【考察】『崖の上のポニョ』宮崎駿のメッセージはシンプルだ!-金曜ロードSHOW!

金曜ロードSHOW!「秋のジブリ」で『崖の上のポニョ』が放送!

金曜ロードSHOW!「秋のジブリ」で『崖の上のポニョ』が放送!(※画像は公式サイトより引用)

9月22日、日本テレビ系列「金曜ロードSHOW!」では、「秋のジブリ」と題し崖の上のポニョが放送。ポニョ自体の存在に加え、名前で呼び合う親子、津波によって沈んだ街など…ジブリ作品の中でも、“難解な作品”として様々な憶測や都市伝説が語られるが…。本作に込められた“メッセージ”はシンプルなものだった!

【あらすじ】
海辺の小さな町で崖の上の一軒家に暮らす宗介はある日、頭がジャムの瓶にはまり困っていたさかなの子・ポニョを助け出す。ポニョはクラゲに乗って家出してきたところだった。それ以来、彼らの間には絆が芽生えていくのだが…。

宮崎駿「神経症と不安の時代に立ち向かう」

本作の公式ホームページで、宮崎駿監督は以下のコメントを寄せている(一部抜粋)。

少年と少女、愛と責任、海と生命、これ等初源に属するものをためらわずに描いて、神経症と不安の時代に立ち向かおうというものである

環境問題、食糧問題から、少子高齢化や家庭の問題など…大小様々な社会的問題が乱立し、悲観的な統計に溢れた現代社会を宮崎は「神経症と不安の時代」と表現している。本作の主人公5歳の男の子・宗介(土井洋輝)の周りで描かれる世界も、海にゴミが溢れている点をはじめ非常に“現代的”だ。また、“ひとりっこ”の核家族、忙しく働きながら宗介を育てるリサ(山口智子)の母親像など、夫婦共働きの生活も“今風”な家族の在り方と言える。さらに、老人ホームの高齢者との関わり合いが多く描かれる点も、現代の高齢化社会を想起させる。

そんな、“現代”に取り囲まれた宗介の生活だが、映画では手書きの柔らかいタッチにのせて、生き生きと描かれる。母親リサとの信頼と愛情に溢れた繋がり、単身赴任で家に帰ってこれない父親・耕一(長嶋一茂)へのリスペクト、老人ホームをはじめとした街の人々との交流。悲観しがちな現代社会であっても、宗介の暮らしには“ヒトの温かさ”に溢れており、現代社会のあり方がポジティブに描かれている。

その一例が、本作のジブリ飯“即席ラーメン”だ。ジブリ飯といえば、冒険活劇として人気の天空の城ラピュタにおける「目玉焼きパン」、昭和の庶民的な暮らしを描いたとなりのトトロの「サツキのお弁当」、オリエントでファンタジーな世界観の千と千尋の神隠しではシンプルな「ハクのおにぎり」と、作品のテーマや世界観を象徴する食事風景が印象的だ。本作に登場するのは、ゆで卵とネギと厚切りのベーコンがトッピングされた美味しそうな即席ラーメン。現代人の暮らしと切り離せないジブリ飯も、本作では非常に魅力的に描かれている。

こどもたちに「うまれてきてよかった」と思える世界を

そして、宗助が生きる現代社会をより豊かにするのが“ポニョ(奈良柚莉愛)”の存在だ。ジャム瓶に挟まったポニョを引き抜いてから、バケツに水をくみ、食べ物を分け与え、「守ってあげるよ」と約束する。そんな宗介の愛情を一身に受けたポニョは、人間社会に憧れを抱き、津波を起こしながら宗介の元を訪れ、町を海の中へと沈めてしまうのだ。しかしそれでも宗介は、「ポニョを守る」ことを行動原理として、より“お兄さん”らしく、逞しく行動していく。そしてクライマックスでは、ポニョのお母さんグランマンマーレ(天海祐希)に、ポニョのすべてを受け入れることを宣言してカオスな世界は救われていくのである…。

キャッチコピー「うまれてきてよかった」にもあるように、不安にまみれ絶望の淵にあるような混沌とした世界にも「美しさ」があるという希望を本作は投げかける。そして、その美しさを紡ぎだすのは、「相手を大切に想う」純粋無垢で、相互的な愛情なのだ、と。宗介、リサ、耕一、そしてポニョのように現代社会を優しく真っ直ぐに生きる姿からは、風の谷のナウシカのような力強さはなくとも、柔らかく“生きる”希望を沁み伝えている。

(文・nony)

フォトギャラリー

この記事を読んだ人におすすめの作品

アーティスト情報

宮崎駿

生年月日1941年1月5日(78歳)
星座やぎ座
出生地東京都文京区

宮崎駿の関連作品一覧

関連サイト

TSUTAYAランキング

おすすめ映画ガイド

TSUTAYA MUSIC PLAYLIST