【受賞者インタビュー】第3回『TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM』グランプリ・針生悠伺 「自分がやるならSF映画をやりたいと思っていた」

針生悠伺

針生悠伺

TSUTAYAが映像クリエイターと作品企画を発掘する『TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM』(以下:TCP)も3年目を迎え、今年も新たに268もの企画の中から4人の才能が見出されることとなった。

今回は見事グランプリを受賞した針生悠伺氏(タイトル『2/1 イチブンノニ(仮)』)にインタビュー。最終審査会から1ヵ月ほど経って、改めてその心境などを聞いた。

初代グランプリ・中江和仁氏との意外なつながりがTCPを知るキッカケに

プレゼンの練習はすごくしたという針生氏。実は当初、2016年開催の第2回を狙っていたんだとか。

「最終審査会当日はすごく緊張していたなと思いますね。落ち着いて、早口にならないようにとプレゼンの練習は前日まで念入りに行いましたし、映像含めて準備はできる限りはやっていました。本当は前の年に出したかったんですけれど、そこまでにいい感じにまとまらなくて(笑)。一旦寝かせたみたいな形になったんですけれど、改めてこのタイミングだと思って応募した感じですね」

プレゼン当日の様子

プレゼン当日の様子

針生氏がそもそもTCPの存在を知ったのは、結果初回でグランプリを獲得することになる中江和仁氏の話からだったという。

「『サンダンス・インスティテュート/NHK賞』(次世代を担う新しい映像作家の発掘と支援を通じて、世界の映像文化への貢献と文化交流を目指すプログラム)で中江さんとご一緒した時に『実はこういうのに応募しようと思っているんです』とTCPのことを中江さんが話してくれたんです。そしたら中江さんはグランプリを獲ったので…マジすか? みたいな(笑)。そこから色々なニュースを見てスゴイところに行っちゃったなと(笑)。本当に映画を実現するコンペというのもスゴイなと思って、次の年には自分も何か出そうと思ったのが始まりでした」

とはいえ、もともとは映画の仕事は視野に入れていなかった針生氏も、脚本を書き始めてからは映画の道への思いがどんどん強くなっていく。

「僕が脚本を書き始めたのが4、5年くらい前なんですね。もともと新卒でMTVに入社してMTVのCMや番組のオープニング映像などの仕事、後は音楽イベントのビジュアルとか…短くて“かっこいい、面白い映像を作る”みたいなビジュアルの強さが求められる仕事をしていて。脚本を書くようになってからは、ストーリーで人の感情に訴えかけられる映像が作りたくなり、映画を作っていきたいと思うようになりました。ただ、脚本だけのコンペだったら他にも出したりはしていたのですが、サンダンス・インスティテュートのコンペ以外残ったことがなくて。でも、TCPは脚本だけじゃなくて、アイデアとビジュアルと映像も全部なので、これなら勝負できるかもと思って。自分は脚本を書き始めたのが遅い分、映像で勝負できるところまでこぎつけたらなんとかなるかなと思っていました」

自分がやるならSF映画!

グランプリを獲得した『2/1 イチブンノニ(仮)』は親子の話であり、ドナーとして登場するクローンとの葛藤が描かれる。針生氏は「自分がやるならSF映画」とその想いを語る。

作品のあらすじを見る  

主人公の医師・秀夫は、心臓移植が必要となった息子を救うために、そのドナーとして培養された息子のクローンを育てることとなる。それまで子育てを放棄していた秀夫は、突然始まった息子との二人暮らしに悪戦苦闘するのだが、いつしか彼の心には本当は愛してはいけないクローンの息子を愛する気持ちが芽生えてしまう。

