新作映画『ザ・サークル』を観るべき3つの理由――“10分後の未来”を描いた、刺激的で身近なサスペンス

(C) 2017 IN Splitter, L.P. All Rights Reserved.

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『ザ・サークル』ってどんな映画?

世界No.1のシェアを誇る巨大SNS企業「サークル」に採用された24歳のメイ・ホランドは、ある出来事をきっかけに、カリスマ創業者のイーモン・ベイリーの目に留まり、新サービスの実験モデルに大抜てきされる。超小型カメラを装着し24時間、自身が目にするものすべてをSNSに“公開”すると、フォロワーは瞬く間に1000万人を突破。世界中の人々がメイの言動に注目する一方、彼女の家族や友人には思わぬトラブルが巻き起こり…。

観るべき理由:1――“10分後の未来”を描いた身近なサスペンス

「SNSでつながる」という発想が生まれ、早10数年。人気作家、デイヴ・エガーズのベストセラー小説を映画化した本作は、SNSの普及がもたらす可能性と危険性を警鐘するサスペンスだ。しかも、近未来どころか“10分後の未来”で起こり得そうな陰謀を描いた、刺激的かつ身近な一作である。

プライバシーや秘密こそが罪。人目にさらされれば、決して悪いことはしないし、世界が1つになって、平和な社会が訪れる! カリスマ創業者が掲げる歪んだ理想さえも、テロや凶悪犯罪が横行する現実世界に照らし合わせると「アリかな?」なんて思えてしまい、二重の意味で怖さを覚えてしまう。いまや誰もが無関係ではいられないSNSとの向き合い方に一石を投じ、『ザ・サークル』という題名通りに、心に大きな丸い波紋を起こすはずだ。

観るべき理由:2――実体験も反映? SNSに翻ろうされるエマ・ワトソン

24時間の生活すべてをSNSに公開し、自分を“透明化”させるヒロインを演じるのは、人気女優のエマ・ワトソン。今年は主演した『美女と野獣』の大ヒットも記憶に新しいが、本作ではSNSに翻ろうされ、自分はもとより家族や友人さえも犠牲にしてしまうSNS企業の新人社員を好演している。単なる“巻き込まれ役”ではなく、「才能が活かされないこと」こそが恐怖だと自分なりの野心を燃やし、後半ではグイグイと物語を進める存在感を発揮する。

その姿には、「いつまでもハーマイオニーだとは言われたくない」「大人の女優として認められたい」という彼女自身の葛藤も垣間見えるし、公式ツイッターのフォロワーが2,500万人を超える彼女自身の実体験は、役作りに反映されているはず。いろんな意味で等身大なエマ・ワトソンを堪能できるのも、本作の魅力だ。

観るべき理由:3――考えずにはいられない問題提起のオンパレード

「監視、プライバシー、携帯の無料アプリやネット検索、SNSなどのために自由をあきらめることについて、観客がさまざまな疑問を誘発される映画にしたかった。これからの社会においてプライバシーに価値を見出せるのか? 常にモニタリングされている状態でも自由と言えるのか? 巨大な監視システムから抜け出す権利は守られるのか? そもそも私たちに選択権はあるのか? といった具合にね」と振り返るのは、脚本も手がけたジェームズ・ポンソルト監督。

最新のテクノロジーがもたらす恐怖を描きつつ、人間が生きる上で本当に大切にしなければいけないものを問いかける普遍性こそ、『ザ・サークル』の重要なポイント。主人公の人物設定、演出の切り口や味付けによって、どんなジャンルにもなり得た作品だが、あえて24歳の女性が体験する“奇妙な冒険”として脚色することで、リアリティが増し、共感しやすい作品に仕上がっている。映画ファンなら「他の監督がメガホンをとったら、どうなったか?」なんて妄想するのも面白い。

(文:内田涼)


映画『ザ・サークル』
11月10日(金)全国公開

出演:エマ・ワトソン『美女と野獣』、トム・ハンクス『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズ、ジョン・ボイエガ『スター・ウォーズ フォースの覚醒』、カレン・ギラン『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』、エラー・コルトレーン『6才のボクが、大人になるまで』、ビル・パクストン『エイリアン』シリーズ
監督&脚本:ジェームズ・ポンソルト
原作:デイヴ・エガーズ著「ザ・サークル」(早川書房)
音楽:ダニー・エルフマン『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』
編集:リサ・ラセック『アベンジャーズ』シリーズ
撮影:マシュー・リバティーク『ブラック・スワン』
美術:ジェラルド・サリバン『グランド・ブタペスト・ホテル』
原題:The Circle/2017年/アメリカ/シネスコ/5.1chデジタル/110分/配給:ギャガ

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