【鑑賞レポート】4K Ultra HD版『メアリと魔女の花』 制作陣が語る魅力とは…?

『メアリと魔女の花』

「メアリと魔女の花」場面写真(以下同)※画像は4Kではありません/(C)2017「メアリと魔女の花」製作委員会

2017年公開の米林宏昌監督作品『メアリと魔女の花』。3月20日(火)より、Blu-ray(デジタルコピー付き)、DVD、そして4K Ultra HD Blu-rayとBlu-rayをセットにしたコレクターズ:4K Ultra HD(数量限定)が発売。2月9日(金)、本作の発売を記念して、4K Ultra HDの特別試聴会が開催。制作陣による制作の舞台裏が明らかになった。

そもそも「4K Ultra HD Blu-ray」って?

「4K Ultra HD Blu-ray」とは、従来のBlu-rayをより進化させたメディアである。

▼解像度:従来のBlu-rayの4倍となる4KUltra HD 解像度。
▼輝度:従来のSDR(スタンダード・ダイナミック・レンジ)から、これまで表現不可能だった光や闇を映すHDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)を採用。
▼色域:色表現に制限があった従来のBlu-rayに比べ、より人間の視覚する色に限りなく迫る。

つまり、画のきめ細やかさ、色彩の表現力に加え、幅広いコントラストをもった明るさの表現がこれまでのBlu-rayとは段違いなのだ。

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五感を刺激する鮮やかさと輝き!

映画『メアリと魔女の花』

(C)2017「メアリと魔女の花」製作委員会

そんな最新の映像技術で描かれる「4K Ultra HD」版の『メアリと魔女の花』を鑑賞。

背景美術に定評のある米林監督ならではの、のどかな田園風景や色鮮やかなガーデニング、深い霧に包まれた森など…画面からその匂いまで感じられるような鮮やかさで映し出される。また、雲ひとつをとっても黄、緑、青など絶妙に混じりあった色味を繊細に感じ取ることができる。

中でも目を見張るのが、青光りする魔女の花・夜間飛行の輝かしさやメラメラと燃え上がる炎の美しさだ。まるで画面の向こうで、その物体が本当に発光しているかのような“光の明るさ”。映画の中で登場する火事のシーンでは、まるで画面の奥が燃えているかのような感覚をおぼえるほどだった。

映画『メアリと魔女の花』

(C)2017「メアリと魔女の花」製作委員会

“作品の風合いを損なわない”調整

映画『メアリと魔女の花』

(左から)古城氏、奥井氏、柏木氏

その後のトークイベントには、パナソニック次世代AVアライアンス担当:柏木吉一郎氏、「メアリと魔女の花」映像演出:奥井敦氏、「メアリと魔女の花」ポスプロコーディネート:古城環氏が登壇した。

本作の発売について柏木氏は「スタジオポノックの記念すべき長編第1号の素晴らしい作品で、今回はオーサリング(データをパッケージに落とし込むこと)だけにとどまらず、映像のHDR化から関わらせて頂いて、頑張って作りました。精一杯いいモノを作らせて頂いたという自負があります」と挨拶。奥井氏は「劇場の制作をしている当初は、HDR化の予定はありませんでしたが、4K Ultra HDパッケージを制作するにあたって、『HDR』というのは必須であろうという話になりました。パッケージ化するのは初めての経験だったのですが、HDR化するうえで現状出来うる限りの取組みをしました」と制作当時を振り返る。古城氏も「HDR化するということで、画の情報量が増えるのに音の情報量が増えないのはどうなのかということで、DTS:X(DTSの最新立体音響テクノロジー)のリミックス(再調整)を担当させて頂きました。音の空間としても包み込まれるような感覚の仕上がり環境になっていると思います」と自信を覗かせた。

そんな「4K Ultra HD Blu-ray」の制作のこだわりについて質問が飛ぶと、HDRだからこその繊細な調整に苦労があったことを明かす。

柏木:今まで何度かHDR化に携わりましたが、殆どの場合はグレーディング(色調調整)のツールだけでSDRからHDRに変換を行うのですが、今回の作品ではおそらく日本でも初めて、きちんと画のマスキング(グラフィック編集で指定した領域を保護すること)のデータを使ってHDR化が出来ました。それによってSDRとは比べ物にならないくらいハイ・ダイナミック・レンジでコントラストもはっきり出るし、有体な言い方をすれば“くっきりはっきり”するわけです。それが、言葉は悪いですが“下品”にならないように、きちんと仕上げることが非常に難しかったです。ちゃんとスタジオポノックさんの作品らしく“やわらかい風合い”でHDRの良さをそのまま伝えられるようにするのが非常に難しかったです。

全体のベースとなる明るさを試行錯誤で決めた後、(例えば、背景を明るくしたいときにキャラクターまで明るくならないように)オリジナルのマスキングデータを用いることで各カットごとに繊細な調整を重ねていった今回のHDR化。より徹底した編集が可能となったことに、柏木氏は「妥協して逃げることができなかったです(笑)」と振り返った。

柏木氏

パナソニック次世代AVアライアンス担当:柏木吉一郎氏

奥井:Ultra HDの色空間はこれまでのSDRに比べてはるかに広い色空間な訳ですが、その中でちょっとでも気を抜くと相当発色が良くなりすぎてしまうんです。それをコントロールするのが難しかったです。HDRで伸ばせる部分は、人が現実世界で見ているような光や輝きに近づけることですが、SDRのままで充分な部分は壊さないように残しながらやっていきました。かといってSDRの部分をそのまま残すと明るい部分とのかい離が起こるので、そのバランスをとるのが難しかったです。劇場で公開している作品の風合いを損なわないように仕上げるところが一番気を遣ったところですね。冒頭の、魔法の花の種のブルーも予想以上に出てくるので、あまり派手にしないで光らせるのは大変でした。

『メアリと魔女の花』が持つ手描きアニメーションとしての温かみを損なわない。最新の映像編集技術であっても無意味にきらびやかにするのではなく、作品が持つ魅力を最大限に引き出すためのHDR化であったことを強調した。

奥井氏

「メアリと魔女の花」映像演出:奥井敦氏

そんな4K Ultra HD版の『メアリと魔女の花』について奥井氏はみどころとしてもHDRで実現した「輝き」をアピールした。

奥井:HDRという意味で言うと、“輝き”は今まで表現できなかった部分で、SDRだと白くするしか明るさを表現できなかった。HDRだとちゃんと色も乗ったうえで明るさを表現できる。冒頭の炎のシーンでも色を残したまま明るくできていることや、また画面全体が明るく光っていてもその中でもさらに明るい光の粒も表現できているので注目して頂ければなと思います。

最新の映像技術でバージョンアップした『メアリと魔女の花』。すでに劇場で本作をご覧になられた方も、今一度“魔法”のような映像美を体感して頂きたい。

『メアリと魔女の花』コレクターズ・エディション:4K Ultra HD + ブルーレイ

『メアリと魔女の花』コレクターズ・エディション:4K Ultra HD + ブルーレイ/(C)2017「メアリと魔女の花」製作委員会

(文・写真/nony)

■商品概要

『メアリと魔女の花』

3月7日(水)先行デジタル配信開始
3月20日(火) コレクターズ・エディション:4K Ultra HD+ブルーレイ(数量限定)/12,000円(税抜き) 発売、
ブルーレイ(デジタルコピー付き)/5,800円+税、DVD/4,700円(税抜き)、
(C)2017「メアリと魔女の花」製作委員会

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