針生悠伺

針生悠伺

「脚本を書き始めた時から、自分がやるならSF映画をやりたいと思っていたので、ずっとSFの話ばかりを書いていました。以前仕上げた脚本は映画にすると予算がかかると言わてしまって。それこそ『宇宙戦争』的な題材を用いた話だったんですが、今の自分じゃ出来るわけ無いと言われてしまい(笑)。それならどうすれば自分のSF映画を実現できるかを考えた時に、有名なハリウッドのSF映画監督も超低予算のアイデア勝負なところから始めているなと思ったので、そういう監督の初期の作品をたくさん観ましたね。特に刺さったのはダンカン・ジョーンズ監督の『月に囚われた男』。クローンの話なら自分でも実現できる話が書けるかもと思って、色々とアイデアを考えていきましたね。クローンや人工生命の映画をいっぱい観る中で、僕なりに辿り着いたいくつかのパターンがありました。一つは臓器ドナーとして、一つは兵士として、あとは『ブレードランナー』みたいに…あれはクローンという訳ではないですが労働者として造られる。クローンという題材を日本の社会の中にリアルに落とし込むとしたら、臓器ドナーとしてのクローンをテーマにしようと。ただ、センシティブな側面もあるので、いろいろ考えていった中で、親子の話にしようと思いましたね。自分にも家族がいるので、そういう部分も入れて自分の話として描けるものにしたかったんです」

クローンをテーマの主軸に入れても、決して暗い話にはしたくない、そんな針生氏なりのこだわりも想いとして持っている。

「あらすじだけを見るとすごくシリアスに見えると思うんですが、実は脚本はあまりそうはしていないんですね。ユーモアも盛り込みながら描きたいですし、クローンの映画って暗く終わることもあると思うけれど、そういう風にはしたくないと考えています」

アイデアは、まとまったら他人の反応を見る

ふと思ったアイデアはメモをする…受賞者に聞くと必ず全員実践している基本的なことはあるのだが、針生氏はそこから先にどうやって企画を練っていくのか? その秘密にも迫ってみた。

「メモなどで貯めたアイデアを企画に落とし込むときは、それを色んな角度から膨らませるためにいろんなものを観たりして、ある程度まとまったら『こんなのどう思う?』と人に話しますね。そこで『あ、それ面白い!』ってなるかどうかを試しています。実際、この企画についてはいい反応が多かったんですよ。そうやって反応があったものは大事に残しておくんです(笑)」

その企画でTCPの3代目グランプリの座についたわけだが、針生氏が思い描く完成像はどこまでも広く見えているようだ。

「僕がSFにこだわってきた理由として、今までやってきたことを活かした映画にしたいというのがあります。SF映画ってちょっとこう、カッコイイものである必要があるじゃないですか、なんとなく(笑)。親子の話で愛情の話、でユーモアもあるけど、パッと見た印象として新鮮な画作りになっていないといけないとは思うので。そういう映像としての新しさを感じるところをちゃんとこだわりたいですよね。脚本の面では、自分も父親なので、主人公の年齢を同い年の設定にしているんですよ。主人公のダメな部分は僕の潜在的にあるダメなだらしない部分とか、ちょっと逃げちゃう部分とか、そういうところが入っているので、そんな男でもちゃんと成長していく姿を同世代の人や友達に共感してもらえるような作品に仕上げたいですね」

TCP作品、続々公開!

【TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2015】グランプリ受賞作品

映画『嘘を愛する女』
2018年1月20日(土) 全国ロードショー
⇒特設ページはこちら

監督:中江和仁
脚本:中江和仁・近藤希実
出演:長澤まさみ 高橋一生 DAIGO 川栄李奈 黒木瞳 吉田鋼太郎
配給:東宝
製作:「嘘を愛する女」製作委員会
制作プロダクション:ROBOT

【TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2015】準グランプリ受賞作品

映画『ルームロンダリング』
2018年全国ロードショー!

出演:池田エライザ 渋川清彦 健太郎 光宗薫 / オダギリジョー
監督・脚本:片桐健滋
共同脚本:梅本竜矢
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント
配給:ファントム・フィルム
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント プラスディー

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