新作映画『スリー・ビルボード』を観るべき3つの理由――アカデミー賞作品賞確実! 映画としての“飛距離”がすご過ぎる

映画『スリー・ビルボード』

映画『スリー・ビルボード』/(C)2017 Twentieth Century Fox

『スリー・ビルボード』ってどんな映画?

アメリカ、ミズーリ州の片田舎の町。最愛の娘を殺された主婦のミルドレッドは、遅々として進まない捜査に苛立ち、なけなしの金で購入した3枚の広告看板に、「暴行されて死亡」「なぜ? ウィロビー署長」「犯人逮捕はまだ?」と警察への抗議メッセージを掲示。そんな彼女の無謀かつ挑発的な“戦い”は、名指しされた警察署長や彼の部下たち、さらに町全体を予想もつかない事態に巻き込んでいく…。事件の真相は、明らかになるのか?

観るべき理由:1――アカデミー賞で歴史的快挙、果たす?

第90回アカデミー賞のノミネートが1月22日(現地時間)に発表され、6部門7ノミネート(助演男優賞に2人)に名を連ねた本作。授賞式は1ヵ月以上先だが、少なくとも作品賞、オリジナル脚本賞、主演女優賞、助演男優賞に輝くのは間違いないと断言したい。

本作はアカデミー賞の歴史において、「監督賞候補に挙がらず、作品賞に輝いた」5作目の快挙を成し遂げるだろう。ちなみに同様のレアケースは、第1回アカデミー賞の『つばさ』をはじめ、『グランド・ホテル』 『ドライビングMissデイジー』 『アルゴ』の4作品だけだ。

観るべき理由:2――笑いの要素も…観客を翻ろうするパワフルな脚本

それでも、オリジナル脚本も手がけたマクドナーの手腕、主演女優賞に輝くフランシス・マクドーマンド、助演男優賞を手にするサム・ロックウェルら俳優陣の力量といった、映画としての総合力が評価された結果、やはり『スリー・ビルボード』は作品賞を受賞するはず。とにかく、映画としての“飛距離”がすご過ぎる!

果たして、真犯人は誰なのか? そんな物語の入り口は、確かに社会派サスペンスの香りだ。しかし、ミルドレッドの暴走によって、徐々にむき出しになる人間の悪意は、怒りや怖さを通り越して、「不謹慎だけど、笑っちゃう」域にまで達しており、人種差別や同調圧力に対する風刺コメディの色合いも。町の住民だけではなく、観客をも大いに翻ろうし、「自分の価値観は正しいのか?」と自問自答させるパワフルな脚本にうなってしまう。

観るべき理由:3――誰にも予測できないラスト10分!

いつしか、真の目的を見失い、「こんなはずじゃなかった」とばかりに途方に暮れるミルドレッドの姿もまた、人間の愚かさを象徴している。戦争に勝者などいないという無常観は、普遍的かつ現代的なメッセージだ。そして、『スリー・ビルボード』が本当にすごいのは、ラスト10分に待ち構える衝撃的な展開。これは絶対、誰にも予測できない!

何より映画館の暗闇から解放された瞬間、「映画ってこんなことができるんだ!」「映画にはまだまだ可能性がある」と希望を感じさせるのが最大の魅力。3枚の広告看板が、閉鎖的なコミュニティにさざ波を立てたように、この作品もまた、萎縮しつつある映画界に一石を投じている…。アカデミー賞作品賞にふさわしいと考える一番の理由である。

(文:内田涼)


映画『スリー・ビルボード』
2月1日(木)全国ロードショー

監督・脚本・製作:マーティン・マクドナー『セブン・サイコパス』
出演:フランシス・マクドーマンド『ファーゴ』、ウディ・ハレルソン『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』、サム・ロックウェル『コンフェッション』、アビー・コーニッシュ、ジョン・ホークス、ピーター・ディンクレイジ、ルーカス・ヘッジズ

原題:Three Billboards Outside Ebbing, Missouri
配給:20世紀フォックス映画
コピーライト:(C)2017 Twentieth Century Fox

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