【受賞者インタビュー】第3回『TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM』審査員特別賞・土橋章宏 「誰が観ても楽しいものを作りたい」

土橋章宏

土橋章宏

TSUTAYAが映像クリエイターと作品企画を発掘する『TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM』(以下:TCP)も3年目を迎え、今年も新たに268もの企画の中から4人の才能が見出されることとなった。

今回、最終審査会で急遽設けられた審査員特別賞を受賞した土橋章宏氏(タイトル『水上のフライト(仮)』)にインタビュー。最終審査会から1ヵ月ほど経って、改めてその心境などを聞いた。

価値観が変わったことが事の始まり

まずはホッとした、というのが正直な感想だったのだろう。最終審査会でTSUTAYA/カルチュア・エンタテインメント社長の中西一雄から「他の受賞作と同様に映像化を進めていく」と言葉を聞いた時、ステージ上での土橋氏の顔が一段と明るくなった。

「あの時はやっぱり…『ああ、良かった!』ですよね。特別賞ということで本来はない賞でしたから。受賞するかしないかは天国と地獄じゃないですけれど、その余韻がまだ続いている感じですね。この企画は東京の江東区を舞台としているんですが、いろいろなところから助力が来ていて、フィルムコミッションも協力したい、みたいな話とか。これは盛り上がってきたなというのもあったし、モデルになったパラリンピックアスリートの瀬立モニカさん(カヌー)は、これが決まった翌日くらいにアジア大会で金メダルを獲ったので、かなり相乗効果だなと喜びがありましたね」

プレゼン当日の様子

プレゼン当日の様子

TCPにはいわゆる“エンタメ”作品が多く集まる中で、パラリンピックに目を向けたのはどういった背景があったのか。そこには脚本家・小説家として活躍する土橋氏のフットワークの軽さも大きく影響していた。

「僕は釣りが好きなんですが、釣りをしていたら瀬立さんが通りかかったので気になって。調べたらすごい人だと分かったので、インタビューしてみたくなったんです。仲立ちしてくれる人がいらっしゃったので、インタビューしてみたら面白い話がたくさん聞けたし、その時に僕の中で障がい者のイメージがコロっと変わったんですね。価値観の転がりがあったので、これは映画にしたいなというのがそもそものキッカケでした。僕は、やっぱり好奇心が強くないと作家はダメだと思うので。新しいものにはとりあえず飛びつくとか、ちょっとでも変わったことがあったら話を聞いてシナリオのネタにしてみようとか思いますね。もうすぐ東京オリンピックというタイムリーな感じもありましたし、ちょうど今年から映画を撮り始めたんですけれど、GoProとかそういう新しいものがヒットしていたので、この企画にはぴったりだなと。色々なタイミングがあってこれはイケると思って出しました」

映画作りの全体を知ってこそ一部が出来るのでは

日本映画製作者連盟主催の城戸賞を同賞初の審査委員オール満点で受賞した『超高速! 参勤交代』映画化され、第38回日本アカデミー賞では最優秀脚本賞にも輝くなど、すでに商業映画でもその名前を轟かせている土橋氏がTCPのために作った『水上のフライト(仮)』は一度諦めた夢に向かって再び歩み出す一人の女性を描く物語。リオパラリンピックにカヌーで出場した瀬立モニカさんとの出会いから生まれた物語だ。トータル力を試されるTCPには土橋氏も新たな気持で挑んでいたという。

作品のあらすじを見る  

走り高跳びでオリンピックを目指していた遥はある日、母の運転する車に追突され、下半身麻痺となり夢を絶たれる。引きこもる遥は高校時代の恩師に「障害はハンデじゃない、個性だ!」と励まされ、学童保育のカヌー教室を手伝ううち、カヌーの楽しさに目覚め、パラリンピックで再び世界に向かって挑戦することを決意する。

