ジブリに影響を受けた…?実写『ハイジ』アラン・グスポーナー監督インタビューが到着!

実写『ハイジ』

実写『ハイジ』/(C)2015 Zodiac Pictures Ltd / Claussen+Putz Filmproduktion GmbH / Studiocanal Film GmbH

世界中で愛されている不朽の名作の実写映画『ハイジ』が8月26日公開。このたび、アラン・グスポーナー監督のインタビューが到着。アニメアルプスの少女ハイジの影響を受けていたことをあかした。

実写ビジュアルも高畑勲監督のアニメから…

『ハイジ』

アラン・グスポーナー監督/(C)2015 Zodiac Pictures Ltd / Claussen+Putz Filmproduktion GmbH / Studiocanal Film GmbH

本国スイスでは動員100 万人を突破、10週に上ってTOP10 入りとなり、自国で製作された映画の中で興業成績トップの大ヒットを記録している本作。今回解禁されたのは、本作の監督アラン・グスポーナーの特別インタビューだ。

ハイジの物語には現代にも通じる“貧富の差、教育の問題、女性の解放”など多様なテーマが含まれていると語り、幅広い年代に愛される物語なので子供だけでなく大人にも共感を呼ぶために、しっかりしたドラマ作りとリアリティに気を使ったことを語っている。

また、高畑勲監督の日本版アニメ「アルプスの少女ハイジ」がヨーロッパでも大人気で、監督自身も大きく影響を受けていることを明かした。「ヴィジュアル面で多くの影響を受けています。私の中のハイジの姿は、髪が短くて、いつも笑っていて、高畑監督のアニメのイメージそのもの」「キャスティングの時に気付いたのは、ペーターやロッテンマイヤーさん、おんじにしても、自分の中にあるのは、すべて高畑監督のキャラクターだったこと」。

また特に大好きなアニメは千と千尋の神隠しと語る監督は、来日時にジブリ美術館を訪ねた際「ハイジのコーナーがあって、高畑監督がアニメを作るにあたって、リサーチされたことをまとめた本があったんですね。それを見たら、まさに同じようなところに行って、同じようにリサーチされていたので感動しました」と感激している。

最後に日本の観客に向けて「(この映画には)ハイジやクララ、おんじのように“自分が幸せになれる場所を見つけて欲しい”という願いを込めています。それが見つかるまであきらめないで」とメッセージを送った。

「ハイジ」アラン・グスポーナー監督インタビュー全文掲載

監督を引き受けられた時、なぜ今、1880 年に出版された古典児童文学の「ハイジ」を映画化する必要があると思われましたか。

あらためて「ハイジ」を読んで、今と照らし合わせて、新しい解釈ができると思いました。たとえば、自然が人を癒してくれるというテーマも、非常に現代的ですよね。貧富の差や教育の問題、さらには女性の解放など、現在の社会にも通じる、多様なテーマを含んでいる物語だと思います。

物語の時代背景を教えてください。

当時のスイスは非常に貧しい国で、多くの人が豊かさを求めて国外へ出て行くという状況でした。実は私の父も、スイスの人里離れた村で生まれ育ち、12歳までペーターのようにヤギ飼いの生活をしていました。本当に貧しい暮らしで、スイスは1950 年代くらいまで、そういう状況にあったようです。スイスが豊かになれたのは、第二次世界大戦後でした。戦争に参加しなかったので、インフラに全く被害を受けず、戦後復興を行う必要がなかったからす。そこから、今の豊かなスイスへと変わることができました。

19 世紀の物語を、現代の人にも伝わりやすくするためにどんな工夫をされましたか?

スイスの山岳地域は、1970年代くらいまでは、あまり変わっていないので、私自身も山村の暮らしを知っています。その記憶を上手く生かそうと考えました。もう一つの舞台であるドイツのフランクフルトでは、ちょうど産業革命が始まって、どんどん会社が設立されて、工業化が進んでいった時代です。この映画を撮るにあたって、当時の状況をリアルに再現するために、非常に多くのリサーチを行いました。その結果、様々なディテールが判明したのですが、たとえばゼーゼマンさんのようなお金持ちの邸宅の特徴として、ソファや壁紙などの調度品が、花や樹などの自然のモチーフで溢れています。産業革命の公害で汚れてしまった大都市で、裕福な人はお金をつぎ込んで、自分の家に自然を作り上げたわけですね。そういった細かなところも、しっかりと再現するために、当時の壁紙の模様を今でも印刷しているところを探しました。幸運なことに邸宅に関しては、ドイツにオリジナルのまま改修されていない建物があり、それを使うことができました。

現在のスイスとドイツで、「ハイジ」はどのように愛されていますか?

小説自体は版権が自由なために数多く出回っていますが、やはり昔の文章なので、子供や今の若い人たちには少し難しい。なかなか読まれにくくはなっていますね。けれども、高畑勲監督のTV アニメがヨーロッパでも大変人気があって、繰り返し放映されていますので、原作本を読んだことがない子供たちにも、ハイジのことはよく知られています。私も大好きです。

ハイジ、クララ、ペーター役の子役たちは、高畑監督のアニメを観ていましたか?

クララとペーター役の子は観ていましたが、ハイジを演じたアヌークは、ご両親が教師でテレビは観させないという教育方針のご家庭でしたので、撮影に入る前に観てもらいました。

高畑監督のアニメの人気の理由は何だと思われますか?

幸せになりたいという、普遍的なテーマが大きな理由の一つだと思います。加えて、視聴者に自分たちの空想を働かせる余地をたくさん残していることも大きいでしょうね。莫大な量の情報が入っている現代のアニメに比べて、観る者の想像力と空想力を刺激してくれるのだと思います。

高畑監督のアニメへの影響やオマージュはありますか?

