【泣き上戸レビュー】『魔女の宅急便』大人が3回は泣ける映画だった-ネタバレあり

『魔女の宅急便』の泣けるポイントは…利害関係!?

金曜ロードSHOW!で放送『魔女の宅急便』の泣けるポイントは…利害関係!?(※画像は公式サイトより引用

1月5日、日本テレビ系列「金曜ロードショー」では「冬もジブリ」と題して、宮崎駿監督映画『魔女の宅急便』が放送される。そんな本作の地上波放送を前に、『ライフ・イズ・ビューティフル』で嗚咽号泣をかます泣き上戸の筆者が今夜の放送を前に今一度じっくりと鑑賞したのだが…。
※レビューには本作のネタバレを含みます。

【あらすじ】
13歳の魔女キキは、古い一族の掟に従い、黒猫ジジと修業の旅に出る。そして、海辺の大きな街で修行をすることに。箒で飛ぶ以外に能がないのキキは、空飛ぶ宅急便を始める。しかし、最初の仕事でいきなり荷物を無くしてしまう…。

基本、逆境です。

一見すると、ファンタジックな世界観で魔法使いの少女がのほほんと生活を送る日常系アニメ映画だとタカをくくっていた筆者。しかし実際には、夢が破れまざまざと現実を突きつけられるリアルな社会生活が炙り出されていた。

海が見える街に住みたいと、憧れの都会に降り立ったキキ(高山みなみ)。しかし、街並みは綺麗でも人々はよそよそしく誰も自分のことなど相手にしてくれない。また、やっと始めた仕事もトラブル続きで、ニシンパイの一件では同年代の子にまで愚痴をこぼされたりと散々な目に合う。終いには、唯一の生命線の“魔法の力”すら失うスランプに見舞われるのだ…。

不慣れなことの連続で失敗を繰り返した新卒1年目のような境遇。憧れていた生活から突如現実を突きつけられるキキの気持ちは、大人になった今だからこそ染み入るように共感できるシーンも多い。コピーにもあるように、本作のキキが過ごす時間の大半は「おちこんだりもした」出来事の連続なのである。

だからこそ、やさしさに包まれて…

しかし、そんな「おちこむ」現実に直面したキキを支えたのは優しさに溢れたキャラクターたちだ。

グーチョキパン店の女将・おソノ(戸田恵子)は、よそ者のキキに仕事を与え、部屋を貸してくれ、病気の時には看病までしてくれる。森に住む絵描きの少女・ウルスラ(高山みなみ)はスランプに陥ったキキを励まして元気づけてくれる。その他にもニシンパイのおばあちゃんやトンボ(山口勝平)たちに支えられる中でキキは一人前の魔法使いへと成長していくのである。

新生活に四苦八苦するキキの姿にどっぷり感情移入していた筆者にとって、そんな周りの人たちからの温かみのある優しさほど心に沁みいるものはない! 森の小屋でウルスラがキキを励ます名セリフのシーンでも目頭が熱くなったが、なかでも映画クライマックスにニシンパイのおばあちゃんが、キキにお手製のケーキを作りさりげなく誕生日を聞くシーンで筆者の涙腺崩壊。遠回しに聞く姿の粋なカッコよさと、キキへの愛情が溢れたまさに「やさしさに包まれた」シーンは必見である。

優しいだけじゃない! 利害関係があるのだ!

しかし、ただ単にキキが優しくされていただけでは、ここまでの感動は生まれていなかっただろう。そこにしっかりとした“利害関係”が描かれていることが本作の秀逸なポイントだ。

例えば、おソノとの出会いも、パン屋の客の忘れ物を届けにいった事に端を発し、それから入居の時にもしっかりと条件を話し合っている。また、近くへのお使い(トンボの家へ)をキキに頼んだ時も、配達としてしっかりとお金を渡すなどあくまでも根底にビジネス関係があることを刻銘に描き出す。ウルスラとの出会いでも、ジジ(佐久間レイ)との交換条件としてキキは部屋の片づけをさせられ、ニシンパイのおばあちゃんも元はといえば“顧客”という立場だ。(トンボも最初は空を飛べるキキが魅力的に見えただけだろう)。

そんな関係性の中で、キキは一生懸命自分ができることを果たし、認められ、居場所を見つけていく。上記に挙げた“やさしさ”は決して「無償の愛」などではなく、“結果”を出したからこそ享受できたものなのだ。この「仕事をしてはじめて居場所を獲得できる」という設定は『千と千尋の神隠し』で仕事を懇願する千尋や『天空の城ラピュタ』で海賊船に乗り込むパズー、シータなどにも通じる部分がある。そんなジブリならではの芯の通ったシビアさがあるからこそ、キキが一人前の魔法使いへと成長する物語に感動と説得力を生むのである。

そして、本作のクライマックス。デッキブラシでトンボを救ったキキに、冒頭ではアウェイだった街中の人々が拍手喝采で迎え入れるシーン。一人の少女が自らの居場所確立したことを実感させる逞しさと、サントラ「デッキブラシでランデブー」の牧歌的な曲調のギャップに、筆者は3度目の涙を流した。

(文・nony)

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