【インタビュー】劇場版『はいからさんが通る』―早見沙織、宮野真守には「少尉オーラがある!」

宮野真守(伊集院忍少尉役)と早見沙織(花村紅緒役)/撮影:小山淳(クリックでフォトギャラリーへ)

宮野真守(伊集院忍少尉役)と早見沙織(花村紅緒役)/撮影:小山淳(クリックでフォトギャラリーへ)

少女コミックの金字塔が劇場版アニメーション『はいからさんが通る』となってスクリーンに登場する。連載終了から、実に40年。激動の時代を舞台に、行動派のおてんば娘・花村紅緒と、笑い上戸なイケメン・伊集院忍少尉が繰り広げる恋は、今なお人々を魅了し、ファンを増やし続けている。今回の劇場版では、原作漫画のラストエピソードまでを初めてアニメ化。人気と実力を兼ね備えた声優・早見沙織宮野真守が、伝説的キャラクターとして運命の恋を体現する。2人にインタビューし、お互いの役どころへの“驚きのハマり度”について語り合ってもらった。

大和和紀による原作は、累計1,200万部を超える大人気コミック。これまでも様々なメディアで展開されてきたとあって、誰もがタイトルを聞いたことのある作品だ。紅緒役の早見、忍役の宮野も、驚きと喜び、そして緊張とともに役を受け取った。

伝説的キャラクターに、謎のプレッシャーが…

早見:物心ついたときから、タイトルに馴染みのある作品でした。お話をいただいたときは、「あの『はいからさんが通る』ですか!?」と驚きましたし、同時にとても大きな喜びを感じました。ただアフレコが近づくにつれて、えも言われぬ謎のプレッシャーが…(苦笑)。「なんでこんなに緊張しているんだろう」と。それだけ、自分自身もこの作品に対する期待感が大きかったんだと思います。

宮野:まずオーディションの話をいただいた時、「はいからさんが通る」が劇場版で作られると聞いて、僕がパッと思い浮かんだのは、実写の映画で紅緒を演じられていた南野陽子さんでした(笑)。また新たに劇場版アニメーションが作られることに驚きました。

(C)大和和紀・講談社/劇場版「はいからさんが通る」製作委員会

(C)大和和紀・講談社/劇場版「はいからさんが通る」製作委員会

宮野さんは、パーン!とスポットライトが当たるときがある

おてんばだけれど、持ち前の行動力で明るく、凛々しく前に進んでいく紅緒。優しく大らかで、紅緒を包み込む王子様のような忍。早見、宮野のどちらもがピッタリとしたハマり役として、スクリーンのなかで生き生きと躍動している。彼ら自身も「ピッタリ!」とお互いの印象を語る。

早見:紅緒を作るにあたって、欠かせない存在なのが少尉です。どんな方が少尉を演じるかによって、紅緒は180度、方向が変わってくると思っていました。「宮野さんはどういうお芝居をされるんだろう」「掛け合ってみることで、紅緒も決まるんだろう」とワクワクしながらアフレコ現場に行ってみたら、もう第一声から「うわあ、少尉だ!」と思いました。

宮野:あはは! 何かが出ていたの?

早見:もう宮野さんのオーラが、“少尉オーラ”です!でもそれは「少尉ですよ」と出しているオーラではなくて、無意識に滲み出てくるオーラで。少尉本人はあくまでも軍人たる、毅然としたスタイルを持っている人。でも溢れ出る品格、物腰の穏やかさ、包容力などが滲み出てくるんです。そういうものが、マイク前で言葉を発せられている宮野さんからも滲み出ていました。環役の瀬戸麻沙美ちゃんとも、お昼ご飯を食べながら「宮野さん、やっぱり少尉だね」と話していたんです(笑)。

(C)大和和紀・講談社/劇場版「はいからさんが通る」製作委員会

(C)大和和紀・講談社/劇場版「はいからさんが通る」製作委員会

普段の宮野からも、“少尉オーラ”を感じることはあるのだろうか?

早見:突然、感じることがあります。私は16歳ぐらいの頃に宮野さんと初めてお会いしたんですが、パーン! とスポットライトが当たっている感じがする瞬間があるんです。

宮野:そのとき演じていたのが、(テレビアニメ『STAR DRIVER 輝きのタクト』の)銀河美少年だからね(笑)。

早見:普段はとても親しみがあって、私たち年下の者にも気さくに話しかけてくださる方。すごい先輩なのに、同じ目線に立って話してくださるんです。だから私もふざけて話したりすることもできるんですが、ハッと気づいたときに、宮野さんがものすごいスポットライトを浴びているときがある(笑)。これは持とうと思って持てるものではなく、天性のものだと思います。

宮野:うれしいですね。それは僕が役に臨んでいる背中を、早見ちゃんたちが受け取ってくれているということですよね。僕も、紅緒は早見ちゃんそのものだなと思っています。ピッタリすぎる。

(C)大和和紀・講談社/劇場版「はいからさんが通る」製作委員会

(C)大和和紀・講談社/劇場版「はいからさんが通る」製作委員会

早見ちゃんの声には品がある。ベロベロに酔っ払っていてもかわいい!

