伊賀大介が選ぶ「この着こなしがヤバい! 映画」10本

人気スタイリスト、伊賀大介さんは、自身のスタイリングにも映画のキャラクターを参考にするとか。その中でも特に強烈だった着こなし術を“アイテム別”に解説します。

※ピックアップ作品は、2011年末に発行された『シネマハンドブック2012』掲載のものとなります。ご了承ください。


伊賀大介が選ぶ「この着こなしがヤバい! 映画」10本

ファイト・クラブ

男たちが素手で殴り合う地下組織ファイト・クラブを舞台に、暴力とそこで感じる痛みを通して自己を解放し、生きている実感を得る男たちの暴走を描く。監督は『セブン』のデヴィッド・フィンチャー。

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E.T.

10歳の少年と、地球に取り残されてしまった異星人E.T.との心温まる交流を描いた傑作SFファンタジー。ジョン・ウィリアムズによるロマンあふれるスコアも感動のドラマを多いに盛り上げる。

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トゥルー・ロマンス

一瞬で恋に落ち、その場で結婚手続きを済ませた青年クラレンスとコールガール。二人はクラレンスが起こした殺人事件を引き金に逃亡生活をスタートさせる。クエンティン・タランティーノが脚本を担当。

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仁義なき戦い 広島死闘篇

深作欣二監督が日本暴力団抗争史上最大の広島ヤクザ抗争を描いた実録ヤクザシリーズ第2弾。村岡組と大友連合会の抗争が再び激化するなか、仮出所した山中は連合会の袋叩きに遭い、村岡組組員となる。

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トラック野郎 御意見無用

長距離トラック運転手のコンビの珍道中を描いた人気シリーズ第1作。東北のドライブインでウェイトレスにひと目ぼれした桃次郎。だが彼女の婚約者の存在を知り、その男のもとへ彼女を送り届ける。

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ウォリアーズ

NYのブロンクス公園にストリートギャングが集結。彼らは休戦協定を結んでいたが、その中の一人が射殺されたことから事態は一変。濡れ衣を着せられたウォリアーズメンバーは決死の逃亡を試みる。

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竜二

妻と子どものためにヤクザ稼業から足を洗い、堅気になった竜二の葛藤を描くホロ苦いドラマ。実際にヤクザの世界に身を置いていた金子正次が原作と主演を兼任。本作完成直後にがんでこの世を去った。

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狂い咲きサンダーロード

石井聰亙が大学の卒業制作で撮った16ミリ映画。右翼と暴走族の連合軍にたった一人で立ち向かうはみ出し者の特攻隊長の死闘を描いたSFバイオレンスアクション。

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ギャラクシー★クエスト

宇宙探査局の活躍を描いた人気ドラマに出演した俳優たちが、TV放映を傍受した宇宙人に真のヒーローだと勘違いされ、侵略者と闘うために力を貸してほしいと頼まれる。

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反逆のメロディー

原田芳雄主演のバイオレンスアクション。組が解散し一匹狼となったヤクザ、哲。元組長に仲間を殺された彼は、同じく組長を狙う男とともに殴り込みをかける。

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『ファイト・クラブ』―リブ入りタンクトップとネルシャツは黄金の組み合わせ

『ファイト・クラブ』

『ファイト・クラブ』

まずはタンクトップ。『ランブルフィッシュ』『アウトサイダー』マット・ディロンが着ていたリブ入りタンクトップがカッコよくて。90年代以降、日本にもたくさんリブ入りのものが入ってきたので10代後半~20代半ばまでずっと着てましたね。タンクトップにネルシャツは黄金の組み合わせです。『ファイト・クラブ』のリブ入りタンクトップも、生成りの色が白人の肌に合う。ブラッド・ピットの70'sっぽい革のシャツも最高でした。作品自体大好きで、DVDとブルーレイ合わせて5枚持ってます。しかも並べて。奥さんには不思議がられてますけど(笑)。

『E.T.』―今でもパーカを着ると、ついフードをかぶりたくなってしまう

『E.T.』

『E.T.』

『E.T.』は主人公の少年がパーカのフードをかぶっていて、それ以来、遊びに行くときはみんなフードをかぶって『E.T.』ごっこしてましたね。ママチャリこぎながら(笑)。当時はああいうロゴ入りのアメリカっぽいパーカってなかったからあこがれました。今でもパーカを着ると、ついフードをかぶりたくなっちゃうんですよね。あと『ロッキー』のグレーの上下も、似合わないのに着たくなる。最近だと『ソーシャル・ネットワーク』でマークが着ていたGAPのロゴ入りパーカを探しまくったんだけどなくて。好きなキャラクターはパーカ率が高いですね。

『トゥルー・ロマンス』―ゲイリー・オールドマンが着ていたヒョウ柄のガウンが強烈

『トゥルー・ロマンス』

『トゥルー・ロマンス』

次はガウン。自分は元々グランジ世代でカート・コバーンもよく着ていたのでその影響から好きっていうのもあるんですが、高校時代にこの映画を観たときに、ゲイリー・オールドマン演じるドレクセルが着てたヒョウ柄のガウンがとにかく強烈だった。いかにもアメリカっぽいネル素材がカッコよくて、次の日から古着屋を探しまくったんですがどこにもなくて。結局、同じような柄のネルシャツを合体させてガウンふうに着てました。日本映画ではほとんどガウンは着ないですよね。あったとしても、ブランデーを片手にした“ゴージャス系”かな(笑)。