土橋章宏

土橋章宏

「僕は脚本ではキャリアを積んでいますが、映画を撮る側としては2017年に始めたばかりなので、僕はむしろ初心者として挑戦した感じですね。そもそも挑戦しようと思ったのも、シナリオの練習のためです。脚本を書いているだけでは知ることがない、映画作りの最終段階の工程がどうなっているのか知りたくなったんです。カット割りや演出など、映画作りの全体を知ってこそ一部が出来るんじゃないかと思って。そう思って始めたら、すごく面白かったんですよね。まず、カメラが面白い。僕は理系なのでメカ的にすごく面白かったし、ドローンを飛ばすのも面白いし、役者さんも知り合いの演劇関係の方もたくさんいたので、やってみたらちゃんと作品になっていて。脚本を書いても、それが映像になって面白くなっているかは脚本を書いた段階ではよくわからないんですが、自分で撮って最終形態を見ることによって脚本も練習できるんじゃないかと」

一方では「自分の脚本と合っていたからといって面白いかどうかは別の話」と冷静に話す土橋氏だが、そこに不安はないのだろうか?

「あまり不安は感じないですね。ダメだったら自分が打撃を受けるでしょうけれど(笑)。海外では一回当てたら自分のスタジオを作って全部自分でやるのが当たり前ですから、そういうのを観ていると、本当に面白いものって自分でやらないとできないんだなというケースも結構あるなと思っています。TSUTAYAさんでやらせてもらう以上、出資してもらった製作費をリクープさせたいと思っていますよ。なんとしても赤字は出さない、というのとお客さんにこれを見て『時間を返せ!』と言わせないという、この2つは最低条件として守りたいなとは思っていますね。僕が1人でやるわけではないのでプロデューサーさんが入ったら色んな力を借りようと思っています。独りよがりにならないような良いものを作っていきたいですね」

クリエイターとしてのこだわりは

大学の時にレンタルビデオ店でアルバイトをしていたという土橋氏は、映画好きだった店長に色々と作品を見せられたことも脚本家としての土台になっているという。それだけ増やした引き出しの組み合わせ方は、別の経験が活きている。

「僕は昔、青色ダイオードの研究とかもしていたんですけれど、そこでは『ブルートフォースアタック』と言う、すべての元素を一つ一つ組み合わせていくことをやっていたんですね。なので、アイデアも素材と素材を縦軸と横軸に並べてこれとこれは当たる、みたいなことをやると面白いものが出てきたりするんですよね。そういうところからアイデアを生むときもあるし、目の前で目撃したりとか新聞で時事ネタを拾って『これは面白いな』という時もありますし。(第1回グランプリ・中江和仁監督の)『嘘を愛する女』もね、新聞ネタを取り上げられたと思いますし。アイデアと時事ネタの2つを組み合わせるか、時事ネタでこれは、と思うものを原作にするのが割りと有効なアイデアの作り方かと思いますね」

最後に、土橋氏にクリエイターとして自身が一番こだわっている部分を聞いた。

「新しい発見があるということと、その作品が社会的に影響を与えることが大事かなと思っていますね。例えば『水上のフライト(仮)』を観たことで障がい者の方が夢を持ったり、パラリンピックを知らなかった人が知って、盛り上がったりとか。みんな、車椅子も慣れていないですからね。作品を通じてみんなどんどん仲良くなっていければいいなと思いますね。もっと泥臭いところで言えば、『これなんだろう?』っていう分かりにくいシーンは作らないとか、あまりこねくり回さないでスカッと楽しいものを作りたい。特定の人だけが分かるのではなくて、誰が観ても楽しいものを作りたいですね」

TCP作品、続々公開!

【TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2015】グランプリ受賞作品

映画『嘘を愛する女』
2018年1月20日(土) 全国ロードショー
⇒特設ページはこちら

監督:中江和仁
脚本:中江和仁・近藤希実
出演:長澤まさみ 高橋一生 DAIGO 川栄李奈 黒木瞳 吉田鋼太郎
配給:東宝
製作:「嘘を愛する女」製作委員会
制作プロダクション:ROBOT

【TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2015】準グランプリ受賞作品

映画『ルームロンダリング』
2018年全国ロードショー!

出演:池田エライザ 渋川清彦 健太郎 光宗薫 / オダギリジョー
監督・脚本:片桐健滋
共同脚本:梅本竜矢
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント
配給:ファントム・フィルム
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント プラスディー

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