あるよね。必要以上に馬鹿を演じてる(笑)

蒼井:憲子はピエロではないんですけど、山田(洋次)監督しか、私にこういう素敵な心を持った役をくださらないので、もう楽しくて仕方がなくって。『家族はつらいよ』のダメなひとたちを見て、自分はいいひとだ、って感じて演じてることが。憲子を演じるということがいちばんワクワクしますね。みんな(蒼井のことを)悪役のほうがいいって言うけど、いまは逆にこういう(善人の)役のほうが珍しい。橋爪さん、西村(雅彦)さん、(林家)正蔵さんがハチャメチャな役で滑稽じゃないですか。そっちのパワーと、ちゃんと理性のある私のようなキャラクターが引っ張り合ってるから、余計凸凹が(クリアに)見えて面白くなるのかなって。でも、こっち(理性)側だったはずの妻夫木君の役も、だんだんそっち(滑稽)側に引っ張られてるよね(笑)

妻夫木:監督は急に「何かやれ」とか言うからね(笑)

(C)2017「家族はつらいよ2」製作委員会

(C)2017「家族はつらいよ2」製作委員会

妻夫木も、蒼井も、それぞれ山田作品は4作目となる。山田組は、その在り方が家族っぽいのだという。

妻夫木:家族っぽいですね。山田組には昔から山田組をやってる方ばかりがいるんですよ。それぞれに山田さんに対する想いというものが詰まっていて。いろんな監督が見学にいらっしゃるし。お茶場(お茶やおやつを楽しむ場所)にも親睦が感じられる。どこか学校のようでもあり。家族のようでもある。

蒼井:(いろいろな方々からの)差し入れがありがたい(笑)

妻夫木:痩せないといけないときはしんどいだろうね、この現場(笑)

蒼井:ずーっと食べちゃう(笑)。いつも録音部の岸田(和美)さんという方のブースに女性陣は集まっているんですけど。なぜそこにいるかと言えば、こだわりのコーヒーが置いてあるんですよ。それぞれが自腹で買ってきて、ちょっといい豆とかあって。楽しい。キャストも家族っぽいし、山田組(のスタッフ)も家族っぽい。距離感が独特だよね。なかなかないよね。ここまでの感じは。まだ学生さんの若いスタッフもいるし。

取材・文:相田冬二
妻夫木聡 ヘアメイク:勇見勝彦(THYMON Inc.)/スタイリスト:STYLIST 望月 唯(SUN'S&RAINBOW)
蒼井優 ヘアメイク:石川智恵/スタイリスト:森上摂子(白山事務所)


映画『家族はつらいよ2』
大ヒット公開中

原作・監督:山田洋次
脚本:山田洋次 平松恵美子
出演:橋爪功 吉行和子 西村雅彦 夏川結衣 中嶋朋子 林家正蔵 妻夫木聡 蒼井優
藤山扇治郎 オクダサトシ 有薗芳記 広岡由里子 近藤公園 北山雅康 徳永ゆうき
小林稔侍 風吹ジュン 中村鷹之資 丸山歩夢 劇団ひとり 笑福亭鶴瓶(特別出演)
制作・配給:松竹株式会社

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