『仁義なき戦い 広島死闘篇』―アロハ&ニッカボッカ&つまようじは最強のスタイリング

『仁義なき戦い 広島死闘篇』

『仁義なき戦い 広島死闘篇』※作品はカラーです

アロハで印象に残ってるのは『仁義なき戦い広島死闘篇』千葉真一さん演じる“狂犬”のマッドな感じが、アロハにニッカボッカに木刀につまようじっていう最強のスタイリングによく表れていると思います。僕も映画のスタイリングをやるようになりましたが、どうやってああいう衣装を考えつくのかなって感心してしまいます。アロハって、よく“チンピラメタファー”的に映画の中に出てきますけど、それって日本ならではのアロハに対する解釈で面白いですよね。自分ではアロハは着ないですね。似合う男になりたいですけど…まだ早いかな(笑)。

『トラック野郎 御意見無用』―柄シャツと言えば桃さん。あれを着こなせる人はなかなかいない

『トラック野郎 御意見無用』

『トラック野郎 御意見無用』

そして柄シャツ。柄シャツと言えば『トラック野郎』の桃さんの星柄シャツですね。あれを着こなせる人はなかなかいない。最初はさりげないのに、シリーズを重ねるうちにダボシャツとか腹巻きとか星柄アイテムがどんどん増えていって。たぶんあれは衣装スタッフが作っていたんじゃないかな。しかもシャツの前を開けて腹巻きを思いっきり見せるのとかいちいち最高です。今の腹巻きって素材も柔らかい感じで人気なんですけど、僕は桃さんみたいにお金とか必要なものは全部そこに入れられる腹巻きにあこがれますね。いつか自分で復刻させたいです(笑)。

『ウォリアーズ』―そろいのノースリーブのベストを着た“チーム感”にあこがれる

『ウォリアーズ』

『ウォリアーズ』

ベストの着こなしはぜひ『ウォリアーズ』を観てほしい。自分の少し上の世代で流行ったアメカジの元ネタです。渋谷にもいましたよね、上半身裸にノースリーブのベストを合わせてる人。しかもその格好で電車に乗ってるから、絶対近寄りたくない(笑)。劇中のベストは背中の刺繍がカッコいいんです。そろいのベストを着た“チーム感”にあこがれるし、メンバーの個性を生かしてちょっとずつ着こなしが違うのもいい。服がかぶるのが嫌だって言う人もいますが、俺は同志を見つけた気がしてうれしくなります。それって完全にこの映画の影響ですよね。

『竜二』―細いヤツが、あえてゆったりしたスーツを着るのがセクシー

『竜二』

『竜二』※作品はカラーです

自分は衣装の仕事をしてますが、驚くほどスーツが似合わないんですよ。なのでヤクザ映画のスーツにあこがれますね。特に『竜二』の白いスーツは最高。バブル前後はみんな太いシルエットのスーツだった。ここ5、6年はみんな細身のスーツを着ていますけど、色っぽくないんですよ。細いヤツが、あえてゆったりしたスーツを着るのがセクシー。その流れで言えば、北野武映画のヨウジヤマモトのスーツも好きですね。あとは『レザボア・ドッグス』ジョニー・トー映画みたいに、みんなでスーツを着るとカッコいいっていう“チーム萌え”もあります。

『狂い咲きサンダーロード』―ライダース&革パンは男ならいつかは着こなしてみたい

『狂い咲きサンダーロード』

『狂い咲きサンダーロード』

『狂い咲きサンダーロード』のライダースジャケットと革パンは、男ならいつかは着こなしてみたい組み合わせ。ライダースは僕も持ってますけど、究極的に言えば“ヘルメットをかぶらずにバイクに乗るヤツ”しか着ちゃいけない気がして、気軽に着れない。男が革を着て勝負しに行くっていうシチュエーションも男心を刺激しますよね。『ハッスル&フロウ』もそんな感じで、すごく渋かったです。

『ギャラクシー★クエスト』―みんなで同じユニフォームに身を包むのって最高にカッコいい

『ギャラクシー★クエスト』

『ギャラクシー★クエスト』

ユニフォームなら『ギャラクシー★クエスト』。作品自体すごく好きなんですが、さっきも話した“チーム感”が、さらに特殊な設定になっていて面白いし、みんなで同じものに身を包むっていうのが、最高にカッコいい。俺も入りたいですね。ほかにも『がんばれ!ベアーズ』『少林サッカー』『ダイナマイトどんどん』…と、着てみたいユニフォームがたくさんあります。もう完全に小学生の発想ですけど(笑)。

『反逆のメロディー』―みんな心のどこかでGジャンが似合うヤツを求めてるはず

最後にGジャン。僕もここ10年ぐらいスタイリングで使ってますけど、なかなか流行らないですねぇ。日本での成功例は『反逆のメロディー』原田芳雄さんぐらいじゃないかな。シャツは開けて肌を見せて、そして必ずデニムは上下で合わせる。僕もセットで着ますけど、キモがられますね(笑)。でもみんな心のどこかでGジャンが似合うヤツを求めてるはず。生きてるうちに“Gジャン映画”を作りたい!


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プロフィール

伊賀大介

1977年生まれ。ファッション誌のほか、アーティストのスタイリングを担当。『マイ・バック・ページ』、『モテキ』など映画や舞台の劇中衣装も数多く手掛けている。

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