なんとこちらも役へのハマり度に太鼓判。おてんばな紅緒と早見が重なる点とは、どんなものなのだろうか。

宮野:紅緒のように竹刀を振り回したり、男性と喧嘩をして勝ってしまうようなところを見たわけではないんですが、木には登りそうだよね(笑)。

早見:そういうところはありますね。いざとなったら木には登ります(笑)。アクション映画で屋上から屋上へと飛び移るシーンとかあるじゃないですか。あれをやっている夢をたまに見るんですよ! 深層心理では飛べるタイプです。

宮野:そうそう、こういうところですよ。なんだかかわいいんですよ。早見ちゃんはお芝居に対してものすごくまっすぐで、とても純粋で。そういう部分が紅緒にピッタリで、いつも元気をもらえるんです。そして早見ちゃんのもうひとつすごいところは、声に品があるところ。紅緒の行動って、ともすれば下品に見えてしまうと思うんです。でも早見ちゃんが演じることですごく品を感じる。僕たちのなかでキーワードのようになっていますが、これは“出そうと思っても出せないもの”。だからこそ、紅緒はあれだけベロベロになって酔っ払っていても、めちゃめちゃかわいい!そういうところが「かわいい」と思えるのは、早見ちゃんの持ち物がそうさせているんだと思います。ピッタリすぎて困っちゃいます。

(C)大和和紀・講談社/劇場版「はいからさんが通る」製作委員会

(C)大和和紀・講談社/劇場版「はいからさんが通る」製作委員会

紅緒からポジティブな気持ちをいっぱいもらった

大正という激動の時代に、初恋を貫き、懸命に生きようとする紅緒と忍。彼らから受け取ったものも大きい。

早見:紅緒は憧れの女性です。こんな生き方をしたいと思いますし、とてもカッコいい。紅緒さんって、ダメダメなときもあるじゃないですか。そこが、自分がダメダメなことも肯定してくれるようで(笑)。キラキラとして力強く歩んでいくだけだと、遠い憧れの存在になるけれど、紅緒は結構ダメダメなので。

宮野:ダメダメなところ、多めだよね(笑)。でもだからこそ、みんな伊集院忍に憧れるのかも! そんなダメダメな私を見つけてくれる男性として。

早見:そう思います! こんな私でもいいんだって思える。少尉は「いいんですよ」と言ってくれる王子様です(笑)。

宮野:実際に、白馬に乗ってくるしね(笑)。理想が詰まっているよね。

(C)大和和紀・講談社/劇場版「はいからさんが通る」製作委員会

(C)大和和紀・講談社/劇場版「はいからさんが通る」製作委員会

早見:紅緒は落ち込んだり、泣いてしまうシーンもあるけれど、あくまでポジティブ。希望を失わないんです。私は、紅緒からポジティブな気持ちをいっぱいもらいながら演じていました。

宮野:僕はなんだか、忍という人が悲しかったんです。親や家のことなど、色々なことを背負っている人。どこか自分の“居場所”を探しているような感じがあって。そこで紅緒と出会えたことが、彼が変われるきっかけになったと思います。自分の世界を壊してくれること、新しい風が吹くことを一途に求めていた。紅緒が現れて風が吹いた瞬間が、彼にとって一番、自分を感じられた瞬間だったんだと思います。だからこそ、紅緒に対してあそこまで一途になれたんだと思います。

(C)大和和紀・講談社/劇場版「はいからさんが通る」製作委員会

(C)大和和紀・講談社/劇場版「はいからさんが通る」製作委員会

2人も本作を通して、感情をたっぷり揺さぶられた様子。物語の持つ普遍性に改めて驚いたそう。

早見:紅緒の心情は、「わかる!」ということばかりでした。私の母世代、そして私たち、私たちよりもっと若い世代の子たちが触れても、すごく普遍的な気持ちだと思います。原作の漫画を読んでいても、自分の日常として刺さってくる。時代は離れているはずなのに、まるで現代の私たちにかけてくれているかのような言葉にあふれていました。

宮野:大正時代はあらゆるしがらみのある時代ですよね。それでも元気に明るく前向きに生きる女の子がいたということに、すごく勇気をもらうし、共感ができる。忍としては、自分の置かれている立場を壊してくれる女の子に出会えてワクワクするわけで。今、置かれている状況から抜け出そうという“希望”にあふれている作品だと思います。現代は自由な時代ではあるけれど、各個人は色々なものに縛られている気もしていて。だからこそ本作で描かれる“希望”が、現代人にも刺さるのではないかと思います。

(取材・文:成田おり枝)


『劇場版 はいからさんが通る 前編 ~紅緒、花の17歳~/後編 ~東京大浪漫~』
前編 2017年11月11日(土)/後編 2018年公開予定

【ストーリー】
いつだって 大キライは恋のはじまり。
時は大正。女学校に通う17歳の花村紅緒は、いつも明るくケンカっ早いところのあるじゃじゃ馬娘。親友の環とともに楽しい学園生活を送り、恋も結婚相手も自分で選びたいと思っている。そんなはいから娘が出会ったのは、笑い上戸なイケメン、伊集院忍少尉。実は彼が祖父母の時代から決められていた許婚であることを知った紅緒は、それに反発。愛のない結婚を阻止しようと奮闘して騒動を巻き起こすが、少しずつ少尉に心惹かれていく。

声の出演:早見沙織、宮野真守、櫻井孝宏、中井和哉、梶 裕貴、瀬戸麻沙美

前編監督・脚本:古橋一浩
原作:大和和紀「はいからさんが通る」(講談社KCDXデザート)
主題歌:「夢の果てまで」(歌:早見沙織 作詞・作曲:竹内まりや 編曲:増田武史)
製作:劇場版「はいからさんが通る」製作委員会
配給:ワーナー・ブラザース映画

この記事を読んだ人におすすめの作品

アーティスト情報

関連サイト

TSUTAYAランキング

おすすめ映画ガイド

TSUTAYA MUSIC PLAYLIST