NGT48・北原里英インタビュー(1)極寒&過激ロケ 主演映画『サニー/32』は「トラウマ」でも「一番の代表作」

北原里英

北原里英(クリックで写真一覧)

凶悪』や『日本で一番悪い奴ら』など数々の話題作で知られる白石和彌監督が、2004年に長崎県佐世保市で起こった通称“ネバダ事件”をモチーフにして生み出した意欲作サニー/32(2月17日全国公開、2月9日新潟・長岡先行公開)。

今回は、中学校教師の藤井赤理役にして、“犯罪史上もっとも可愛い殺人犯”と称される「サニー」に扮したNGT48の北原里英が、NGT48及び、AKB48グループからの卒業発表後初主演作となる同作について語ってくれた。

(文:桜井恒二)

殺人犯に扮した北原里英、極寒の地で過激演出にトライ「今やもうトラウマです(笑)」

─今回の映画『サニー/32』は、右手3本指、左手2本指のピースサインでネット上の人々から「サニー」と名づけられた殺人犯の14年後を描いた、白石監督ならではの魅力あふれる作品でした。

北原里英(以下、北原):この作品は、本当に息つく暇もない映画です。この世界にどっぷり夢中になってもらえたら嬉しいです。私はまだ一度しか観ていないのですが、観る度に発見があって楽しめると思いますので、一度と言わず、二度三度と観てほしいです。

─拝見させて頂きました。印象としてまず「寒そうだな!」と(笑)。

北原:ハハハ! それは大正解ですね。

─作中では、北原さんがピンクのドレス姿で雪の中を駆けるシーンもあります。あれは裸足だったんですか?

北原:裸足の設定ですが、ストッキングは履いていました。いや、本当に寒かったですよ! 私も試写で観て、寒かった思い出が蘇りました。それくらい『サニー/32』の極寒の感覚が体に残っていて、今やもうトラウマです(笑)。

極寒の中で行われた撮影

極寒の新潟で行われた撮影 (C)2018『サニー/32』製作委員会

─撮影はほぼ全部、NGT48の本拠地でもある新潟県で?

北原:そうです。海の家のシーンも、市場が有名な寺泊町です。

─海の家もずいぶん寒そうでしたね。

北原:寺泊は雪こそありませんでしたが、海風が強くてまた違った寒さでした。

─ピエール瀧さんは海の家で、寒さのあまり低血糖になってしまい、ブドウ糖を溶かしたお湯をリクエストした、なんて話もあります。

北原:撮影の合間は共演者の方たちと集まって、小さくうずくまって温め合っていました。でも辛いことを共有したおかげで、キャストの方と絆が芽生えましたね。

─撮影の環境そのものが過酷な上、本作は過激な演出も目立ちます。特に主演の北原さんは大変だったんじゃないですか?

北原:初めて台本を頂いて読んだ時には、内容が魅力的で“1ページごとに事件が起きているんじゃないか!?”と思うほどのスピード感であっという間に読めてしまいました。一冊の小説を読んだかのような満足感があったのですが、これを自分が演じると思ったら「大丈夫かな…」という不安はありました。

─不安な中、メガホンを取った白石和彌監督からはどんな声かけがありましたか?

北原:最初お会いした時「色々大変だと思いますが大丈夫ですか?」と聞かれて「大丈夫です! 何でもやります!」と答えたんです。そうしたら本当に過激な展開になりました(笑)。でも白石監督は、人間的にも素晴らしいし、信頼できる方でした。「白石監督だったら全てスゴいことにしてくれる」という信頼の下で過激なシーンも全部やり通せました。

─特にどんな場面で白石監督に信頼感を感じましたか?