ヴィジュアル面で多くの影響を受けています。私の中のハイジの姿は、髪が短くていつも笑っていて、高畑監督のアニメのイメージそのものです。キャスティングをしている時に、あらためて気付いたのですが、ペーター、ロッテンマイヤーさん、おんじにしても、自分の中にあるのは、すべて高畑監督のアニメのキャラクターでした。物語に関しては、何話もあるTV アニメとは違って、2 時間の映画に収めなければいけなかったので、構成がかなり違います。

ハイジが初めてアルプスに着いた時、暑くて服を脱ぎますが、原作ではきちんとたたみます。高畑監督のアニメは脱ぎながら走るのですが、監督の映画もそうでしたね。

あそこは、非常に重要なシーンです。ハイジの原作が書かれた時は、今よりもっと女性が差別されていました。だから、女性の作家による女性の主人公というだけでも、非常に大きな意味があったのです。その想いを受け取りながらも、今の時代に生きる人間として、女性の解放ということを、もっと表現したかったので、あのように描きました。原作のようにたたんでしまうと、昔の枠組みの中に戻ってしまうような気がしたんです。

ジブリのアニメでご覧になった作品があれば教えてください。

『千と千尋の神隠し』は大好きです。傑作だと思います。その他、もののけ姫となりのトトロ魔女の宅急便崖の上のポニョなども観ていますね。

ジブリ美術館には行かれましたか?

行きました。ハイジのコーナーがあって、高畑監督がアニメを作るにあたって、リサーチされたことをまとめた本があったんですね。それを見たら、まさに同じようなところに行って、同じようにリサーチされていたので、感動しました。

前作も児童文学の実写化でしたが、子供に向けた映画を作るにあたって、気をつけられていることはありますか?

前作と本作は、全く違います。1 作目は、友情をテーマにした、いたってシンプルなストーリーで、ターゲットは子供だけでしたので、子供向けの言葉づかいなどに注意して作りました。今回のハイジは、大人にも共感を呼ぶように作らなくてはいけないと考えていましたので、ドラマとしてしっかりとしたものにすることに非常に気を使いました。そのためのリアリティも、きちんと実現しなくてはいけないと思って作りました。その結果、子供たちだけではなく、リタイアされた方など、高年齢層の方々も大勢観に来てくださいました。

素晴らしいアルプスの景色も見応えがありました。

ロケハンでは、原作に書かれた地域から選ぶということが大前提でした。スイスアルプスには、もっときれいなところがいっぱいありますけれど、観光映画ではないですし、ハイジとおんじが住んでいるのは、厳しい自然状況のところだということを表現したかったので、石や岩があり、穀物を栽培してもなかなか育たないような場所を選びました。撮影中は、ハイジの目線で自然を捉えるようにしています。彼女の自由の象徴である自然を、どう表現するかに心を砕きました。

子役たちへの演技指導をする際に、工夫されたことを教えてください。

ハイジとペーター役の子供たちは、全くの素人です。映画の中で、スイスドイツ語という方言を話してもらう必要があったので、地元の子供を起用しました。特別な言葉なので、ブルーノ・ガンツさんにも学んでもらう必要がありました。ハイジ役のアヌークに対しては、とても生き生きしていて、力強くて元気のある子なんだけれど、寂しさや辛さも表現しなければいけないので、そこを注意するようにと話しました。ペーター役のクイリンに対しては、純粋にまっすぐに率直に演じてほしいと言いました。クララ役のイザベルはプロの子役です。クララは複雑な役どころなので、難しかったと思いますが、彼女の内に秘めた幾重にも折り重なった感情を表現するように指導していきました。

原作からのメッセージをどう捉えられていますか。

子供は子供らしくあるべきだというメッセージだと思います。ハイジは常識から外れているところもありますが、自分でしっかりと生きるということを表している存在で、それがメッセージではないかと思います。

映画オリジナルのラストに監督が込められた想いを聞かせてください。

ハイジは文章を書き始めますが、あれは原作者への敬意でもあります。あの年代に彼女がしたことは、とても革新的で、社会的にも大きなことだったと思うので、彼女に対する敬意と、夢を追うことを大切にしてほしいという想いをこめました。

日本の観客に向けてメッセージをお願いします。

この映画には、“自分が幸せになれる場所を見つけてほしい”というメッセージをこめています。幸せになれる場所というのは、様々なところにあると思うんですね。ハイジとおんじの場合は山の自然の中ですし、ゼーゼマンさんやセバスチャンは、街の中に幸せを見出す人でしょう。クララも山で歩けるようになったけれど、やはり街の生活で幸せを見つける人物だと思います。いずれにしても、自分が幸せになれる場所を探す、それが見つかるまであきらめるなというのが、私のメッセージです。ハイジがいろいろ寄り道をしながら、幸せに到達するまでを、ぜひ一緒に体験してください。


ハイジ アルプスの物語
8月26日 YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー!

出演:アヌーク・シュテフェン、ブルーノ・ガンツ、イザベル・オットマン
監督:アラン・グスポーナー 
脚本:ペトラ・ヴォルぺ
原作:ヨハンナ・シュピリ「アルプスの少女ハイジ」(講談社青い鳥文庫)
日本語字幕:吉川美奈子
協力:スイス政府観光局
原題:HEIDI /2015年/スイス・ドイツ/カラー/ヴィスタ/5.1ch/111分  G
(C)2015 Zodiac Pictures Ltd / Claussen+Putz Filmproduktion GmbH / Studiocanal Film GmbH
配給:キノフィルムズ 

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高畑勲

生年月日1935年10月29日(82歳)
星座さそり座
出生地三重県

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