同学年のふたりが映画を通して見つけたもの。『ナミヤ雑貨店の奇蹟』村上虹郎&寛 一 郎インタビュー

村上虹郎と寛 一 郎

村上虹郎と寛 一 郎

寛 一 郎:同年代の若い人たちと一緒にできるのが刺激になりました。

村上虹郎:僕は今回で廣木(隆一)監督とご一緒させていただくのが3回目なのですが、また廣木組に呼んでいただいて光栄です。それと、ジャニーズ事務所の方と共演するのは初めてだったので、山田(涼介)君との撮影がすごく楽しみでした。いろんなものを盗めたらと思っていました。西田(敏行)さんは僕にとってはレジェンド。「タイガー&ドラゴン」(宮藤官九郎脚本、長瀬智也、岡田准一主演の2005年作品。西田敏行は大御所落語家を演じた。単発ドラマの後に連ドラ化)というドラマが大好きで。今回の作品を通して自分がどう変われるか具体的にはわかりませんでしたが、がんばろうと思いました。

1997年3月17日生まれの村上虹郎。1996年8月16日生まれの寛 一 郎。同学年のふたりが、山田涼介主演の映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で共演した。同学年とはいえ、寛 一 郎は今年デビューしたばかり。虹郎は俳優業4年目。インタビューの受け答えも対照的だ。まだ言葉が少ない寛 一 郎を、虹郎が労ってるようにも感じられる。

虹郎:寛一郎とは共通の知り合いが多いんです。だから(共演前から)噂は聞いていました。「無口だけど、いいヤツだからよろしく」と先輩の俳優さんたちに言われていて。会ったことはないのに、周りからそういうふうに聞いていると仲間意識が芽生えるもので。無口と聞いていたので、あえて(現場では)しゃべらないでいこうと思っていました。そしたら逆に話しかけてくれて。うれしかったです。

寛 一 郎:やっぱり共通の知り合いから聞いていて。「虹郎って、面白いヤツだよ」と。まあ、自分からしゃべるのは難しかったですけど、「おはようございます」って、パッと目を合わせたときに、すごく力強い目で見てくれたんですよね。この眼力、うるせーなーと思いながら(笑)。

虹郎:なんでだよ!(笑)

寛 一 郎:でも、仲良くしたかったので、自分から話しかけました。で、話しかけるときは、共通の知り合いの話題(笑)。あいつ、知ってるんでしょ? って。

虹郎:今回、現場に入る前にリハーサルが3日間ありました。毎回、撮影終わりに一緒にご飯を食べて帰っていました。山田君はそのときは一緒ではなかったですが、大分(ロケ)に行ってからは食べました。だから、早い段階で3人のに関係性は作れていたと思います。

寛 一 郎:山田君は意外に静かな方だなと。僕はベラベラしゃべる人、あんまり好きじゃないので。その分、接しやすかったですね。

虹郎:山田くんは、現場での集中力、持続力がすごかったです。なんであんなにずっと集中してられるんだろう? と。控室で他愛もない話もするんですけど。僕らふたりが口開けてぽかーんと寝てるときも、ずっと集中してた印象があります。

村上虹郎と寛 一 郎

原作は東野圭吾の同名小説。2012年、3人の若者、敦也、翔太、幸平がある廃屋に忍び込む。すると、シャッターの郵便受けから一通の手紙が落ちてきた。読むと、それは1980年からの悩み相談だった。やがてこの廃屋がかつて雑貨店だったこと、その店主がどんな悩み相談にも答えることで多くの人々を救ってきたことがわかった。彼らは仕方なく、32年前の悩める誰かに向かって返事を書く。時空を超えたこの物語は、思わぬ感動に辿り着く。

敦也、翔太、幸平に扮する山田、虹郎、寛 一 郎のコンビネーションプレイは大きな見どころだ。それぞれに抱えているものがあるからこその絆と対立が繰り広げられる。

寛 一 郎:僕がふたりに会って感じたのは、みんな台本を読んで来ているので、そのキャラクターがわかっている。その(キャラクターの)感じで接してくれる。だから僕も幸平でいられたし、そこはやりやすかったですね。やっぱり、ふたりと役としてコミュニケーションとることで、幸平でいられた。幸平って3人の中でいちばんバカっていうか(笑)。

虹郎:素直だよね。

寛 一 郎:ストレートで素直なところが持ち味だなと。

虹郎:原作を読むと、敦也と幸平はキャラクターが見えるんです。でも、翔太は見えなかった。(演じる上では)いい意味で不明瞭だったから、どういう方向からでも(演じることは)できるんです。たとえば翔太がどういう立ち位置、どういう気持ちで敦也に接しているか。それはいろいろあるなと考えながら演じていました。

(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

相手を感じながら応じる寛 一 郎と、キャラクターの自由度を見つける虹郎。ふたりの芝居を見ていると、演技というものの本質が感じられるような気がする。

監督は廣木隆一。虹郎にとってはとても大切な存在だ。

虹郎:また廣木組に帰ってくることができた、という感覚はありました。監督の最初のイメージは、親父(村上淳。廣木作品の常連)や周りの人の話では「廣木さんは怖い監督」。(現場では)無言で、細かいこと言わず、「もう一回」しか言わない。僕が俳優をする前に、親父から半分本気、半分冗談で、「お前がもしこの業界に入るんだったら、絶対舞台からしかやらせない」と言われたんです。それは(舞台が)厳しいから、演出をしっかり受けることができるからだと思うのですが。「じゃあ、なんで親父は映画から出たの?」と訊いたら、「いや、映画にもこういう厳しい監督がいてさ」という話で名前が出た中のひとりが廣木監督でした。本当に厳しい人の元で最初はやりなさいと。ただ、僕は3回ご一緒して、まだ「こわ……」ということはないです。廣木監督は、非常にチャーミングでシャイな方という印象です。女性と話すとすごく楽しそうなのに、僕らと話すときはツンとしているので、ツンデレです(笑)

寛 一 郎:廣木さんはほんとにシャイで無口な方なんで、僕も人と話すのがうまくないので、ほんと、しゃべんなかったです……(笑)。(具体的な)演出も受けなかったので、このままでいいのか、すごく怖かったし、不安でした。

虹郎:あ、でも、リハーサルで、「寛 一 郎、もっとだ! もっとだよ!」と言っていたことは憶えている。「本番ではもっとやれよ」と。

寛 一 郎:あそこは憶えてますね。(完成品を観たときは)自分が出てる映画じゃない映画を観ているようでした。最後の最後に、この映画の一部になれていたんだなと思うことができました。

(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

ふたりとも「手紙」については現代っ子そのものだ。

虹郎:僕は手紙を書いたことはないです。

寛 一 郎:僕もちゃんとした手紙は書いたことなくて。(映画を観て)ちょっと、ちゃんとした手紙書こうかなと思いましたけど。

虹郎:身近な人には恥ずかしくて、手紙は書けない。書いたほうがいいとは思うのですが、なかなか書けないです。書かないとな。

(取材・文:相田冬二)


『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
2017年9月23日(土) 全国公開

原作:東野圭吾 『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川文庫 刊)
出演:山田涼介、村上虹郎、寛 一 郎、成海璃子、門脇麦、林遣都、萩原聖人、尾野真千子、西田敏行
監督:廣木隆一
脚本:斉藤ひろし
配給:KADOKAWA/松竹 (共同配給)

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