新作映画『15時17分、パリ行き』を観るべき3つの理由――87歳の巨匠が生み出したフレッシュな青春映画の傑作

(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC.

(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC.

『15時17分、パリ行き』ってどんな映画?

休暇を利用しヨーロッパ旅行に出かけた米空軍兵のスペンサー・ストーンとオレゴン州兵のアレク・スカラトス、そして2人の幼なじみであるアンソニー・サドラーは2015年8月21日、オランダのアムステルダムを15時17分に出発する高速列車に乗り、フランスのパリを目指す。しかし、同じ列車には、銃で武装したイスラム過激派の男が乗り合わせていた。乗客の1人が銃撃され、社内がパニックに陥る中、3人の若者はある決断を迫られる…。

観るべき理由:1――代表作『グラン・トリノ』を超える驚きと感動

クリント・イーストウッド監督の代表作である『グラン・トリノ』は公開当時、どこか遺言めいた余韻が強く心に刻まれた傑作だったが、気づけばあれからもう9年? もちろん、その後も、衰え知らずの創作意欲を発揮し、当たり前のように優れた作品を“量産”しているのはご存知の通りだ。そんな映画界の生けるレジェンドの最新作が『15時17分、パリ行き』。実際に起こったテロ未遂事件を題材にした社会派ドラマだが、それ以上に、御年87歳の巨匠がメガホンをとったとは思えない、あまりにフレッシュな青春映画に仕上がっており、『グラン・トリノ』を超える驚きと感動にすっかり打ちのめされてしまった。

観るべき理由:2――“本人起用”が問いかける「演技とは何か?」

政治的な主張を声高に叫ぶのではなく、挫折を重ねながら「自分は何者なのか?」と葛藤する若者たちの人間性に光を当てることで、「誰もがテロの当事者になりえる」という現代社会の闇を掘り下げるという、映画作家としての誠実さ。主演の3人を含めて、事件の当事者を“本人役”で数多く起用する野心的な試み。そこには「演技とは何か?」、さらにはフィクションとドキュメンタリーの境界線に対するイーストウッド流の問いかけが込められているはずだ。主人公の1人であるスペンサーの少年期を描く前半パートでは、彼の部屋に貼られた映画ポスターにも注目してほしい。

観るべき理由:3――斬新過ぎて、戸惑いも…。日本のファンの反応は?

2月の全米公開に続き、3月1日には日本での上映も始まった本作。初日から4日間で約16万人を動員する好調な滑り出しを見せ、SNS上には観客のさまざまな反応もアップされている。「クライマックスには胸も目頭も熱くなった」、「何気ない人々の人生に起こるドラマティックな瞬間を丁寧に描く職人技。さすが」など感動の声があげる一方で、若者たちの欧州旅行を淡々と描くシーンについては、「イーストウッド攻めすぎ!」「退屈なシーンが続くけど面白くないわけでもなく最後は独特のカタルシスがある」とその斬新過ぎる演出に戸惑いの声があるのも事実だ。唯一断言できるのは、本作がまったく新しい映画体験だということ。ぜひ、その目で確認し、そして体感してほしい。

(文:内田涼)


映画『15時17分、パリ行き』
公開中

原題:『THE 15:17 TO PARIS』/監督:クリント・イーストウッド(『アメリカン・スナイパー』『硫黄島からの手紙』『ハドソン川の奇跡』)
脚本:ドロシー・ブリスカル
出演:アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス、スペンサー・ストーン
撮影:トム・スターン
衣装:デボラ・ホッパー
編集:ブルー・マーレイ
美術:ケビン・イシオカ
原作:アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス、スペンサー・ストーン、そしてジェフリー・E・スターン著の「The 15:17 to Paris: The True Story of a Terrorist, a Train, and Three American Heroes」に基づく。
2018年/アメリカ/英語/配給:ワーナー・ブラザース映画

フォトギャラリー

この記事を読んだ人におすすめの作品

アーティスト情報

TSUTAYAランキング

おすすめ映画ガイド

TSUTAYA MUSIC PLAYLIST