北原:序盤の雪道で車に追われるシーンを撮った時です。臨場感を出すためにカメラワークをどうするか現場でスタッフさんが打ち合わせをされていたのですが、撮影が難しそうな「ソリにカメラを載せる」案が起用されました。白石監督が「やってみないと分からないからやってみよう」「やらずに『できない』という考え方はないよ」ということをおっしゃっていて、“何事もやってみないといけないんだな”と、改めて思いました。

─言葉より行動を重んじる方。

北原:そうですね、白石監督は、とにかく全てのシーンで一番動き回る方です。監督さんってモニターの前でドッシリ構えているイメージがありましたが、白石監督はいつもご自身が一番動く。そういった姿を拝見して「この方は信頼できる」と思ったし、スタッフのみなさんついていきたくなる気持ちがよく分かりました。

─白石組の気持ちがよく分かったと。

体を張れたのは信頼できた白石監督だったから 

体を張れたのは信頼できた白石監督だったから (C)2018『サニー/32』製作委員会 

北原:他にも、私が屋根の上に登るシーンで、ワイヤーアクションをした時に寒さと怖さのあまり体が動かなくなったことがありまして。一度無理な体勢になった時に怖くなってしまったんです。そうしたら体が動かなくなってしまって…。屋根の上で固まっていたら、白石監督が心配してモニターブースから屋根まで来てくださいました。

─優しいですね。

北原:監督は絶対モニターを見ていたいはずなんですよ。でも現場で「今の良かったよ。じゃあこれで」って言ってくださった時は「一生監督についていこう!」と思いました。

─かなりの信頼感ですね。現役アイドルに対して劇中で相当過激な演出が繰り広げられていますが、それでも信頼感が揺らぐことはなかった。

北原:全くありませんでした。もともとそういうことには抵抗感がないタイプだと思います。お芝居ができるならどんな過激なシーンも挑戦していきたいと思ってますし、これまでにも過激な役を経験しているので、抵抗感はありませんでした。

─そんな本作は、長崎県佐世保市の事件をモチーフにした作品です。ピエール瀧さんやリリー・フランキーさんらが狂信的な信者と化して、サニーという存在に振り回されます。北原さんご自身はサニーをどんな存在だと考えていますか?

北原:なかなか理解し難い存在です。けれども、実際に人間誰もが持っている感情が行き過ぎた結果、このようなことになっている。私たちと全く関係のない話だとは思っていません。

それにこの作品はネット社会と隣接して話が進行します。生配信して盛り上がってバズる、という流れにリアリティーを感じます。

─現実感がある。

北原:はい。もしかしたら、自分の知らないどこかで事件が起きているかもしれない。この作品は、そういった現実感を得られると思います。

『サニー/32』はAKB48グループ卒業発表のきっかけの一つに 今後は「この映画を名刺代わりに活動したい」

『サニー/32』が卒業後の名刺代わり

『サニー/32』が卒業後の名刺代わり

ご自身の中では、今回の『サニー/32』はどんな位置づけの作品ですか?

北原:この映画をもってAKB48グループを卒業する、という感覚が強いです。

2018年3月にAKB48グループでの活動10周年を迎えます。偶然にも『サニー/32』の公開が同じ時期になったので「これはもう運命だな」と感じ、2017年8月に卒業を発表しました。今後はこの映画を名刺代わりに活動したいです。

─「今後芝居を頑張ります」と。

北原:はい。今度の活動にあたっての名刺代わりであり、決意表明でもあります。多忙な白石監督と今回お仕事できたのは、芸能界に入って一番のチャンスだと思っています。このチャンスを最大限活かしたいです。

─『サニー/32』では、AKB48グループプロデューサーの秋元康さんがスーパーバイザーとして入っています。白石監督には「女優としての彼女の器量を試してほしい」とおっしゃったみたいなのですが、北原さんには何かお言葉がありましたか?

北原:直接お言葉は頂いていないのですが、「北原の今後のためにやってほしい」という思いでお願いしてくださったのがとても嬉しかったです。卒業後の進路のことまで考えてくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。

─じゃあ、『サニー/32』には色んな思いが込められている。

北原:そうですね。今後これだけで終わらないためにも“人生における代表作”という言い方は避けたいと思いますが、今までを振り返れば『サニー/32』は間違いなく一番の代表作。「棺桶に入れようかな」というくらいの作品です(笑)。

2ページ目に続く)

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HKT48

結成年月日2011年10月23日(7年)

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