新作映画『アバウト・レイ 16歳の決断』を観るべき3つの理由――“気づき”をくれる、希望に満ちたヒューマンドラマ

『アバウト・レイ16歳の決断』

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『アバウト・レイ 16歳の決断』ってどんな映画?

心から「男の子として生きたい」と願う16歳のレイは、体も男性になるため、ホルモン治療を決意するが、それには両親がサインした同意書が必要だった。一番の味方であるはずの母親マギーも、動揺を隠せず、困ったことに同意書にサインをもらうため、離婚して以来、ずっと疎遠だった元夫と再会しなければならない。一方、同居するレズビアンの祖母ドリーは「自分と何が違うのか?」と事態をいまいち理解しておらず、話をこじらせるばかりで…。

観るべき理由:1――家族3世代が織りなす、前向きなヒューマンドラマ

あらすじだけを知ると「ちょっと重苦しい映画かな?」と思いがちだが、そんな“偏見”が鮮やかに裏切られる、希望に満ちた前向きなヒューマンドラマだ。確かに、レイのいら立ちや苦悩を想像すると、胸が痛くなる部分もあるが、それ以上、“彼”の決断に右往左往する大人たちのコミカルさが、とても人間的で魅力にあふれているのだ。

16歳のレイ、シングルマザーのマギー、そして祖母のドリーという家族3世代が、それぞれの価値観に揺れながら、戸惑い、ぶつかり、少しだけ歩み寄る…。それはまさしく、普遍的な家族の姿に他ならない。アカデミー賞に輝いた『リトル・ミス・サンシャイン』の製作チームによる新たな秀作が誕生した。

観るべき理由:2――エル・ファニングの快進撃はここから始まった!

レイを演じるのは、今ハリウッドで最も勢いに乗る女優のエル・ファニングだ。男の子になりたいと願うトランスジェンダーを演じるために、髪を刈り上げ、トレーニングによる肉体改造にも励み、“本当の自分”に近づこうと奮闘する姿を熱演。外見はもちろん、「立ち止まってはいられない」というティーン特有の焦燥感をパワフルに演じ、レイを誰もが共感できる等身大の存在にしている。

実はワケあって、2年近くも“お蔵入り”していた本作。難役をこなし、自信を深めたファニングがその後、『ネオン・デーモン』 『夜に生きる』 『20センチュリー・ウーマン』 『パーティで女の子に話しかけるには』 『The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ』と快進撃を続けているのはご存知の通りだ。

観るべき理由:3――LGBT映画っていうジャンル分け、必要?

以前は、医学的な疾患名である“性同一性障害”という言葉が多く使用されていたが、最近では障害という概念をなくし、表現そのものも避ける傾向にシフトしている。「体と心の性が異なる」のがトランスジェンダーであり、レイの場合は「女性の体で生まれてきたが、男性としてのアイデンティティーを確立している」、つまりあくまで“男性”というわけ。

と言っても、本作は「トランスジェンダーのことを正しく理解してください!」と声高に主張したりせず、観客に自分なりに考えさせ、“気づき”のチャンスを与えてくれる。最近は「今、LGBT映画がブームです」的な論調もよく目にするが、人間を描いている時点でそんなジャンル分け、必要ないなと改めて感じるはずだ。

(文:内田涼)


映画『アバウト・レイ 16歳の決断』
公開中

監督:ゲイビー・デラル
脚本:ニコル・ベックウィズ、ゲイビー・デラル
製作:ドロシー・バーウィン『キャロル』、マーク・タートルトーブ『リトル・ミス・サンシャイン』
出演:ナオミ・ワッツ『21グラム』、エル・ファニング『マレフィセント』、スーザン・サランドン『デッドマン・ウォーキング』
原題:3 Generations
配給:ファントム・フィルム

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アーティスト情報

エル・ファニング

生年月日1998年4月9日(21歳)
星座おひつじ座
出生地米・ジョージア

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